この事例の要点
- スポーツクラブ事業の売上高は551億45百万円(前年同期比2.8%増)で、当連結会計年度末の在籍会員数は442,085名(同1.7%増)でした(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 売上高は649億33百万円(前年同期比1.9%増)と増収でしたが、合計38施設で減損損失30億56百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失は21億6百万円となりました(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 同社は中期経営計画を見直し、2035年に売上高の構成比をスポーツクラブ運営事業50%、非スポーツクラブ運営事業50%とすることを目指すとしています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
どんな事業か
同社グループの中心はスポーツクラブ事業で、会員が施設を利用する形の事業です。当連結会計年度には、4月に合併したスポーツオアシスの店舗網を活用し、企業・健康保険組合向けのマンスリーコーポレート会員を拡大したことが会員数の増加に寄与したと説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
当連結会計年度末の施設数は、スポーツクラブ232施設(直営141施設、業務受託86施設、運営支援4施設、ベトナムの直営1施設)、小型業態2施設、介護リハビリ87施設(直営52施設、フランチャイズ35施設)、アウトドアフィットネス9施設の計330施設です。出退店の一覧には、市の体育施設やプールなどの指定管理も含まれています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
このほか、介護・医療周辺事業ではリハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」を展開し、12月には通所介護施設を営む株式会社楓の風を子会社化しました。ホームフィットネス事業では、ステッパーや新商品「スタイリーフェイス」などをテレビ通販とECで販売しています。報告セグメントは「スポーツクラブ運営事業」のみです(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
収益の仕組み
スポーツクラブ事業の収益は、会員からの会費が中心と読めます。同社は、6月以降に新規入会者数が回復して在籍会員数が前年を上回ったことで売上高が前年を超えたこと、10月にフィットネス会員とスクール会員を対象に価格改定を行い、会費単価の上昇につながったことを説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
介護・医療周辺事業の売上高は24億67百万円(前年同期比22.1%増)、ホームフィットネス事業の売上高は39億38百万円(同18.6%減)でした(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
費用面では、光熱費や人件費等の各種コストの高止まりが見込まれるとしています。また、売上高に占める賃料負担の割合が大きい都心立地の店舗等、業績の回復が見込み難い6店舗と、契約満了に伴う1店舗の退店を決定し、退店に係る費用を一括して計上しました。減価償却費は33億90百万円でした(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。今回参照した公開資料には、費用の詳しい内訳は示されていません。
数字で確かめる
- 売上高64,933百万円(1.9%増)、営業利益1,565百万円(△19.6%)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。増収でも利益が減ったことが読み取れます。
- 経常利益795百万円(△35.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益△2,106百万円(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。減損や退店費用が最終損益に大きく響いたことが読み取れます。
- スポーツクラブ事業の在籍会員数442,085名(1.7%増)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。会員数は緩やかに伸びていることが読み取れます。
- 減損損失30億56百万円(合計38施設)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。投資を回収できない施設が一定数あったことが読み取れます。
- 自己資本比率17.0%(前期21.8%)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。損失により財務の余力が小さくなったことが読み取れます。
- 2027年3月期の連結業績予想は売上高680億円、営業利益18億円(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。回復を見込んでいることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は会費制(メンバーシップ)の型で、毎月の会費を多くの会員から継続して受け取ることで、施設の賃料や人件費、光熱費といった固定的な費用をまかなう形と読めます。成り立つ条件は、施設ごとに一定以上の会員数と会費単価を保つことだと考えられます。新規入会が低調だった4月、5月の影響や、価格改定で会費単価が上がったという説明は、会員数と単価の両方が収益を左右することを示しています。
裏側で必要な仕事は、施設ごとの採算管理です。同社が賃料負担の割合が大きい都心立地の店舗の退店を決め、減損の兆候を有する施設のうち投資回収が見込めない施設への対応を完了したと述べていることから、施設の出店と退店の判断が収益に直結する事業だと読めます。法人会員のように、個人の入会に頼らずまとまった会員を獲得する経路も、会員数を安定させる手段になっていると考えられます。
トレードオフは、施設数を維持することと収益性の間にあります。同社は、施設数を営業努力で維持するという前提を見直すとしています。また、安価な無人ジムなど新たな業態との競争が激しくなる中、介護リハビリやホームフィットネスを柱に加えることで、施設の固定費に左右されにくい事業の比率を高めようとしていると読めます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の継続課金の顧客について、拠点やサービス単位で採算を把握できているか。
- 会員数と単価のどちらが収益を動かしているかを、分けて説明できるか。
- 個人ではなく、法人や団体を通じてまとめて会員を獲得する経路はないか。
- 固定費の重い拠点を持ち続けるかどうかを、どんな基準で判断しているか。
小さく試すなら
- 拠点やサービスごとに、会員数・平均単価・固定費を一覧にし、採算の低い単位を特定する(1〜2週間)。
- 取引先の企業や団体3社程度に、従業員や構成員向けのまとめた会員プランへの関心を聞く(2週間)。
- 一部の会員区分で価格や特典の見直し案を用意し、退会率と入会数への影響を観察する(2〜4週間)。
- 法人経由の会員獲得に手応えがあり、価格見直しで退会が大きく増えないと分かれば、対象を広げます。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社ルネサンス / スポーツクラブ。参照資料:2026年3月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27