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SaaS同士をつなぐ方法:iPaaS・API開発・CSV連携の選び方

SaaS同士をつなぐ方法は、iPaaS・ノーコード連携ツール、API個別開発、CSV連携の3つです。連携の頻度・データ量・変換の複雑さ・止まったときの影響から方法を選ぶ判断基準、組み合わせ方、導入手順とよくある失敗を解説します。

SaaS同士をつなぐ方法は、大きく分けて「iPaaSやノーコードの連携ツールを使う」「APIを使って個別に開発する」「CSVファイルで受け渡す」の三つです。どれが優れているということはなく、連携の頻度、データの量、変換の複雑さ、そして連携が止まったときの影響の大きさによって、適した方法が変わります。

判断の基本的な考え方は、単純で件数の少ない連携はツールで素早く実現し、業務の中心になる連携や変換が複雑な連携は個別に開発し、頻度が低く一括で足りる連携はCSVで済ませる、というものです。一つの会社の中でも、連携ごとに方法を使い分けるのが普通です。

この記事は、営業管理・会計・人事・ECなど複数のSaaSを使っていて、データの手入力や転記に時間を取られている事業責任者や業務改善の担当者に向けて書いています。三つの連携方法の違い、選ぶための判断基準、組み合わせ方、導入の手順、よくある失敗までを整理します。

SaaS連携が必要になる理由と、連携しないことの代償

業務ごとに最適なSaaSを選んで使う会社が増える一方で、SaaS同士のデータが分断され、同じ情報を何度も入力する手間が生まれています。営業管理に登録した取引先を、請求のために会計ソフトにも登録し、契約管理のツールにも登録する。受注の情報を、在庫管理と出荷のツールにそれぞれ転記する。こうした二重・三重の入力は、作業時間を奪うだけでなく、転記の誤りや更新の漏れによる不整合を生みます。

連携しないことの代償は、作業時間だけではありません。システムごとに情報が少しずつ違うため、「どれが正しい情報か」を確認する作業が日常的に発生します。経営の数字を集計するたびに、複数のSaaSからデータを書き出して手作業で突き合わせる必要があり、判断が遅れます。担当者が特定の手順を覚えていることで業務が回っている状態は、その人が休んだり辞めたりしたときに業務が止まる危険も抱えています。

SaaS連携の目的は、これらの手間と危険を減らし、データが一度の入力で必要な場所に届く状態を作ることです。

SaaSをつなぐ3つの方法:iPaaS・API開発・CSV連携

iPaaS・ノーコード連携ツール

iPaaSは、複数のSaaSをつなぐための連携基盤をクラウドで提供するサービスです。ZapierやMake、Power Automateなどのノーコード連携ツールもこの仲間に含めて考えることができます。「Aで新しい取引先が登録されたら、Bにも登録する」といった連携の流れを、画面上で部品を組み合わせて設定します。

利点は、開発をせずに素早く連携を作れることと、よく使われるSaaSの接続部品があらかじめ用意されていることです。一方で、利用料は連携の実行回数や接続の数に応じて増えることが多く、件数が多い連携では費用がかさみます。複雑な条件分岐やデータの変換、大量のデータの一括処理は、表現しにくいか、設定が複雑になって保守しにくくなります。

APIを使った個別開発

連携するSaaSが公開しているAPIを使い、連携の処理をプログラムとして開発する方法です。自由度が最も高く、複雑な変換、業務の例外の扱い、失敗時の再処理などを細かく設計できます。大量のデータを扱う場合も、ツールの実行回数による課金を気にせずに済みます。

その代わり、開発の費用と期間がかかり、連携先のAPIの仕様変更への追従など、保守の責任も自社側で持つことになります。API連携の基本と開発の進め方はAPI連携とは何かで解説しています。

CSVファイル連携

一方のSaaSからCSVファイルを書き出し、もう一方のSaaSに取り込む方法です。多くのSaaSが標準で備えている機能だけで実現でき、追加の費用がほとんどかかりません。

ただし、書き出しと取り込みの操作は人が行うため、手作業は残ります。項目の並びや形式が合わないと取り込みでエラーになり、その修正にも手間がかかります。頻度が低い連携や、月末の一括処理のような業務には十分ですが、日々の業務の連携には向きません。取り込みのエラーを減らすには、書き出す側の項目の並びと形式を固定し、取り込む前に項目の過不足を確認する手順を決めておくことが有効です。

