この事例の要点
- 株式会社物語コーポレーションの2026年6月期の売上高は151,689百万円(前期比22.4%増)、営業利益は12,145百万円(前期比31.4%増)でした(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 期末の店舗数は919店舗で、直営店とフランチャイズ店を組み合わせて国内外に展開しています。国内既存店の売上高は、直営店で前期比5.0%増、フランチャイズ店で前期比3.3%増でした(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- フランチャイズカテゴリーの売上高は、主にフランチャイズ加盟企業からの売上ロイヤルティ・加盟金・業務受託料等で構成され、7,809百万円(前期比6.3%増)でした(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
どんな事業か
同社グループは『焼肉きんぐ』『丸源ラーメン』『寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵』を主力ブランドとする外食チェーンを展開しています。事業は単一セグメントで、2026年6月期からは焼肉、ラーメン、ゆず庵、専門店・新業態、フランチャイズ、海外の6カテゴリーで概況を開示しています(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
期末の店舗数は、焼肉カテゴリー369店舗(直営238店、フランチャイズ131店)、ラーメンカテゴリー251店舗(直営143店、フランチャイズ108店)、ゆず庵カテゴリー116店舗(直営99店、フランチャイズ17店)、専門店・新業態カテゴリー72店舗(直営68店、フランチャイズ4店)、海外カテゴリー111店舗(直営73店、フランチャイズ等38店)です(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
同社は「物語ビジョン2030」で「選ばれるブランドづくり」「成長を加速させる新業態・新事業開発」「海外事業の拡大」の3つを重点テーマに据え、「人財力」を競争優位性かつ差別化の源泉と捉えていると説明しています。海外では中華圏、東南アジア、北米を注力地域と定めています(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
収益の仕組み
収益の中心は直営店の売上です。直営店の売上高は、焼肉カテゴリー69,599百万円(前期比12.8%増)、ラーメンカテゴリー25,088百万円(前期比15.2%増)、ゆず庵カテゴリー25,609百万円(前期比23.8%増)、専門店・新業態カテゴリー9,351百万円(前期比20.2%増)でした。同社は看板商品の磨きこみや期間限定フェア、都市型価格の導入などの価格改定、配膳ロボットの導入拡大などの店舗DXへの投資を行ったと説明しています(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
これに加えて、フランチャイズ加盟企業からの売上ロイヤルティ・加盟金・業務受託料等がフランチャイズカテゴリーの売上になります。海外カテゴリーは、連結子会社による取り組みと海外フランチャイズ加盟企業からの売上ロイヤルティ等で構成され、売上高は14,230百万円(前期比202.1%増)でした(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
費用について同社は、外食業界では原材料価格や人件費をはじめとする運営コストの上昇が続いていると説明しています。投資活動では、新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出が10,039百万円でした。原価や人件費などの費用の内訳は、今回参照した公開資料には示されていません(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
数字で確かめる
- 売上高151,689百万円(前期比22.4%増)、営業利益12,145百万円(前期比31.4%増)(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上の伸び以上に利益が伸びたことが読み取れます。
- 売上高営業利益率8.0%(前期7.4%)(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。運営コストが上がる環境でも利益率が改善したことが読み取れます。
- 期末店舗数919店舗(直営621店、FC等298店)(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。直営とフランチャイズの両方で店舗網を持っていることが読み取れます。
- 営業活動によるキャッシュ・フロー16,033百万円、投資活動によるキャッシュ・フロー△10,927百万円(2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。本業で得た資金の多くを出店に充てていることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。「フランチャイズ」の型は、加盟企業が店舗を出し、本部がブランドと運営の仕組みを提供してロイヤルティや加盟金を受け取るものです。同社の場合、国内808店舗のうち260店舗がフランチャイズ店で、残りは直営店です。直営店で看板商品の磨きこみや店舗DXを試し、その成果を加盟店にも広げられる構造だと考えられます。国内既存店の売上高が直営・フランチャイズともに前期を上回ったことは、ブランドの力が加盟店でも再現されていることを示していると読めます。
裏側で必要な仕事は、業態の開発、運営の標準化、人材の育成です。同社が「業態開発力×人財力」を成長戦略に掲げているのは、加盟店で広げる前に、直営で勝ちパターンを作りきる必要があるためと考えられます。収益項目に業務受託料が含まれていることからも、加盟企業への運営支援が本部の仕事に組み込まれていると読めます。
トレードオフとして、フランチャイズの比率を高めれば出店の資金負担は軽くなりますが、本部が受け取るのは店舗の売上そのものではなくロイヤルティ等になります。同社は当期、国内63店舗のうち50店舗を直営で出店し、営業キャッシュ・フローの多くを出店投資に充てています。利益の取り分と資本の負担のどちらを重く見るかを、ブランドや地域ごとに選んでいる設計と読めます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の商品やサービスに、他者が再現できるほど標準化された「勝ちパターン」はあるか。
- 自社で試す場と、パートナーに任せて広げる場を分けて設計しているか。
- パートナーから受け取る対価は、売上連動、初期費用、業務委託料のどれに当たるか。それぞれで提供すべき価値は明確か。
- 既存拠点の売上を、自社運営分とパートナー運営分に分けて追えているか。
小さく試すなら
- 自社の業務から、他者に任せても品質が保てそうなものを一つ選び、手順と判断基準を文書化する。
- その手順書を使って社外の協力者に2〜4週間試してもらい、自社で行った場合との結果を比べる。
- 協力者から受け取る対価の形(定額、売上連動、業務委託料)を仮に決め、双方の収支を試算する。
- 結果の差が小さく双方の収支が成り立つなら対象を広げ、差が大きければ手順書を直して再度試す。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社物語コーポレーション / 「焼肉きんぐ」などの外食チェーン。参照資料:2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27