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OTSUMU KNOWLEDGE

株式会社セリアの店舗型小売に学ぶ事業設計:出退店と原価率の管理

株式会社セリアは直営店2,101店、FC店33店の店舗網で小売業を営み、2026年3月期は売上高255,695百万円、営業利益20,968百万円でした。出退店の採算精査と原価率・経費率の管理から、店舗型小売の事業設計を学べます。

この事例の要点

  • 株式会社セリアの2026年3月期は、売上高255,695百万円(前期比8.2%増)、営業利益20,968百万円(前期比24.5%増)でした(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。
  • 当期は直営店117店舗を出店し、直営店53店舗とFC店2店舗を退店して、期末の店舗数は合計2,134店となりました(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。
  • 売上原価率が58.3%と前期比0.3ポイント低下し、販売費及び一般管理費の売上高比率も0.8ポイント低下した結果、売上高営業利益率は8.2%(前期7.1%)になりました(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。

どんな事業か

セリアは店舗で商品を販売する小売業を営んでいます。期末の店舗数は直営店2,101店、FC店33店の合計2,134店で、店舗網の大半を直営店が占める構成です(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。同社は連結財務諸表を作成しておらず、今回の決算短信も非連結の開示です(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。

同社は当期のテーマとして「業務のデトックスに取り組む」を掲げ、業務内容の精査と社内システムの継続的改善を並行して進めていると説明しています。あわせて「商品仕様の見直しによる原価上昇抑制に注力」「複数出店案件が見込める企業との関係強化及び未出店地域の重点開拓」にも引き続き取り組んでいます(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。

なお、今回参照した決算短信には、取り扱う商品の価格帯や品目別の売上内訳は示されていません。本記事は、店舗網と損益に関する開示の範囲で整理します。

収益の仕組み

お金の入口は店舗での商品販売です。直営既存店売上高は前期比105.5%と順調に推移したと同社は説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。FC店が33店ありますが、FC店から同社に入るお金の算定方法は今回の資料には示されていません。

費用側では、売上原価率が58.3%で前期比0.3ポイント低下しました。販売費及び一般管理費は、既存店売上高が前期を上回ったことなどにより、売上高に対する比率が0.8ポイント低下しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。

店舗への投資も継続しています。投資活動では、新規出店や既存店のリニューアルに伴う有形固定資産の取得73億5百万円、差入保証金の差入9億80百万円などが計上されています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。次期の前提として、同社は直営出店120、直営退店60、売上原価率59.0%(前年同期比+0.7%)を置いています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。

数字で確かめる

  • 売上高255,695百万円(前期比8.2%増)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。店舗網の拡大と既存店の伸びが同時に効いた年だったことが読み取れます。
  • 営業利益20,968百万円(前期比24.5%増)、当期純利益14,696百万円(前期比31.0%増)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。売上の伸び率を利益の伸び率が上回っていることが読み取れます。
  • 直営既存店売上高 前期比105.5%(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。新店に頼らず既存の店舗でも売上が増えたことが読み取れます。
  • 売上原価率58.3%、売上高営業利益率8.2%(前期7.1%)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。原価と経費の比率をわずかずつ下げることが利益率を押し上げたことが読み取れます。
  • 自己資本比率72.1%、自己株式の取得251億35百万円(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。厚い自己資本を保ちながら株主還元に資金を振り向けたことが読み取れます。
  • 2027年3月期の業績予想は売上高273,600百万円(前期比7.0%増)、営業利益21,100百万円(前期比0.6%増)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結))。増収でも原価率の上昇を見込み、利益はほぼ横ばいの計画であることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。ディスカウント小売という型で見ると、この事業が成り立つ条件は、1店舗あたりの売上を保ちながら、原価率と経費率を小さな単位で管理し続けることにあると考えられます。セリアの当期は、売上原価率が0.3ポイント、販管費比率が0.8ポイント下がっただけで、営業利益が前期比24.5%増えました。比率の小さな変化が利益を大きく動かす構造だと読めます。

裏側で必要な仕事は、大きく三つあると考えられます。一つ目は、出店と退店を毎年入れ替える判断です。当期は直営店117店舗を出し、直営店53店舗を閉じています。採算の審査を続けなければ、店舗網は数を増やしても質が下がります。二つ目は、同社が「商品仕様の見直しによる原価上昇抑制」と表現している、仕入れ条件と商品設計の調整です。三つ目は「業務のデトックス」として示されている業務の精査とシステム改善で、販管費比率の低下を支える土台になっていると読めます。

トレードオフは、原価上昇への耐性です。同社は次期の売上原価率を59.0%(前年同期比+0.7%)と置き、営業利益はほぼ横ばいの計画です。今回の資料では販売価格の設定方針は示されていませんが、原価が上がる局面では、商品仕様の見直しと経費の圧縮でどこまで吸収できるかが業績を左右すると考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の利益は、原価率や経費率が何ポイント動くとどれだけ変わる構造になっているか。
  • 拠点やサービスを「増やす判断」と同じ頻度で「やめる判断」をしているか。その基準は明文化されているか。
  • 原価が上がったとき、価格以外に商品仕様や業務の側で吸収できる余地はどこにあるか。
  • 既存顧客・既存拠点の売上の伸びと、新規分の伸びを分けて把握できているか。

小さく試すなら

  1. 直近12か月の売上、原価、主要経費を拠点別またはサービス別に並べ、原価率と経費率を一覧にします。これで利益を押し下げている単位が特定できれば次に進みます。
  2. 最も比率の悪い単位を一つ選び、商品やサービスの仕様を一点だけ見直す案を作ります。品質を下げずに原価を下げられる余地があるかを確かめます。
  3. 2〜4週間、見直し案を一部で試し、既存顧客の購入数や満足度に変化がないかを記録します。
  4. 結果をもとに、継続・撤退の判断基準を一枚の表にまとめます。基準が社内で合意できれば、他の拠点やサービスにも広げます。

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資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社セリア / 100円ショップ。参照資料:2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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