連携方法を選ぶための判断基準

三つの方法を比べると、次のようになります。

判断の観点iPaaS・ノーコードAPI個別開発CSV連携
連携の頻度随時〜毎日に向く随時〜即時に向く週次・月次に向く
データの量少量〜中量大量でも対応しやすい一括で大量も可(手作業の負担あり)
変換の複雑さ単純な変換に向く複雑な変換・例外処理も可取り込み前に手で整える
立ち上げの速さ速い時間がかかるすぐ始められる
初期費用小さい大きいほぼかからない
継続費用実行回数や接続数で増える保守費・サーバー費作業する人の時間
止まったときの気づきやすさツールの通知機能に依存設計次第で作り込める作業者がその場で気づく
連携先が対応していない場合使えないことがあるAPIがあれば対応可ファイル出力があれば対応可

この表を使って判断するときは、次の四つの問いに順に答えるとよいでしょう。

  1. 連携先のSaaSは、どの方法に対応しているか:使いたいiPaaSに接続部品があるか、APIが公開されているか、CSVの書き出し・取り込みができるか。対応していない方法は選択肢から外れます。
  2. どれくらいの頻度で、どれくらいの量が流れるか:一日に数件ならノーコードで十分でも、一日に数千件ならツールの利用料が膨らみ、個別開発のほうが合理的になることがあります。
  3. データの変換や業務の例外はどれだけ複雑か:項目をそのまま写すだけならツールで足ります。コードの変換、条件による振り分け、複数のデータの統合が必要なら、個別開発が向いています。
  4. 連携が止まったとき、業務にどれだけ影響するか:止まっても翌日に手で補える連携と、止まると出荷や請求が止まる連携とでは、求められる確実さが違います。影響が大きいほど、失敗の検知と再処理を作り込める個別開発の価値が高まります。

連携頻度・データ量・変換の複雑さ別の選び方の例

判断基準を具体的な場面に当てはめると、次のようになります。いずれも架空の一般例です。

問い合わせフォームの内容を営業管理に登録する:一日の件数はそれほど多くなく、項目もほぼそのまま写せます。失敗しても手で登録し直せます。ノーコードの連携ツールで十分な典型例です。

ECの注文を在庫管理と出荷のシステムに送る:件数が多く、遅れると出荷が止まり、商品コードの変換やキャンセルの扱いなど例外も多い連携です。API連携の個別開発、または業務用の連携基盤で確実に作り込むことを検討します。受注・在庫・出荷の連携の設計はEC運営の受注・在庫・出荷を連携させるバックオフィスの設計で解説しています。

月末に売上データを会計ソフトへ取り込む:月に一度の処理で、件数がまとまっていても一括で取り込めます。CSV連携から始め、手作業の負担が大きくなってから自動化を検討しても遅くありません。

営業管理と会計ソフトの取引先情報を同期する:件数は中程度ですが、両方で編集される可能性があり、どちらを正本にするかの設計が必要です。まず正本を決め、一方向の同期であればノーコードツールで、双方向で調整が必要ならば個別開発で検討します。

勤怠管理の集計を給与計算のSaaSへ渡す:月に一度の処理ですが、残業や休暇の区分の対応付けを誤ると給与に直接影響します。両方のSaaSに標準の連携機能があればまずそれを使い、なければCSV連携で始めて、取り込み前に区分ごとの合計を確認する手順を設けます。件数は少なくても誤りの影響が大きいため、自動化するかどうかより、確認の手順を確実にすることが優先されます。

商談の成約をチャットツールに通知する:営業管理で商談が成約になったら、社内のチャットに知らせる連携です。失敗しても業務への影響は小さく、ノーコードの連携ツールで数分で作れます。こうした軽い連携に開発費をかける必要はありません。

iPaaSとAPI開発を組み合わせる考え方

実際の現場では、一つの方法だけで全連携をまかなうより、組み合わせるほうが合理的なことが多くあります。

一つは、連携ごとに方法を分ける組み合わせです。業務の中心になる重い連携は個別開発で確実に作り、周辺の軽い連携はノーコードツールで素早く作る。こうすれば、開発の費用を本当に必要な部分に集中できます。

