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BlackRock「資産運用」に学ぶAUM連動の事業設計

運用資産(AUM)$14.0 trillionを預かるBlackRock。2025年の売上$24,216 millionと記録的な資金流入の数字から、AUM連動型の収益と技術サービスの組み合わせを読み解きます。

この事例の要点

  • BlackRockは2025年12月31日時点で$14.0 trillionの運用資産(AUM)を持つ投資運用会社で、約24,900人の従業員が100超の国の顧客にサービスを提供しています(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年の総売上は$24,216 million、営業利益は$7,045 million、BlackRock, Inc.に帰属する純利益は$5,553 millionでした(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年には記録となる$698 billionの純資金流入があり9%のオーガニックな基本報酬成長につながったほか、技術サービスの年間契約額(ACV)は16%成長したと説明しています(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

BlackRock, Inc.は、機関投資家と個人投資家の双方に投資運用サービスと技術・サブスクリプションサービスを提供しています。顧客には年金、慈善団体、財団といった非課税機関、中央銀行やソブリンウェルスファンドなどの公的機関、保険会社や金融機関などの課税機関、個人向け販売会社が含まれます(Form 10-K、FY2025)。

運用商品はアクティブ運用、プライベート市場、インデックス運用、キャッシュマネジメントにまたがり、投資信託、iShares ETF、個別口座などの形で、直接または販売会社を通じて届けられます。加えて、投資・リスク管理の技術基盤Aladdinや、Aladdin Wealth、eFront、Preqinといった技術サービスも提供しています。同社は受託者として顧客資産を運用し、顧客の利益と衝突しうる自己勘定取引は行わないとしています(Form 10-K、FY2025)。

2025年には、3月3日にプライベート市場データのPreqinを£2.5 billion(約$3.2 billion)の現金で、7月1日にクレジット投資運用のHPS Investment Partnersを買収し、HPSは顧客AUM $165 billionを加えました(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

販売手数料と投資助言報酬の額は「期間中のAUMの価値に対する所定の比率」に基づいて各期変動し、商品の種類や販売地域によっても異なると説明しています。個人向け商品の一部では、受け取った報酬の一部を、顧客との関係を持つ第三者の販売会社へ渡す構造があり、2025年には販売手数料$1,355 million、投資助言報酬$1,105 millionが、営業利益率の算定上、売上から除かれています(Form 10-K、FY2025)。

このほか、Aladdinなどの技術サービスはサブスクリプションとして提供され、ACVで成長が測られています。費用面では、GAAPベースの営業利益率29.1%に対し、無形資産の償却$775 million、買収関連の報酬費用$738 million、条件付対価の公正価値変動$720 millionなどを除いた調整後の営業利益率は44.1%と示され、2025年の費用には買収関連の項目が大きく含まれていました(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • 2025年12月31日時点のAUMは$14,041,518 million(前年$11,551,251 million)でした(Form 10-K、FY2025)。報酬の基礎となる残高そのものが拡大していることが読み取れます。
  • AUMの内訳は株式$7,793,875 million、債券$3,272,021 million、マルチアセット$1,223,625 million、オルタナティブ$423,614 millionなどです(Form 10-K、FY2025)。株式と債券が残高の大半を占めることが読み取れます。
  • 営業利益は$7,045 million、GAAPベースの営業利益率は29.1%(前年37.1%)でした(Form 10-K、FY2025)。買収関連費用が当期の利益率を押し下げたことが読み取れます。
  • 2025年の純資金流入は$698 billion、オーガニックな基本報酬成長は9%でした(Form 10-K、FY2025)。市場の値上がりだけでなく新規資金が入っていることが読み取れます。
  • AUMの約35%は米国外の顧客のために運用されています(Form 10-K、FY2025)。顧客基盤が地理的に分散していることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。運用報酬(AUM連動)の型は、預かった残高に所定の比率をかけた額が収益になる構造です。成り立つ条件は、残高を増やし続けることと、残高が離れない理由を保つことの二つだと読めます。BlackRockの場合、記録的な純資金流入と幅広い商品ラインが前者を、受託者としての立場や投資成果への注力が後者を支えていると考えられます。売上が残高に連動するため、市場が下がる局面では自社の努力と無関係に売上が減る点は、この型の宿命と言えます。

裏側の仕事として見えるのは、販路の維持と技術基盤の提供です。個人向け商品で報酬の一部を販売会社へ渡し、顧客との関係を持つのは販売会社側だという説明は、運用会社が販路に依存する構造を示しています。一方でAladdinのような技術サービスは契約額に基づくサブスクリプション収益で、市場変動と連動しにくい収益源を加える役割を果たしていると読めます。

トレードオフは、規模を追う過程で生じる費用にあります。2025年の買収は商品とデータの幅を広げましたが、営業利益率は買収関連費用で下がりました。残高の拡大と当期利益のどちらを優先するかの判断が、この年の数字に表れていると考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の収益は「預かっているもの」の量に連動しているか。その量が減る局面への備えはあるか。
  • 顧客との接点を自社と販路のどちらが持っているのか。報酬の分配はその実態に合っているか。
  • 残高連動の収益と、契約額に基づく固定的な収益を組み合わせることで、変動を抑えられないか。

小さく試すなら

  1. 自社の収益を「残高や利用量に連動する部分」と「契約で固定される部分」に分け、変動要因を書き出します。
  2. 直接契約の顧客と販路経由の顧客に分け、それぞれの継続率と手取り比率を比較します。
  3. 顧客が使っている業務ツールや分析機能のうち、単体でサブスクリプション化できるものを1つ選び、少数の顧客に有償で提案して反応を見ます。
  4. 残高が減る局面の売上シナリオを作り、固定的な収益がどの程度あれば事業が維持できるかを確認できたら、商品や販路の拡大を検討します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:BlackRock, Inc. / 資産運用(運用報酬)。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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