この事例の要点
- The Coca-Cola Companyは、自社の飲料ブランド製品を、独立したボトリングパートナー、ディストリビューター、卸売業者、小売業者の網と、連結対象のボトリング・流通事業を通じて、200を超える国と地域に届けています(Form 10-K、FY2025)。
- 2025年のNet Operating Revenuesは$47,941 million、Operating Incomeは$13,762 million、Gross Profitは$29,544 millionでした(Form 10-K、FY2025)。
- 同社とボトリングパートナーを合わせて「Coca-Cola system」と呼んでいます。持分法投資先にはボトリングパートナーが含まれ、2025年のEquity income (loss) — netは$2,031 millionでした(Form 10-K、FY2025)。
どんな事業か
同社は多数の飲料ブランドを所有しています。sparkling soft drinksではCoca-Cola、Fanta、Spriteなど、water, sports, coffee and teaではAyataka、Georgia、I LOHASなど、juice, value-added dairy and plant-based beveragesではMinute Maidなどが挙げられています(Form 10-K、FY2025)。
自社ブランドのほか、ライセンスやジョイントベンチャー等を通じて他社ブランドの販売にも参加しています。例えば一部のボトラーは、同社とMonsterとの流通調整契約などに基づき、指定地域でMonster Energyなどを流通させています(Form 10-K、FY2025)。
米国外ではアルコール飲料カテゴリーにも参入しており、米国内では分離された完全子会社が第三者の製造業者や流通業者を使ってアルコール製品を製造・販売しています(Form 10-K、FY2025)。
収益の仕組み
10-Kでは、同社が製造・請求する対象として、飲料の原液(concentrates)と完成品(finished products)が挙げられています。同社は、情報システムの障害でこれらを適時に製造、流通、請求、回収できなくなれば売上と利益を失う可能性があると述べています。原液と完成品それぞれの売上の内訳は、今回参照した範囲には示されていません(Form 10-K、FY2025)。
もう一つの利益の入り口が、持分法で投資するボトリングパートナーです。2025年末のEquity method investmentsは$20,235 millionで、損益計算書ではEquity income (loss) — netが$2,031 millionでした。同社は、持分法投資先のボトラーの格付けが下がれば、その支払利息が増えて同社のequity incomeが減ることにも触れています(Form 10-K、FY2025)。
費用面では、2025年のCost of goods soldが$18,397 million、Selling, general and administrative expensesが$14,521 million、Other operating chargesが$1,261 millionでした(Form 10-K、FY2025)。また、米国外から$28.8 billionのnet operating revenuesを得ており、為替の変動が業績に影響するとしています(Form 10-K、FY2025)。
数字で確かめる
- Net Operating Revenues $47,941 million(2024年は$47,061 million)(Form 10-K、FY2025)。前年から増収だったことが読み取れます。
- Operating Income $13,762 million(2024年は$9,992 million)、Other operating charges $1,261 million(2024年は$4,163 million)(Form 10-K、FY2025)。その他の営業費用の減少が営業利益を押し上げたことが読み取れます。
- Equity income (loss) — net $2,031 million(2024年は$1,770 million)、Equity method investments $20,235 million(Form 10-K、FY2025)。ボトラーなどへの出資が、営業利益とは別の利益源になっていることが読み取れます。
- 米国外のnet operating revenues $28.8 billion(Form 10-K、FY2025)。売上の相当部分を米国外で得ており、為替の影響を受けやすいことが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事例は「フランチャイズ」と「卸・ディストリビューター」の型を組み合わせたものとして読むと整理しやすいと考えられます。同社はブランドを所有し、製造や流通の多くを独立したボトリングパートナーや卸・小売のネットワークに委ねています。ブランドを本部が持ち、各地域の製造・配送・販売をパートナーが担う分担は、フランチャイズの本部と加盟者の関係に近いと読めます。
この型が成り立つ条件は、パートナーにとって同社のブランドを扱うことが十分に利益になることです。同社が市場ごとにブランドの品揃えを最適化し続けると述べている点は、パートナーが売れる商品を本部側が用意し続ける仕事と考えられます。また、Monsterのように他社ブランドもボトラー網に乗せていることから、流通網そのものに価値があり、載せる商品を増やして網全体の採算を高めていると読めます。
トレードオフとして、製造や流通を委ねるほど、パートナーの経営状態が同社の業績や信用に跳ね返ります。一部の格付機関が主要ボトラーの財務も考慮するという10-Kの記述は、この依存関係の表れと考えられます。
自社事業に持ち帰る問い
- 販売パートナーにとって、自社商品の取り扱いは十分に利益になっているか。
- 自社が持つ流通網や顧客接点に、他社の商品を載せて網全体の採算を上げる余地はあるか。
- パートナーの経営悪化や事故が自社に及ぼす影響を、どこまで把握しているか。
小さく試すなら
- 販売パートナーや代理店を並べ、自社商品の取り扱いによる各社の粗利を聞き取る。
- 粗利が低いパートナーに対して、販促物や売れ筋の組み合わせなど、本部として提供できる支援を1つ決める。
- その支援を2〜3社で2〜4週間試し、取り扱い量と追加発注を記録する。
- 取り扱い量が増えれば支援を標準化し、変化が無ければ商品構成を見直す。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:The Coca-Cola Company / 飲料ブランドとボトリングパートナー網。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27