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ネクセラファーマ株式会社の創薬提携とライセンスに学ぶ事業設計

ネクセラファーマ株式会社は、創薬の技術基盤から生まれた候補を大手製薬企業に提供して一時金・マイルストン・ロイヤリティを得つつ、日本で自社製品も販売しています。知的財産を段階的に収益化する設計を学べます。

この事例の要点

  • ネクセラファーマ株式会社は、英国の子会社でGPCRを標的とする創薬を行い、日本と韓国の子会社で後期臨床開発から販売までを担う体制をとっています(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 売上収益29,615百万円のうち、上市済製品が20,136百万円、研究・開発(契約一時金、マイルストン、前受収益取崩額など)が9,479百万円で、製品販売・ロイヤリティと提携収入の2本立てになっています(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • マイルストンの達成件数は前期の5件から7件に増えた一方、マイルストン収入は8,505百万円から5,227百万円に減りました。同社は、マイルストン収入は変動性が高いと説明しています(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

どんな事業か

同社は、日本発の国際的なリーディングバイオ医薬品企業を目指すとしています。創薬(研究)から前期臨床開発を英国の100%子会社が実施し、「NxWave ™ 」プラットフォーム技術でGPCRを標的とする創薬を行っています。自社および大手製薬企業との共同開発で、30品目を超えるパイプラインを持つと説明しています(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

販売面では、日本で脳血管攣縮治療薬ピヴラッツ®と不眠症治療薬クービビック®を扱っています。加えて、ノバルティス社の呼吸器疾患製品のグローバル販売からロイヤリティ収入を受け取っています。医薬品事業の単一セグメントです(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

戦略の柱は、日本およびAPACの患者に自社開発品や導入品を届けることと、「NxWave ™ 」で設計した新薬プログラムを自社または提携先と進めることの2つです。2025年11月には事業再構築を発表し、優先度の高いプログラムへの集中と営業費用の削減を進めるとしています(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

収益の仕組み

研究・開発の収益は主に3種類です。新規の提携先との契約開始時に受け取る契約一時金、提携先が研究・開発で一定の進捗を達成したときに受け取るマイルストン、そして一時金などをいったん前受収益として計上し、研究開発の進捗に応じて売上に振り替える前受収益取崩額です(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。たとえばアッヴィ社との提携では、最大12億米ドルのマイルストンに加え、販売高に応じた段階的ロイヤリティを受け取る権利があるとしています。

上市済製品の収益は、ピヴラッツ®の自社販売、クービビック®で提携先の塩野義製薬株式会社から得る販売に応じたロイヤリティと製品供給、ノバルティス社からのロイヤリティで構成されます(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

費用面では、売上原価8,198百万円、研究開発費14,466百万円、販売費及び一般管理費15,225百万円です。研究開発費全体の89%は英国での活動によるものと説明されています(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。

数字で確かめる

  • 売上収益:29,615百万円、前期比2.7%増(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。製品販売の伸びが提携収入の減少を補ったことが読み取れます。
  • 営業損失:8,462百万円(前期は5,423百万円の損失)、コア営業損失:352百万円(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。研究開発費の重さと一時的な費用が損益を押し下げていることが読み取れます。
  • クービビック®の売上収益:4,327百万円、前期比223.9%増(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。提携先経由の販売ロイヤリティが立ち上がり期にあることが読み取れます。
  • 呼吸器疾患のロイヤリティ収益:2,169百万円、前期比1.0%減(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。過去の提携が安定した収入として続いていることが読み取れます。
  • 前受収益の残高:5,356百万円(当連結会計年度末)(2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結))。今後の研究開発の進捗に応じて売上になる予定の金額が積み上がっていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。ロイヤリティとライセンスのモデルは、自社で生み出した知的財産を他社に使わせ、その対価を段階的に受け取る形です。同社の場合、創薬の技術基盤から候補を生み出し、大手製薬企業との提携で一時金とマイルストンを得て、上市後は販売に応じたロイヤリティを得る流れになっています。開発の費用とリスクの一部を提携先が担う代わりに、成功時の取り分は限られるというトレードオフがあると考えられます。

このモデルが成り立つ条件は、提携先が関心を持つ候補を継続的に生み出せることと、提携の数を十分に持つことだと考えられます。マイルストン収入は提携先の開発の進み具合に左右されるため、年ごとの振れが大きくなります。件数が増えても金額が減った2025年の結果は、その性質を示していると読めます。

同社は、提携収入に加えて、日本で自社販売する製品を持つ構成です。自社販売は安定した売上をもたらす一方で、販売体制の費用がかかります。裏側では、契約条件の設計、提携先の開発状況の把握、収益認識の管理といった仕事が欠かせないと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社のノウハウや技術を、他社に使ってもらう形で収益化できる部分はあるでしょうか。
  • 契約時・途中の達成時・利用に応じた段階など、対価を複数のタイミングに分けて受け取る設計を考えたことはあるでしょうか。
  • 振れの大きい収入と、安定した収入の組み合わせをどう設計しているでしょうか。
  • 提携先に任せる部分と自社で担う部分の線引きは、利益の取り分と見合っているでしょうか。

小さく試すなら

  1. 1週目:自社の技術、データ、手法のうち、他社が使いたがりそうなものを3つ挙げ、使い道を書き出します。
  2. 2週目:そのうち1つについて、初期費用・達成時の報酬・利用量に応じた料金を組み合わせた契約案をつくります。
  3. 3週目:取引先や関係先の数社に契約案を見せ、どの条件なら検討できるかを聞き取ります。
  4. 4週目:反応をもとに料金の段階を見直し、1社でも試験的な契約に進めるかを判断します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:ネクセラファーマ株式会社 / 創薬提携とライセンス。参照資料:2025年12月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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