ロードバランサーとは
ロードバランサーとは、Webサイトやアプリへのアクセスを一か所で受け止め、裏側にある複数のサーバーへ通信を振り分けることで、一台あたりの負荷を減らし、一部のサーバーが止まってもサービス全体を止めないようにする装置やサービスです。
平易に言えば「スーパーのレジの案内係」です。混んでいるレジを避けて空いているレジに案内し、故障したレジには誰も並ばせません。
日本語では「負荷分散装置」と呼ばれ、略して LB と書かれることもあります。かつては専用の機器を買って設置するのが一般的でしたが、現在はクラウドのサービスとして使うことが多くなっています(AWSのElastic Load Balancing、Google CloudのCloud Load Balancing、AzureのLoad BalancerやApplication Gatewayなど)。
仕組み・ポイント
ロードバランサーの基本的な働きは三つです。
- 受け付ける:利用者からの通信を一つの窓口(同じURL)で受ける
- 振り分ける:決められたルールで、裏側のどのサーバーに渡すかを決める
- 見張る:裏側のサーバーが正常に応答するかを定期的に確認する(ヘルスチェック)
振り分けの方式にはいくつかあります。
| 方式 | 考え方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ラウンドロビン | 順番に均等に渡す | サーバーの性能がそろっている |
| 最少接続 | いま処理中の数が少ないサーバーに渡す | 処理時間にばらつきがある |
| URLやパスで振り分け | 「/api は APIサーバー、/admin は管理画面」のように分ける | 機能ごとにサーバーを分けている |
| 同じ利用者を同じサーバーへ(スティッキーセッション) | ログイン状態をサーバーに持っている場合 | 古い作りのアプリ |
ヘルスチェックで異常と判定されたサーバーには通信を送らなくなるため、一台が故障しても利用者からは問題なく使い続けられます。この性質が冗長化の基本になります。
また、HTTPSの暗号化と復号をロードバランサーで行う(SSL/TLSの終端)ことで、証明書の管理を一か所にまとめられる利点もあります。
実務での使い方・具体例
ある会社の会員サイトが一台のサーバーで動いており、月末の申込み集中時に遅くなる、OSの更新作業のたびにサイトを止めなければならない、という課題を抱えている場面を考えます。
ロードバランサーを入れた構成に変える場合、次のように進めます。
- アプリを二台以上のサーバーで同じように動かせるようにする
- ログイン状態やアップロードファイルを、各サーバーではなく共通の保存先(データベースやストレージ)に置くよう改修する
- ロードバランサーを設置し、ヘルスチェック用の確認ページを用意する
- DNSの向き先をロードバランサーに切り替える
- 一台ずつ切り離して更新することで、サイトを止めずにメンテナンスする
見落としやすいポイント
2の改修が意外と大きな作業になることがあります。一台で動かす前提で作られたアプリは、ログイン情報やファイルをサーバー内に保存していることが多く、そのまま台数を増やすと「ログインしたのに次の画面でログアウトされる」といった不具合が起きます。台数を増やす前に、どこに状態を持っているかを確認することが重要です。
さらに、負荷に応じてサーバーの台数を自動で増減させるオートスケーリングと組み合わせると、混雑時だけ台数を増やす運用ができます。
よくある誤解と注意点
- ロードバランサーを入れれば速くなる、わけではない:裏側のデータベースが遅い場合、サーバーの台数を増やしても改善しません。どこが詰まっているかを確認します。
- ロードバランサー自体が止まる可能性:自前の機器で一台だけ置くと、そこが弱点になります。クラウドのサービスは冗長化されていることが多いですが、構成は確認しておきます。
- ヘルスチェックの設計が甘い:トップページが表示されるだけで正常と判断すると、データベースにつながらない状態を見逃すことがあります。確認する内容を設計します。
- セッション固定に頼りすぎない:同じ利用者を同じサーバーへ送る設定は手軽ですが、そのサーバーが止まると利用者はログアウトされます。状態は共通の保存先に持つ設計が基本です。
- 費用は時間と通信量で決まる:クラウドのロードバランサーは、稼働時間や処理量に応じた料金がかかります。最新の料金体系は公式情報で確認します。
関連用語
- オートスケーリング:負荷に応じてサーバーの台数を自動で増減させる仕組み
- 冗長化:一部が壊れても止まらないよう予備を用意する考え方
- CDN:静的ファイルを利用者の近くから配信する仕組み。ロードバランサーの手前に置くことが多い
- 可用性:システムが使える状態を保つ度合い
- 実践記事:オンプレミスからクラウドへの移行手順:計画・移行方式・検証
Otsumuに相談できること
一台のサーバーで動いているシステムを止まりにくい構成に変えたい、クラウド移行に合わせて負荷分散を取り入れたい、といったご相談に対応しています。アプリ側に必要な改修の洗い出しから、構成の設計、切り替えまで一緒に進めます。詳しくはクラウド移行をご覧ください。
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01