この事例の要点
- 同社グループは、地域に根差したフランチャイズビジネスの強化・拡大を通じて成長を目指すと中期経営計画(2025年度から2027年度)で掲げています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 既存店売上高は5.7%増で、2015年度第4四半期から41四半期連続の増加、システムワイドセールスは過去最高の8,886億49百万円でした(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 当期末の店舗は直営705店、フランチャイズ2,320店で、区分移行により直営からフランチャイズへの移行が進んでいます(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
どんな事業か
同社グループの事業はハンバーガーレストラン事業の単一セグメントです。中期経営計画では「メニュー・バリュー」「店舗ポートフォリオ・デジタル」「サステナビリティ・ピープル」の3つの領域に注力し、財務目標としてシステムワイドセールス年平均成長率4~6%、営業利益率13%、ROE11%以上などを設定しています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
当期は新規出店が120店舗、閉店が83店舗、リモデルが220店舗でした。キャパシティ不足などの課題がある店舗を閉め、より良い店舗体験を届けられる店舗を増やす方針で、2025年からの3年間で100店舗以上の純増と1,000店舗以上のリモデルを目指すとしています。モバイルオーダー、デリバリー、タッチパネル式注文端末の導入や、公式アプリのリワードプログラム「Myマクドナルド リワード」も進めています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
同社は、お客様が感じるバリューは店舗体験を価格で割ったものだと考えていると説明しています。2025年3月に価格改定を行いつつ、お手頃感のあるメニューやプロモーションで利用を保ったとしています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
収益の仕組み
連結の売上高は、直営店舗の売上である直営売上高と、フランチャイズ店舗から得るフランチャイズ収入の2つで構成されます。当期は直営売上高が270,089百万円、フランチャイズ収入が146,513百万円でした。なお、システムワイドセールスは直営店舗とフランチャイズ店舗の合計売上高で、連結売上高とは一致しないと注記されています(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
費用は、直営売上原価239,355百万円(原価率88.6%)のうち、材料費が100,708百万円、労務費が69,496百万円です。フランチャイズ収入原価は90,675百万円(原価率61.9%)で、広告宣伝費の増加等で原価率が0.4ポイント上がりました。販売費及び一般管理費は33,313百万円です(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
数字で確かめる
- 売上高は416,602百万円、前期比2.7%増(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。システムワイドセールスに比べて連結売上高が小さく、フランチャイズ店の売上が直接は計上されない構造が読み取れます。
- 営業利益は53,257百万円、前期比10.9%増。売上高営業利益率は12.8%(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上高の伸びを上回って利益が伸びたことが読み取れます。
- 直営売上原価率88.6%に対し、フランチャイズ収入原価率は61.9%(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。同じ売上でもフランチャイズ収入の方が手元に残る割合が大きいことが読み取れます。
- 2026年12月期の見通しは、システムワイドセールス9,420億円(6.0%増加)に対し売上高4,055億円(2.7%減少)(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。直営店舗のフランチャイズ移行による影響と説明されています。
- 営業活動によるキャッシュ・フローは53,240百万円、有形固定資産の取得による支出は375億31百万円(2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。店舗への投資を続けていることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。フランチャイズとロイヤルティ(IP使用料)の型では、本部はブランド、メニュー、オペレーション、マーケティングを提供し、店舗の運営と売上の多くは加盟店側が担います。連結売上高が減る見通しでもシステムワイドセールスと営業利益は増える計画になっている点は、売上の大きさより「ブランド全体の売上」と「本部に残る利益」を重視する設計と読めます。
本部が担う裏側の仕事は、加盟店が使いたくなるブランドの価値を保つことだと考えられます。41四半期連続の既存店売上高の増加、全店でのデジタル導入やリモデル、期間限定メニューや広告宣伝は、加盟店にとって参加する理由そのものです。フランチャイズ収入原価に広告宣伝費の増加が含まれていることからも、本部がブランド投資を負担している構造が読み取れます。
トレードオフは、直営を減らすほど本部が店舗の現場から離れる点だと考えられます。同社は高いQSCの水準で店舗体験を届けられるフランチャイズビジネスの強化・拡大を掲げており、店舗網の拡大と品質の維持を同時に進める運営力が問われると読めます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の事業で、パートナーに任せても品質を保てる部分と、自社が握るべき部分はどこでしょうか。
- 自社の売上と、パートナーを含めた全体の売上を分けて追えているでしょうか。
- パートナーが参加し続ける理由として、自社が投資し続けるべきものは何でしょうか。
- 直営で持つ拠点は、どんな役割(実験、教育、品質基準づくり)のために残すべきでしょうか。
小さく試すなら
- 自社サービスの提供工程を書き出し、手順書にすれば他者が再現できる工程に印を付けます。
- 印を付けた工程について、品質を確認するためのチェック項目を少数に絞って作ります。
- 協力先1社にその工程を2〜4週間任せ、チェック項目の達成度と顧客の反応を自社運営と比べます。
- 品質の差が小さく、協力先にも利益が残ると確認できれば、手数料の条件を決めて協力先を増やします。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:日本マクドナルドホールディングス株式会社 / ハンバーガーレストランのフランチャイズ運営。参照資料:2025年12月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27