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CME Group Inc.のデリバティブ取引所に学ぶ事業設計:流動性と清算

先物・オプションの取引所と清算機関を運営し、Total Revenues $6,520.6 million(2025年)の大半を取引ごとの手数料で得るCME Group。参加者を集め、信用リスクを引き受けて流動性を厚くする「取引所」の型を読み解きます。

この事例の要点

  • CME Group Inc.は、CME・CBOT・NYMEX・COMEXの4つのデリバティブ取引所と清算機関、現物市場(BrokerTec、EBS)、データサービスを運営し、2025年のTotal Revenuesは$6,520.6 million、Operating Incomeは$4,229.5 millionでした(Form 10-K、FY2025)。
  • 収益の大半はClearing and transaction fees($5,281.1 million)で、契約単位または想定元本に応じて課金されるため、収益は取引量の変動に連動します(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年の先物・オプションの平均日次出来高(ADV)は過去最高の28.1 million契約で、電子取引量の約31%が米国外からの取引でした(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

CME Group Inc.は、顧客が先物、オプション、現物およびOTC商品を取引できるようにする企業です。金利、株価指数、為替、農産物・エネルギー・金属コモディティにわたるベンチマーク商品を取引所(CME、CBOT、NYMEX、COMEX)で提供し、BrokerTecで債券現物・レポ取引、EBSで為替取引を提供しています。加えて、世界有数の中央清算機関を運営しています(Form 10-K、FY2025)。

顧客はプロのトレーダー、金融機関、機関投資家・個人投資家、大企業、政府、中央銀行にわたります。取引は主に電子取引システムCME Globexを通じて行われ、会員は特定の商品をより低い手数料で取引でき、2025年には契約出来高の85%が会員による取引でした。清算機関はすべての取引の相手方となることで、取引相手の信用リスクを限定します(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

収益の大半はClearing and transaction feesで、電子取引手数料、私的交渉取引のサーチャージ、出来高に連動するその他の料金から成ります。手数料は契約単位または想定元本に応じて課されるため、収益と利益は契約出来高の変化とともに変動します。同社は、経済的・地政学的な不確実性の局面では出来高が増える傾向があると説明しています。出来高以外の収益要因として、料金体系、商品ミックス、取引の場、会員と非会員の比率の4つを挙げています(Form 10-K、FY2025)。

Market data and information servicesは市場データの配信に対する収益で、基本サービスの利用者は画面ごとに月額固定料金を支払います。費用面では、Total Expensesは$2,291.1 millionで、Compensation and benefits $907.0 million、Technology $283.2 millionなどから成り、同社は費用の大半は契約出来高に直接連動しないと説明しています(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • Total Revenues $6,520.6 million(2024年 $6,130.1 million)(Form 10-K、FY2025)。出来高の記録更新が収益の増加につながったことが読み取れます。
  • Clearing and transaction fees $5,281.1 million、Market data and information services $803.1 million、Other $436.4 million(Form 10-K、FY2025)。取引手数料が収益の柱で、データ収益が第二の柱であることが読み取れます。
  • Operating Income $4,229.5 million、Total Expenses $2,291.1 million、Net Income $4,072.2 million(Form 10-K、FY2025)。費用が出来高に連動しにくいため、出来高の伸びが利益に大きく反映される構造が読み取れます。
  • 先物・オプションADV 28.1 million契約(過去最高)、マイクロ商品の出来高32%増、OTC代替商品11%増(Form 10-K、FY2025)。小口化した商品が新しい顧客層を取り込んでいることが読み取れます。
  • 電子取引量の約31%が米国外、市場データ収益の約53%が米国外。1社の清算会員がClearing and transaction fees収益の12%を占める(Form 10-K、FY2025)。取引の場が国境を越えて使われる一方、大口参加者への集中もあることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「取引所」の型の典型と読めます。取引所は売り手と買い手を集め、成立した取引ごとに手数料を得ます。同社が、流動性(大きな売買を迅速かつ効率的に吸収できる市場の能力)が顧客を惹きつけ維持する鍵だと説明しているとおり、参加者が多いほど取引が成立しやすくなり、それがさらに参加者を呼ぶという循環が価値の源泉だと考えられます。

この型が成り立つ裏側には、清算機関という信用の仕事があります。清算機関がすべての取引の相手方となることで、顧客は個々の取引相手の信用を評価する必要がなくなり、建玉を別の相手との取引で相殺できます。取引所が単なるマッチングの場でなく決済の保証まで担うことで、流動性を厚くしていると読めます。

トレードオフとしては、収益が出来高に連動する一方、費用の大半は連動しないと同社自身が説明している点です。不確実性が高まる局面では利益が伸びますが、逆の局面では利益が圧縮されます。Clearing and transaction fees収益の12%を1社の清算会員に依存する集中も取引所型の特徴だと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が「場」を提供しているとすれば、参加者が増えるほど他の参加者にとって価値が上がる構造になっているか。
  • 参加者同士の信用リスクを、自社が引き受けることで取引を増やせる余地はあるか。
  • 取引ごとの手数料以外に、データやアクセス権のような継続的な収益源を持てるか。
  • 収益が取引量に連動する事業で、費用構造をどう設計するか。

小さく試すなら

  1. 自社の顧客・取引先を「売り手側」「買い手側」に分け、双方が出会えていない取引がどれだけあるかを聞き取りで把握する。
  2. 小規模なマッチングの場(紹介会、掲示板、共同購買など)を一つ設け、成立件数と、成立までにかかった信用確認の手間を記録する。
  3. 成立した取引について、自社が保証や決済代行を担った場合に取引が増えるかを、少数の参加者に条件提示して確認する。増える見込みが立てば、手数料水準の検討に進む。

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資料の位置づけ

企業・サービス:CME Group Inc. / デリバティブ取引所と清算機関。参照資料:Form 10-K(FY2025、期末 2025-12-31)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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