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OTSUMU KNOWLEDGE

株式会社オリエンタルランドのテーマパーク・ホテル事業に学ぶ事業設計

東京ディズニーシーをはじめとするテーマパークとホテルを運営し、入園者数とゲスト1人当たり売上高、客室単価で収益をつくる事業です。売上高704,539百万円の実績から、新施設とイベントで客単価を支える設計とコスト増の関係が学べます。

この事例の要点

  • 同社グループの事業はテーマパーク、ホテル、その他のセグメントで構成され、売上高704,539百万円のうちテーマパークが568,345百万円を占めます(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。
  • テーマパーク入園者数は前年同期とほぼ同様で、ゲスト1人当たり売上高が増加したと説明しています(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。
  • 売上高は前年同期比3.7%増えた一方、人件費や諸経費をはじめとするコストが増加し、営業利益は168,413百万円(同2.1%減)でした(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。

どんな事業か

同社グループは、テーマパークとホテルを中心に事業を行っています。当連結会計年度は、東京ディズニーシーの新テーマポート「ファンタジースプリングス」が通期で稼働しました。年間を通じた「ダッフィー&フレンズ20周年:カラフルハピネス」のほか、夏の新規スペシャルイベント「サマー・クールオフ at Tokyo Disney Resort」、10年ぶりにパレードを刷新した「ディズニー・クリスマス」など、季節感のあるスペシャルイベントを展開したとしています(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。

ホテル事業では、東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルが通期稼働したことなどにより、客室単価が増加したとしています(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。

セグメント別の売上高は、テーマパークが568,345百万円、ホテルが119,049百万円、その他が17,144百万円です。2027年3月期は、アニバーサリーイベント「東京ディズニーシー25周年“スパークリング・ジュビリー”」の実施などから、テーマパーク入園者数とゲスト1人当たり売上高の増加を見込んでいます(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。

収益の仕組み

決算短信の説明から読み取れる売上の要素は、テーマパークでは入園者数とゲスト1人当たり売上高、ホテルでは客室単価です。当期は入園者数が前年同期とほぼ同様のなかで、テーマパークの売上高が2.9%増えており、ゲスト1人当たり売上高の増加が増収を支えたと読めます(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。

費用について、同社は当期に人件費や諸経費をはじめとするコストが増加したと説明しています。2027年3月期も、諸経費の増加、従業員の賃金改定に伴う人件費の増加、ホテル事業の修繕費などを見込み、営業利益は160,776百万円(当期比4.5%減)となる見通しです。今回参照した公開資料には、これ以上の費用の内訳は示されていません(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。

資産面では、固定資産が建設仮勘定の増加などにより953,862百万円(前期末比4.5%増)となりました(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。

数字で確かめる

  • 売上高は704,539百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益は168,413百万円(同2.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は121,881百万円(同1.8%減)です(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。増収のなかでコストの増加が利益を押し下げたことが読み取れます。
  • テーマパークの売上高は568,345百万円(増減率2.9%)、営業利益は130,488百万円(同△7.1%)です(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。主力のセグメントで利益が減ったことが読み取れます。
  • ホテルの売上高は119,049百万円(増減率7.8%)、営業利益は36,851百万円(同20.9%)です(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。新ホテルの通期稼働が利益を押し上げたことが読み取れます。
  • 売上高営業利益率は23.9%で、前期の25.3%から下がりました(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。利幅がやや縮んだことが読み取れます。
  • 営業活動によるキャッシュ・フローは181,281百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは△172,096百万円です(2026年3月期 決算短信(日本基準)(連結))。事業で得た現金に近い規模を投資活動に使っていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。施設運営・興行の型は、大きな施設に先に投資し、その施設にどれだけ人を呼び、1人からどれだけ売上を得るかで回収する事業です。決算短信が入園者数とゲスト1人当たり売上高を軸に業績を説明しているのは、この型の管理の要点がそこにあることを示していると考えられます。新テーマポートや新ホテル、周年イベントは、来園の理由を新しくし、滞在中の消費を増やすための投資と読めます。

ダイナミックプライシングの観点では、今回参照した決算短信に価格設定の方式についての記載はありません。そのうえで、入園者数がほぼ横ばいのなかでゲスト1人当たり売上高を伸ばしたという結果は、客数を増やすより、1人当たりの体験の価値と対価を高める方向で売上をつくっていると読めます。施設の受け入れ能力に上限がある事業では、混雑をならしながら単価を上げる工夫が重要なテーマになると考えられます。

裏側で必要な仕事は、施設とイベントの企画・建設・更新と、それを支える多くの従業員の確保です。トレードオフは、人件費や諸経費、修繕費が増えていくなかで、売上の伸びが鈍ると利益がすぐに減る点です。当期の実績と2027年3月期の見通しがともに増収減益となっていることは、この構造を示していると読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の売上を「客数×1人当たり売上」に分けたとき、どちらを伸ばす余地が大きいでしょうか。
  • 新しい設備やコンテンツへの投資は、来訪の理由と1人当たりの消費のどちらを増やすために行っているでしょうか。
  • 混み合う時間帯と空いている時間帯で、提供する体験の内容と価格は適切に分けられているでしょうか。
  • 人件費や修繕費が毎年増えるとき、それを吸収できる単価の上げ方を持っているでしょうか。

小さく試すなら

  1. 直近の数か月について、日別または週別に来店客数と1人当たり売上を並べ、曜日や季節による差を確認します。
  2. 客数が少ない時間帯に限定の体験や特典を用意し、混雑する時間帯には内容を上乗せした上位プランを試験的に設けます。
  3. 2〜4週間、時間帯ごとの客数、1人当たり売上、顧客の反応を記録します。
  4. 空いている時間帯の客数が増え、混雑する時間帯の1人当たり売上が下がらなければ、時間帯別の価格と内容の設計を定常化します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社オリエンタルランド / テーマパーク・ホテル事業。参照資料:2026年3月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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