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サンドラッグのドラッグストアとディスカウントストアに学ぶ事業設計

ドラッグストア事業とディスカウントストア事業の2業態で合計1,594店舗を展開する小売の事例です。2026年3月期の決算短信から、出店と改装、調剤・EC、取引条件の改善を積み重ねて利益を伸ばす仕組みを読み解きます。

この事例の要点

  • 同社グループは当連結会計年度末時点で、ドラッグストア事業1,155店舗、ディスカウントストア事業439店舗の合計1,594店舗を展開しています(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。
  • 売上高842,512百万円(前期比5.1%増)、営業利益46,831百万円(前期比5.2%増)の増収増益でした(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。
  • 取引条件改善等により、売上総利益率はドラッグストア事業で0.2pt、ディスカウントストア事業で0.3pt向上したと説明されています(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。

どんな事業か

同社グループは、ドラッグストア事業とディスカウントストア事業の2つのセグメントで店舗を運営しています。ドラッグストア事業の1,155店舗は、直営店886店舗、㈱星光堂薬局84店舗、㈱サンドラッグプラス76店舗、㈱大屋72店舗、フランチャイズ等37店舗で構成され、ディスカウントストア事業はダイレックス㈱の439店舗です(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。

同社は「安心・信頼・便利の提供」をキーワードに、専門性の向上を図りながら新規出店と既存店の改装を進め、少子高齢化や消費者の購買動向の変化への対応として調剤事業とEC事業の強化に取り組んだと説明しています。当連結会計年度は73店舗を新規出店し、79店舗で改装、21店舗を閉店しました(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。

ドラッグストア事業では、感冒薬を中心とした季節商材の販売が減少した一方、既存店の改装効果、調剤事業・EC事業の好調、備蓄米の販売が売上を押し上げました。ディスカウントストア事業では、季節家電の需要が暖冬の影響等で低調だった一方、食品部門が市場価格の上昇等を背景に堅調に推移したとしています(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。

収益の仕組み

収益は、店舗とECでの商品販売、および調剤から生まれています。同社は利益面の要因として、前期末からの取引条件改善等による売上総利益率の向上を挙げており、ディスカウントストア事業でも「ドラッグストア商材の取引条件改善等」があったと説明しています(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。

費用面では、経費について生産性向上の継続的な取り組みと環境経営の推進に注力したとしていますが、今回参照した公開資料には販売費及び一般管理費の内訳は示されていません。投資面では、総資産の増加の主な要因を新規出店、改装による有形固定資産等とし、投資活動に使用した資金も主に有形固定資産の取得による支出と説明しています(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。

次期に向けては、立地特性に応じた業態による新規出店、EC事業と調剤事業の拡大、プライベートブランド商品の拡充、新規カテゴリーの開発、各種業務のデジタル化(省人化)を挙げ、グループ合計100店舗(ドラッグストア事業68店舗、ディスカウントストア事業32店舗)の新規出店を計画しています(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。

数字で確かめる

  • 売上高842,512百万円(前期比5.1%増)、EBITDA65,707百万円(前期比6.2%増)(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。規模の拡大と現金を生む力の増加が同時に進んだことが読み取れます。
  • 売上高営業利益率は2026年3月期5.6%、2025年3月期5.5%(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。利益率を少しずつ引き上げていることが読み取れます。
  • ドラッグストア事業の売上高5,393億79百万円(前期比4.3%増)、営業利益274億81百万円(同3.1%増)(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。売上の多くをこの事業が占めることが読み取れます。
  • ディスカウントストア事業の売上高3,641億21百万円(前期比6.4%増)、営業利益193億50百万円(同8.4%増)(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。伸び率ではディスカウントストア事業が上回ったことが読み取れます。
  • 営業活動によるキャッシュ・フロー43,297百万円、投資活動によるキャッシュ・フロー△32,076百万円(2026年3月期 決算短信[日本基準](連結))。稼いだ資金の多くを出店・改装などに回していることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。ディスカウント小売という型は、低い価格で来店頻度を高め、売上の量で利益を確保する形です。同社の場合、売上高営業利益率が5.6%という水準で、売上総利益率の0.2ptや0.3ptの改善が語られている点に、この型の性格が表れていると読めます。わずかな率の差が利益に効くため、仕入れの取引条件をどう交渉するかが中核の仕事になると考えられます。ディスカウントストア事業でも「ドラッグストア商材の取引条件改善等」が挙げられていることから、2つの業態で商材の調達を共有することが交渉力につながっている可能性があります。

もう一つの条件は、価格だけで選ばれない理由を持つことです。同社は調剤事業、EC事業、プライベートブランド商品、専門性の向上を並べて挙げています。価格競争が続くなかで、処方箋や専門的な相談のように来店の理由を別に持つことが、客数を安定させる役割を担っていると考えられます。

トレードオフは、出店と人手への依存です。同社は出店競争の激化、業界再編、他業態との競争、労働力不足を事業環境として挙げています。店舗を増やすほど売上は伸びますが、人手と投資も増えます。デジタル化(省人化)を掲げているのは、この型を続けるための費用側の手当てと読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の粗利率がわずかに動いたとき、営業利益はどれだけ変わるかを把握しているか。
  • 仕入れや外注の条件を、複数の事業や拠点でまとめて交渉できる余地はあるか。
  • 価格以外に顧客が自社を選ぶ理由(専門性、継続利用の仕組み、独自商品)は何か。
  • 拠点を増やすときに、人手の制約をどう乗り越えるかの手当てを先に考えているか。

小さく試すなら

  1. 直近の取引から売上上位の商品やサービスを20件選び、仕入れ・外注の条件と粗利率を一覧にする。
  2. 条件の見直し余地がありそうな取引先を3社選び、発注量の集約や支払条件の変更を提案する。
  3. 2週間程度で並行して、価格以外の来店・利用理由(相談、定期購入、独自商品)を顧客5人に聞く。
  4. 粗利率の改善幅と顧客の声から、次に取り組むのが「条件交渉」か「選ばれる理由づくり」かを決める。

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資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社サンドラッグ / ドラッグストア・ディスカウントストア。参照資料:2026年3月期 決算短信[日本基準](連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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