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BASE株式会社「BASE」と「PAY.JP」に学ぶ事業設計

個人・スモールチーム向けのネットショップ作成と、スタートアップ向けオンライン決済を軸に、決済や資金調達などの事業を重ねる構造。売上高20,729百万円、営業利益118.2%増の事業から、決済を核にした収益設計を読み解きます。

この事例の要点

  • BASE株式会社は、ネットショップ作成サービス「BASE」、オンライン決済「PAY.JP」、資金調達「YELL BANK」、越境EC「want.jp」、「Eストアーショップサーブ」の5事業を展開し、個人及びスモールチームとスタートアップ企業の支援に注力していると説明しています(2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 2025年12月期の売上高は20,729百万円(前年同期比29.7%増)、営業利益は1,686百万円(前年同期比118.2%増)で、BASE事業の流通総額は169,918百万円(注文ベース)でした(2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • BASE事業の収益性向上を目的に、2025年7月1日より購入者向けショッピングサービス「Pay ID」のショッピングアプリを有料化したと説明しています。2026年12月期は有料化の通期寄与によるテイクレートの向上を見込んでいます(2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

どんな事業か

BASE事業は、ネットショップ作成サービス「BASE」と購入者向けショッピングサービス「Pay ID」を提供し、幅広い個人及びスモールチームから選ばれるポジションを維持するためにプロダクト強化を続けていると説明しています。PAY.JP事業は、スタートアップ企業やベンチャー企業をターゲットに、よりシンプルで導入や運用が簡単なオンライン決済機能を目指しています。YELL BANK事業は、グループのマーチャントを対象に低リスクな資金調達手段を提供し、want.jp事業は、日本のEC運営者が世界中のローカルな販売網へアクセスしやすくする越境ECサービスです。2025年7月には、グループGMVの拡大を目的として、伴走型ネットショップ構築システムを提供する株式会社Eストアーを子会社化しました(2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

収益の仕組み

BASE事業では、月間売店数と1ショップあたり月間平均GMVがともに増加して流通総額が伸びました。2026年12月期の方針として、GMVの安定成長と「PayID」アプリ有料化の通期寄与によるテイクレートの向上で、売上高及び売上総利益の前年同期比+10%〜15%を目指すとしています(2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

PAY.JP事業は、加盟店のオンライン決済を処理し、流通総額229,427百万円に対して売上高6,336百万円という水準です。YELL BANK事業は買取債権総額の増加が売上の伸びにつながると説明されており、売上高1,120百万円、売上総利益1,074百万円です。費用については、新規ショップ開設数の増加を図るためマスマーケティングを継続しプロモーション費用の増加を見込んでいること、Eストアーショップサーブ事業ではカード決済をPAY.JPへ移管して決済原価の低減を図るとしていることが示されています。費用の全体的な内訳は、今回参照した決算短信には示されていません(2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

数字で確かめる

  • 売上高:20,729百万円(2025年12月期、前年同期比29.7%増)、売上総利益:9,989百万円(前年同期比39.4%増)(2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結))。売上より売上総利益の伸びが大きく、粗利率が改善したことが読み取れます。
  • 営業利益:1,686百万円(前年同期比118.2%増)、売上高営業利益率:8.1%(前期4.8%)(2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結))。費用の増加が抑えられた年だったと読み取れます。
  • BASE事業の流通総額:169,918百万円(注文ベース、前年同期比10.2%増)、売上高10,832百万円(前年同期比19.1%増)、セグメント利益1,404百万円(前年同期比103.2%増)(2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結))。GMVの伸びより売上の伸びが大きく、テイクレートが上がったことが読み取れます。
  • PAY.JP事業:流通総額229,427百万円(前年同期比10.5%増)、セグメント利益329百万円(前年同期比34.0%増)(2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結))。主力2事業がともに増益で、営業利益の倍増を支えたことが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は、フリーミアムと決済という型で見ると、「ショップを開く側の入口を広く取り、売れた分に応じて決済で収益化する」構造と読めます。売上が流通総額とテイクレートで説明されていることから、収益は購入者がお金を払う時点で発生していると考えられます。ショップの数、1ショップあたりの売上、テイクレートという3つのレバーがあり、2025年12月期はこの3つが同時に動いた年と読めます。

成り立つ条件は、決済を自社で持っていることです。グループ内の取引を自社の決済に集めることで、決済原価を下げながら取引データを蓄積できます。YELL BANK事業が自社グループのマーチャントを対象に資金調達を提供しているのも、取引データを持っているからこそ成り立つ延長線と考えられます。裏側では、不正取引の検知、加盟店審査、資金の預り・支払といった決済特有の運用が必要になると読めます。

トレードオフは、収益性を上げる施策が顧客体験に触れる点にあります。「Pay ID」アプリの有料化はテイクレートを上げましたが、購入者側の負担を増やす判断でもあります。また、新規ショップ開設のためのマスマーケティングは、売れるかどうかが決まる前のショップに費用を先に投じる構造で、GMVが伸びなければ回収が遅れます。単価の低い顧客を多数支える運用コストとの均衡も課題と考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の収益は「顧客が始めた時点」と「顧客が成果を得た時点」のどちらで発生していますか。後者に寄せられる部分はありますか。
  • 顧客の取引や利用データを、資金繰り支援や周辺サービスのような次の収益に結びつけていますか。
  • 収益性を上げる施策のうち、顧客の負担を増やすものと減らすものを分けていますか。

小さく試すなら

  1. 自社の売上を「開始時の課金」「継続課金」「成果連動の課金」に分け、比率と粗利率を出します。
  2. 顧客の利用実績(取引額、利用頻度など)を使って提供できる周辺サービスを1つ選び、顧客5〜10件に提案して需要を確かめます。
  3. 新規顧客獲得の費用と、獲得した顧客が最初の売上を上げるまでの期間を測ります。回収期間が分かれば、マーケティング費用の上限を決められます。

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資料の位置づけ

企業・サービス:BASE株式会社 / ネットショップ作成サービス「BASE」とオンライン決済「PAY.JP」。参照資料:2025年12月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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