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GMOインターネットグループのインターネットインフラ事業に学ぶ事業設計

GMOインターネットグループは、ドメイン・ホスティング・決済などのインフラ事業を土台に、金融や暗号資産まで6つの事業を束ねる持株会社です。2025年12月期の売上収益285,261百万円の内訳から、基盤サービスの積み上げ型の収益を読みます。

この事例の要点

  • GMOインターネットグループ株式会社の2025年12月期の売上収益は285,261百万円(前期比3.3%増)、営業利益は59,132百万円(同19.5%増)で、売上収益営業利益率は20.7%(前期17.9%)でした(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 報告セグメントは6つで、インフラ事業の外部顧客に対する売上収益174,026百万円とセグメント損益41,700百万円がいずれも最大です(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 2025年1月1日付で持株会社体制へ移行し、インフラ事業と広告・メディア事業を連結子会社のGMOインターネット株式会社へ承継させたと説明しています(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

どんな事業か

同社グループは「インターネットに関連するサービスを総合的に展開」しており、「インターネットインフラ事業」「インターネットセキュリティ事業」「インターネット広告・メディア事業」「インターネット金融事業」「暗号資産事業」「インキュベーション事業」の6つを報告セグメントとしています。中核のインフラ事業は、ネットビジネスを手掛けるお客様のビジネス基盤となるサービスを提供する領域で、ドメイン事業、クラウド・レンタルサーバー(ホスティング)事業、EC支援事業、決済事業、インターネット接続(プロバイダー)事業などを展開しています。セキュリティ事業は暗号・サイバー・ブランドの3領域のセキュリティサービス、広告・メディア事業はネットビジネスのお客様の集客支援、金融事業はオンライン証券・外国為替証拠金取引・CFD取引サービス等、暗号資産事業は暗号資産の交換・売買、マイニング、決済にかかわる事業、インキュベーション事業は未上場会社への投資と説明されています(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

体制面では、当社のインフラ事業と広告・メディア事業を吸収分割でGMOインターネット株式会社(2025年1月1日付でGMOアドパートナーズ株式会社より商号変更)へ承継させ、同日付で持株会社体制へ移行しました。また2025年12月26日には、KUSANAGI Stack事業を手掛けるプライム・ストラテジー株式会社の議決権63.1%を、現金3,543百万円を対価とする公開買付けで取得しました(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

収益の仕組み

収益は各セグメントの外部顧客に対する売上収益から成ります。2025年12月期は、インフラ事業174,026百万円、セキュリティ事業21,360百万円、広告・メディア事業32,113百万円、金融事業39,370百万円、暗号資産事業8,315百万円で、インキュベーション事業は投資損益116百万円として計上されています。不動産賃貸事業等を含む「その他」10,074百万円を加えた合計が売上収益285,261百万円です(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

費用面では、連結損益計算書に売上原価△114,211百万円、販売費及び一般管理費△109,869百万円が示されていますが、今回参照した公開資料には費用の内訳は示されていません。(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

数字で確かめる

  • 売上収益285,261百万円(前期比3.3%増)、営業利益59,132百万円(同19.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益16,749百万円(同12.8%増)(2025年12月期)(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。売上の伸びに対して利益の伸びが大きいことが読み取れます。
  • インフラ事業のセグメント損益41,700百万円(前期34,344百万円)、セグメント損益合計61,296百万円(2025年12月期)(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。インフラ事業が利益の柱であることが読み取れます。
  • 当期利益36,731百万円のうち、親会社の所有者への帰属16,749百万円、非支配持分への帰属19,982百万円(2025年12月期)(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。子会社に外部株主を持つグループ構造が利益の帰属に表れていることが読み取れます。
  • 契約負債25,997百万円(前期末25,547百万円)(2025年12月31日)(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。前受けした対価を負債として持ちながらサービスを提供する構造が読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。「サブスクリプション」の型で見ると、ドメインやホスティング、プロバイダーといったインフラ事業は、顧客がネットビジネスを続ける限り使い続ける基盤サービスであり、契約負債として前受けした対価を期間に応じて売上に振り替える積み上げ型の収益と読めます。この基盤があるからこそ、市況で損益が動く事業を同じグループに抱えられると考えられます。裏側では、解約されない品質でサービスを保つ運用と、顧客の成長にあわせて上位サービスへ移ってもらう導線づくりが必要な仕事になります。

「決済」の型で見ると、同社はインフラ事業に決済事業とEC支援事業を並べており、ドメイン取得からサイト構築、決済までを一つの顧客に順に提供できる配置だと読めます。持株会社体制への移行理由に「商流を整理し、よりスムーズなシナジー創出」を挙げている点も、この配置を活かす狙いと考えられます。一方で、子会社に外部株主がいるため当期利益の半分以上が非支配持分に帰属しており、グループ全体の利益と親会社株主の取り分が一致しないトレードオフがあります。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の収益のうち、顧客が事業を続ける限り自然に継続する「基盤」にあたるものはどれか。
  • 市況や外部環境で振れる事業を持つ場合、それを支える安定収益の厚みは十分か。
  • 一つの顧客に対して、入口のサービスから次のサービスへ移る導線を設計できているか。

小さく試すなら

  1. 自社の売上を「継続的に入る基盤収益」と「都度・市況に左右される収益」に仕分けし、直近2期の比率の変化を一枚にまとめる。
  2. 基盤収益の顧客に対し、隣接するサービス(例:決済、運用支援)の案内を1回だけ行い、どの程度の顧客が関心を示すかを確かめる。
  3. 前受け金(契約負債)の残高と解約の発生状況を月次で追い、収益の見通しがどこまで立つかを検証する。見通しが立つ範囲が分かれば、変動の大きい新規事業への投資枠を決める。

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資料の位置づけ

企業・サービス:GMOインターネットグループ株式会社 / ドメイン・ホスティング・決済などのインターネットインフラ事業。参照資料:2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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