もう一つは、一つの連携の中で役割を分ける組み合わせです。たとえば、SaaSからの通知の受け取りや他ツールへの配信はiPaaSに任せ、複雑な変換や判定の部分だけを自社で開発した処理に任せる、という形です。iPaaSの多くは、外部の処理を呼び出す部品を持っているため、こうした分担が可能です。

組み合わせるときに注意したいのは、連携の全体像が見えにくくなることです。どの連携がどの方法で、誰が管理しているかを一覧にした台帳を作り、変更のたびに更新します。台帳がないと、担当者の異動や退職をきっかけに、誰も中身を知らない連携が残ることになります。

連携方法ごとの費用の比べ方

連携方法を選ぶとき、初期費用だけを比べると判断を誤ります。ノーコードは初期費用が小さい代わりに件数に応じた利用料が続き、個別開発は初期費用が大きい代わりに件数が増えても費用が増えにくい、という性質の違いがあるからです。CSV連携は費用がかからないように見えますが、作業する人の時間という見えにくい費用がかかり続けます。

比べるときは、同じ期間(たとえば三年間)の合計で考えます。それぞれの方法について、次の項目を見積もって並べてみてください。

  • 初期の費用:ツールの設定作業、個別開発の費用、CSVの取り込み手順の整備
  • 毎月の費用:ツールの利用料、サーバーの費用、保守の費用
  • 件数が増えたときの費用:件数が今の二倍、三倍になったときに、利用料や作業時間がどう変わるか
  • 人の作業時間:CSVの書き出しと取り込み、エラーの修正、ツールの設定変更にかかる時間
  • 止まったときの損失:連携が止まって業務が遅れた場合の影響と、復旧にかかる手間

この比較をすると、今は件数が少なくてノーコードが有利でも、事業の成長とともに個別開発のほうが有利になる時期が見えてきます。その時期を前もって把握しておけば、慌てずに切り替えの準備ができます。また、CSV連携の作業時間を金額に置き換えてみると、自動化の価値が具体的になり、社内で投資を説明する材料にもなります。個別開発の費用の決まり方はAPI連携開発の費用で詳しく整理しています。

SaaS連携の導入手順

連携を導入するときは、次の手順で進めると、無駄な作り込みや手戻りを避けられます。

  1. 手作業の棚卸しをする:SaaS間でデータを転記している作業を洗い出し、頻度、件数、所要時間、ミスが起きたときの影響を書き出します。
  2. 優先順位をつける:時間がかかっている作業、ミスの影響が大きい作業から優先します。頻度が低く影響も小さい作業は、無理に連携しないという判断も含めます。
  3. データの正本を決める:取引先、商品、顧客など、複数のSaaSにあるデータについて、どのSaaSを正本にするかを決めます。
  4. 連携ごとに方法を選ぶ:判断基準の表と四つの問いを使い、ノーコード・個別開発・CSVのどれにするかを決めます。
  5. 小さく作って確かめる:最も優先度の高い連携から一つ作り、実際の業務で数週間動かして、結果を手作業と突き合わせます。
  6. 失敗時の対応を決める:連携が失敗したときに、誰に通知が届き、誰がどう直すのかを手順にします。
  7. 台帳に記録して広げる:連携の目的、方法、正本、担当者、失敗時の手順を台帳に残し、次の連携に進みます。

連携の仕組みを選ぶ前に、そもそも業務の流れに無駄がないかを見直すことも大切です。不要な転記をなくすために、SaaSの使い方自体を変えたほうが早い場合もあります。

SaaS連携のチェックリスト

  • SaaS間の転記作業を洗い出し、頻度・件数・所要時間を把握したか
  • 各SaaSがiPaaSの接続部品、API、CSVのどれに対応しているか確認したか
  • 契約中のプランでAPIや連携機能が使えるか確認したか
  • データごとに正本となるSaaSを決めたか
  • 連携ごとの件数から、ツールの利用料が増えすぎないか見積もったか
  • 変換のルール(コード、日付、金額)と業務の例外を書き出したか
  • 連携が失敗したときの通知先と対応手順を決めたか
  • 連携に使うアカウントが個人ではなく組織の管理下にあるか
  • 連携の一覧(台帳)を作り、担当者を決めたか

