トラッキングプラン(計測設計書)とは
トラッキングプランとは、Webサイトやアプリで計測するイベントやデータ項目について、名前・意味・送信される条件・付随する情報などを一覧にまとめた設計書です。
平たく言えば「何を、どんな名前で、いつ記録するか」を決めた計測のルールブックです。開発者はこれを見て計測を実装し、分析担当者はこれを見てデータの意味を理解します。関係者が同じ文書を見ることで、「このイベントは何を数えているのか」という食い違いを防げます。
英語の Tracking Plan をそのまま使った言葉で、日本語では計測設計書、イベント設計書などと呼ばれます。
書くべき項目
トラッキングプランは、スプレッドシートで管理されることが多く、一般に次のような列を持ちます。
| 列 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| イベント名 | 命名規則に沿った名前 | trial_started |
| 説明 | 何が起きたときのイベントか | 無料トライアルの申し込みが完了したとき |
| 送信のタイミング | 画面表示時か、処理完了時か | サーバーで登録処理が成功した時点 |
| プロパティ | 付随して送る情報と型 | plan(文字列)、referrer(文字列) |
| 目的・使う指標 | 何の分析に使うか | トライアル開始数、流入元別の有料化率 |
| 送信元 | Web、アプリ、サーバー | サーバー |
| 担当者・状態 | 実装担当と進捗 | 設計済み、実装済み、検証済み |
あわせて、文書の冒頭に次のような共通ルールを書いておきます。
- 命名規則(小文字とアンダースコア、「対象+過去形の動作」など)
- ユーザーIDとアカウントIDの扱い、ログイン前後のID統合の方法
- 全イベントに共通で付けるプロパティ(端末、アプリのバージョンなど)
- 個人情報を送らないなどの禁止事項
実務での使い方・具体例
架空の飲食店向け予約サービスで、トラッキングプランを作る流れを見てみます。
- 目的と指標を決める:「予約完了数を増やす」を目的とし、検索→店舗詳細閲覧→日時選択→予約完了のファネルと、再予約率を見ることにする
- 必要なイベントを洗い出す:search_performed、shop_viewed、slot_selected、reservation_completed、reservation_cancelled
- プロパティを決める:検索条件のエリアや人数、店舗のジャンル、予約日までの日数など、分析で切り口にしたい項目を決める
- 開発者とすり合わせる:「予約完了」は画面表示時ではなくサーバーで確定した時点で送る、など実装の詳細を詰める
- 実装後に検証する:テスト環境で一連の操作を行い、全イベントが一度ずつ、正しいプロパティ付きで届くかを確認する
- 変更履歴を残す:イベントを追加・変更したら日付と理由を記録する
この手順を踏むと、公開後すぐにファネルの各段階の数字が見られる状態になり、「どこで予約をやめる人が多いのか」を議論できるようになります。
運用ルールの例
- 新しい機能を作るときは、仕様書と同時にトラッキングプランの追記を必須にする
- イベント名の変更は原則禁止し、必要な場合は新しいイベントを作って古いものを廃止扱いにする
- 四半期に一度、使われていないイベントを棚卸しする
- 計測の不具合を見つけた人が報告する窓口と、修正の優先度の決め方を決めておく
ルールは細かく作り込むより、関係者が守れる数に絞る方が定着します。最初は命名規則と更新の責任者だけを決め、運用しながら足していく形でも十分です。
よくある誤解と注意点
- 一度作って終わりではない:機能が増えるたびに更新しないと、実装とずれて誰も信用しない文書になります。開発の流れに組み込むことが重要です。
- 項目を増やしすぎない:「念のため」で増やしたイベントは保守の負担になります。どの指標の計算や分析に使うかが書けないイベントは、いったん保留にします。
- ツールの設定画面だけで管理しない:分析ツールの中にも定義を書けますが、ツールを変えると失われます。ツールの外に正本を持っておくと安心です。
- 事業側と開発側の共同作業にする:開発者だけで作ると事業の問いに答えられず、事業側だけで作ると実装できない設計になりがちです。
関連用語
- イベントログ:トラッキングプランに沿って記録されるデータ
- プロダクトアナリティクス:計測したデータでプロダクトを改善する取り組み
- Googleタグマネージャー(GTM):Webの計測タグを管理するツール
- KPIツリー:計測すべき指標を洗い出す土台になる指標の分解図
関連記事:計測設計書(トラッキングプラン)の作り方と運用ルールの決め方
Otsumuに相談できること
トラッキングプランは、KPIの構造が決まっていると迷わずに作れます。OtsumuのKPI改善コンサルティングでは、KPIツリーの整理から計測設計書の作成、実装後の検証と分析の運用までを支援します。新規サービスの場合は、爆速MVPシステム開発の中で設計段階から計測を組み込めます。
計測の設計に自信がない、既存の計測を整理し直したいといった段階でも、30分の無料相談でお気軽にご相談ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01