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OTSUMU KNOWLEDGE

PINTEREST, INC.のビジュアル発見と広告に学ぶ事業設計

PINTEREST, INC.は、ユーザーがアイデアを探して保存する行動を広告の配信と成果につなげる広告型の事業です。Revenueは$4,221.8 millionで、利用者の意図を読むデータと広告オークションを組み合わせる設計を学びます。

この事例の要点

  • PINTEREST, INC.は自社を「AI-powered visual search and discovery platform」と説明し、ユーザーがアイデアを見つけて行動に移すまでの流れを、広告主のマーケティングファネルに重ねて収益化しています(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年のRevenueは$4,221.8 millionで前年比16%増、Income from operationsは$319.9 millionでした(Form 10-K、FY2025)。
  • 同社は、Pinterestを訪れるユーザーは購入判断の早い段階にいてまだ何を買うか決めていないため、新しい商品やブランドの発見に開かれていると説明しています(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

Pinterestは、モバイルアプリまたはWebで利用できるサービスです。ユーザーはPinと呼ばれるコンテンツを閲覧・保存し、ボードに整理しながら好みを絞り込み、計画を立て、買い物をします。同社によると、MAUsは619 millionで、Gen Zがユーザーの50%超を占めています(Form 10-K、FY2025)。

同社は、検索の90%超がブランド名を含まない(unbranded)検索だと述べています。また、保存やボード作成といった行動から生まれる関連づけ(Taste Graph)が推薦に使われていると説明しています(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

収益の中心は広告です。広告の大半はオークション方式で販売され、同社のオークションは、各広告表示の機会に対して、望ましい行動が起きる可能性と、その行動が広告主にとってどれだけの価値があるかをもとに最適な広告を選ぶと説明されています(Form 10-K、FY2025)。

課金は、認知目的の「brand」ではインプレッション(CPM)や動画視聴(CPV)、購買に近い「performance」ではクリック(CPC)やコンバージョン(oCPM)などを単位とします。運用はAds ManagerやAPI、AIを使うPinterest Performance+で行え、効果測定にはConversions APIやクリーンルームを用意しています(Form 10-K、FY2025)。

費用面では、2025年のCost of revenueは$841,521 thousand(売上比20%)で、増加の主因はユーザーとエンゲージメントの増加とされています。Research and developmentは$1,427,447 thousand(同34%)、Sales and marketingは$1,166,705 thousand(同28%)、General and administrativeは$466,211 thousand(同11%)でした(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • Revenueは$4,221.8 millionで、報告ベース16%増、為替一定ベース15%増でした(Form 10-K、FY2025)。広告需要が伸びた年だったことが読み取れます。
  • Income from operationsは$319.9 million、Adjusted EBITDAは$1,270.0 millionでした(Form 10-K、FY2025)。両者の開きから、株式報酬などの費用の大きさが読み取れます。
  • global ARPUは$7.21(4%増)で、U.S. and Canadaは$30.84、Europeは$5.12、Rest of Worldは$0.83でした(Form 10-K、FY2025)。地域によって1ユーザーあたりの収益化水準に大きな差があることが読み取れます。
  • 地域別Revenueは、U.S. and Canadaが$3,173.1 million(10%増)、Europeが$775.0 million(31%増)、Rest of Worldが$273.6 million(62%増)でした(Form 10-K、FY2025)。伸び率は米国外のほうが高いことが読み取れます。
  • 広告の表示数は49%増、広告の価格は22%減でした(Form 10-K、FY2025)。量を増やして単価低下を補う形で売上が伸びたことが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。広告型の事業は、利用者の時間と注意を集め、それを広告主が買いたい機会に変換できるかどうかで成り立ちます。Pinterestの場合、ユーザーが「まだ何を買うか決めていない段階」で検索や保存をする点が、広告を邪魔なものではなく発見の一部として受け入れてもらえる条件になっていると考えられます。検索の大半がブランド名を含まないという記述は、広告主にとって新しい顧客に出会える場であることを示していると読めます。

裏側で必要な仕事は、推薦と広告配信の精度を上げ続けることと、その成果を広告主に証明することです。Research and developmentが売上比34%と大きいことや測定手段の整備は、この二つへの継続投資が必要なことを示すと読めます。同社は、関連性の高い広告がユーザー体験と広告主の成果の両方を高める循環を「flywheel」と表現しています。

トレードオフは、地域間の収益化の差と、単価の変動です。U.S. and CanadaのARPUが$30.84であるのに対してRest of Worldは$0.83で、どの地域でユーザーが増えるかによって売上への効き方が大きく変わる構造だと考えられます。また、広告の価格が22%下がる中で表示数を増やして売上を伸ばしており、配信量とユーザー体験のバランスが問われ続けると読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の顧客が接点を持つ瞬間は、購入判断のどの段階に当たるでしょうか。
  • 利用者の行動から、広告主や取引先に価値のある「意図」のデータを得られているでしょうか。
  • 取引先に対して、自社経由の成果をどのような方法で示しているでしょうか。
  • 地域や顧客層によって収益化の水準がどれだけ違うかを把握しているでしょうか。

小さく試すなら

  1. 自社サイトやサービス上で、利用者が保存・比較・検索している行動を洗い出し、購入判断のどの段階に当たるかを分類します。
  2. 購入前の段階にいる利用者向けに、取引先の商品や情報を紹介する枠を1つ試験的に設けます。
  3. 表示数、クリック、問い合わせなどの成果を取引先ごとに記録し、共有できる簡単なレポートの形にします。
  4. 2〜4週間で、利用者の反応が落ちずに取引先の成果が示せるかを確認し、示せれば有償の掲載メニューとして提案に進みます。

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資料の位置づけ

企業・サービス:PINTEREST, INC. / ビジュアル検索・発見プラットフォームと広告。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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