SaaS連携でよくある失敗とその避け方

ノーコードツールに複雑な処理を詰め込む:条件分岐や変換を重ねた結果、設定が複雑になり、作った本人にしか分からない状態になるケースです。設定が一定の複雑さを超えたら、個別開発への切り替えを検討します。目安は「別の担当者が設定画面を見て、処理の内容を説明できるか」です。

利用料が想定を超える:連携の件数が増えるにつれて、ツールの実行回数による費用が膨らむケースです。導入時に件数の増加を見込んで試算し、一定の件数を超えたら個別開発と比較する、という判断の基準を決めておきます。

個人アカウントで連携を作る:担当者の個人アカウントで連携ツールに接続し、その担当者の退職で連携が止まるケースです。連携専用のアカウントを組織として管理します。

野良の連携が増える:各部署がそれぞれ連携ツールを使い始め、誰が何をつないでいるか分からなくなるケースです。連携の台帳と、新しい連携を作るときのルール(誰に相談するか、どこに記録するか)を決めておきます。

双方向の同期で不整合が起きる:両方のSaaSで編集できるデータを双方向に同期し、更新が上書きされ合うケースです。項目ごとに正本を決め、可能な限り一方向の流れにします。

よくある質問

Q. iPaaSとZapierのようなノーコード連携ツールは何が違いますか?

どちらも複数のSaaSをつなぐためのサービスで、境界ははっきりしていません。一般に、個人や小さなチームの業務自動化に向くものをノーコード連携ツール、企業全体の連携を管理する機能(権限管理、監視、大量データの処理など)を備えたものをiPaaSと呼ぶことが多いです。選び方はiPaaSとは何かで詳しく解説しています。

Q. 最初はノーコードで作り、後から個別開発に移ることはできますか?

可能です。ノーコードで連携の効果と運用上の課題を確かめてから、件数の増加や処理の複雑化をきっかけに個別開発へ移るのは、合理的な進め方です。その際は、ノーコードで作った連携の設定内容を、変換ルールや例外の扱いを含めて文書にしておくと、移行がスムーズになります。

Q. 連携先のSaaSがAPIを提供していません。どうすればよいですか?

CSVの書き出し・取り込みができれば、ファイルを使った連携を検討します。定期的な取り込みを自動化する仕組みを作ることも可能です。それも難しい場合は、画面操作の自動化を使う方法もありますが、画面の変更で止まりやすいため、業務への影響を考えて判断します。

Q. 社内に連携の担当者がいません。誰が管理すべきですか?

連携は複数の部署のデータにまたがるため、特定の部署だけに任せると全体が見えなくなりがちです。情報システムの担当者がいれば中心になってもらい、いない場合は業務改善の責任者が台帳の管理を担い、設定や開発は外部の力を借りる、という分担が現実的です。大切なのは、連携の一覧と担当者がどこかに必ず記録されている状態を保つことです。

Otsumuに相談できること

連携したいSaaSが一般的なもので、件数もそれほど多くなく、項目をそのまま写す程度の連携であれば、ノーコードの連携ツールを自社で設定するだけで十分に効果が出ます。月次の処理であればCSVのままでも困らないことが多く、すべてを外部に頼む必要はありません。まずは手作業の棚卸しをして、効果の大きい連携から一つ試してみてください。

一方で、連携が業務の中心にあり止まると影響が大きい、データの変換や例外が多くノーコードでは表現しきれない、ツールの利用料が膨らんできた、各部署の連携が増えて全体が見えなくなった、という状況では、連携の全体像を設計し直せる相手と進めたほうが、費用と運用の負担を抑えられます。

Otsumuは自らも事業を手がける立場から、業務の目的に照らして連携の優先順位と方法を整理し、AIを活用した少人数・短期間の開発で、設計から運用・改善までを一気通貫で支援しています。システム同士の連携開発はAPI連携開発で、ツールの活用を含めた業務の自動化は自社サービス運用の自動化コンサルティングで進め方を紹介しています。

どの連携をどの方法で作るべきかの整理だけでもご相談いただけます。まずは30分の無料相談で、お使いのSaaSと手作業の状況をお聞かせください。

この記事について

Otsumu株式会社が執筆しました。統計値や他社の事例には依拠せず、進め方と判断の枠組みを中心にまとめています。法務・税務・会計などの制度は、専門家や公的窓口で最新の情報をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01

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