この事例の要点
- 株式会社アドウェイズは、アドプラットフォーム事業、エージェンシー事業、その他の3セグメントで事業を展開し、2025年12月期の売上高は12,219,492千円(前期比△3.7%)、営業利益は297,231千円(前期比78.6%増)でした(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- アドプラットフォーム事業は売上高4,674,219千円(前年同期比13.1%増)と伸びた一方、エージェンシー事業は売上高6,083,446千円(同15.2%減)と減少しました(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 広告需要の減少は、金利上昇による金融関連広告主の出稿減と、大手広告主の方針変更によるものと説明されています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
どんな事業か
アドプラットフォーム事業は、スマートフォン向け広告サービス「AppDriver」と「UNICORN」、モバイル向けアフィリエイト広告サービス「Smart-C」、PC向けアフィリエイト広告サービス「JANet」など、同社グループのアドプラットフォームを用いたインターネット広告の販売と運用を行っています。2025年12月期は、「JANet」で金融関連の広告主からの需要が減少した一方、「UNICORN」では主要広告代理店との取引深耕などによりブランド広告の需要が大幅に拡大したと説明されています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
エージェンシー事業は、アプリ・ウェブの包括的なマーケティング支援のため、自社グループのアドプラットフォームを用いた広告に限らず、広告商品と付随するサービスの代理販売を行っています。国内ではマンガ領域で市場シェアが拡大し、ゲーム領域でコンペ勝率が向上したものの、大手広告主の方針変更による出稿減を補えませんでした。海外では台湾でSNS広告販売が堅調に推移した一方、中国ではブランド広告の需要が減少しました。その他のセグメントは、士業向けポータルサイトの運営、インフルエンサーマーケティング、サウナの運営事業などで構成されています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
収益の仕組み
売上は広告主(クライアント)からの広告出稿によって生まれます。アドプラットフォーム事業では自社のプラットフォームで広告を販売・運用し、エージェンシー事業では他社の広告商品を含めて代理販売します。エージェンシー事業の外部売上高6,083,446千円の内訳は国内4,104,494千円、海外1,978,951千円で、その他は1,461,827千円です(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
費用側では、売上原価が2,121,576千円、売上総利益が10,097,915千円、販売費及び一般管理費が9,800,684千円で、営業利益297,231千円は「販売費及び一般管理費を抑制したこと等」によるものと説明されています。費用の内訳は今回参照した公開資料には示されていません。営業外では持分法による投資利益205,396千円を計上して経常利益は607,159千円、親会社株主に帰属する当期純利益は252,902千円となりました(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
数字で確かめる
- 売上高:12,219,492千円、前期比△3.7%(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。UNICORNの需要増だけでは減少分を補えなかったことが読み取れます。
- 営業利益:297,231千円、前期比78.6%増(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。減収でも販管費の抑制で増益となったことが読み取れます。
- アドプラットフォーム事業:売上高4,674,219千円(13.1%増)、セグメント利益1,120,612千円(43.3%増)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上の伸び以上に利益が伸びていることが読み取れます。
- エージェンシー事業:売上高6,083,446千円(15.2%減)、セグメント利益723,134千円(37.4%減)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上の減少幅より利益の減少幅が大きいことが読み取れます。
- 売上高営業利益率:2.4%(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上高に対して残る利益が薄いことが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は「アフィリエイト」の型で読むことができます。「Smart-C」や「JANet」のようなアフィリエイト広告サービスは、広告主の成果に応じて広告費が動く仕組みと考えられ、広告主の出稿意欲が景気に左右されやすいと読めます。金利上昇による金融関連広告主の需要減が減収要因として挙げられているのは、この型の収益が広告主側の事業環境と直結していることを示していると読めます。
一方で、同じ広告事業の中に性格の異なる2本柱があることがこの事例の見どころです。自社プラットフォームで販売・運用するアドプラットフォーム事業は、売上13.1%増に対して利益が43.3%増と、規模が増えるほど利益が残りやすい構造と読めます。他社の広告商品を代理販売するエージェンシー事業は、売上15.2%減に対して利益が37.4%減と、規模が減ると利益が大きく削られています。自社の仕組みを持つか、他社の商品を売るかで、同じ減収局面での耐性が異なると考えられます。裏側に必要な仕事は、広告主の集中を避けることだと読めます。同社はマンガ・ゲーム領域でのノウハウ、UNICORNでのブランド広告の拡大、台湾でのAI活用、中国でのEC事業への注力を次期の方針として挙げており、需要変動を複数の領域で受け止めようとしていると考えられます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の収益は、顧客の成果や景況に連動して動く部分と、自社で価格を決められる部分のどちらが大きいでしょうか。
- 自社の仕組みで売る商品と、他社の商品を代理で売る商品の利益構造を分けて把握していますか。
- 特定の顧客や業界の方針変更で売上が大きく動く構造になっていませんか。
小さく試すなら
- 過去1年の売上を顧客別・業界別に並べ、上位の顧客や業界が占める割合と、その顧客の事業環境への依存度を書き出します。
- 売上を「自社の仕組みで提供するもの」と「他社の商品を代理販売するもの」に分け、それぞれの粗利率を試算します。
- 依存度の高い領域とは異なる需要を持つ顧客層を1つ選び、2〜4週間で既存の仕組みを使った提案を持ち込みます。
- 受注が得られれば、その領域の運用ノウハウを整理し、集中度を下げる目標値を決めて次の領域へ広げます。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社アドウェイズ / アフィリエイト・広告。参照資料:2025年12月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27