プレマネー・バリュエーション/ポストマネー・バリュエーションとは
プレマネー・バリュエーションとは、出資を受ける前の時点の会社の評価額のことです。ポストマネー・バリュエーションとは、出資を受けた後の評価額で、出資前の評価額に、新たに払い込まれた資金を足したものです。「資金が入る前の値段」と「入った後の値段」の違いと言えます。
「マネー」は、新たに入る資金を指します。プレは「前」、ポストは「後」という意味で、資金が入る前後のどちらを基準にするかを区別するために使われます。同じ評価額という言葉でも、どちらを指すかで、投資家の持分の計算結果が変わります。
仕組み・ポイント
計算の関係を整理します。
- ポストマネー評価額:プレマネー評価額に、新たに調達する金額を足した額です。
- 投資家の持分の割合:調達する金額を、ポストマネー評価額で割った割合になります。
- 既存株主の持分:出資の後は、投資家の持分の割合の分だけ、全体の中で小さくなります。
- 表記の確認:契約や資料で「評価額」とだけ書かれていたら、前か後かを必ず確認します。
- 複数の投資家:複数回の出資が重なる場合は、それぞれの前後を整理します。
この区別が重要なのは、調達の交渉で、評価額が最も注目される数字の一つだからです。数字の大きさに目が向きがちですが、実際に重要なのは、持分の割合と、そこから得られる資金の額の組み合わせです。
基準が違えば、同じ評価額の提示でも、条件が有利か不利かが逆になることもあります。
実際の計算では、新株予約権などの潜在株式を、持分の計算に含めるかどうかも、確認が必要な点です。含めるかどうかで、投資家の持分の割合が変わるためです。
実務での簡単な確認方法は、「この評価額に、今回の調達額は含まれていますか」と相手に尋ねることです。含まれていればポストマネー、含まれていなければプレマネーという関係になります。この質問を、交渉の早い段階で行っておくと、数字の食い違いを防げます。
実務での使い方・具体例
架空の例として、新規事業の会社が、出資の条件について投資家と話す場面を考えます。「評価額は同じ数字でも、プレなのかポストなのかで、投資家の持分が変わる」と気づき、担当者は、二つの場合の持分の割合を、同じ表に並べて比べます。
比べた結果を、創業者と共有します。数字が同じに見える提案でも、前後の違いで、創業者の持分が想定より下がる場合があるためです。条件の提示を受けたら、まず基準の確認から始めます。
社内の資料でも、評価額を書くときは、必ず前後を明記する運用にします。後から資料を読んだ人が、混乱しないようにするためです。
進め方の例
- 提示された評価額が、出資の前か後かを確認する。
- 調達額と評価額から、投資家の持分の割合を計算する。
- 前と後の両方で計算した結果を、一つの表に並べて比べる。
- 契約書や資料に、前後の別を明記してもらう。
よくある誤解と注意点
- 評価額の数字だけで条件を比べると、実質の違いを見落とします。
- プレとポストを取り違えると、持分の計算が大きくずれます。
- 表記が曖昧な資料を受け取ったら、必ず相手に基準を確認します。
- 複数回の出資では、それぞれの前後の評価額を整理しないと、全体の持分が分かりにくくなります。
制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
- バリュエーション(企業価値評価):評価額の基本的な考え方
- 希薄化:評価額で変わる持分の割合
- 資本政策:評価と持分を長期で設計する計画
- キャップテーブル(資本構成表):持分の構成を表にまとめたもの
Otsumuに相談できること
出資の条件を比べる場面では、基準をそろえた表で持分を試算することが、判断の誤りを防ぎます。詳しくは事業戦略・調査の支援をご覧ください。状況の整理から始めたい場合は、30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04