Zapierとは
Zapierとは、さまざまなWebサービスをプログラムなしでつなぎ、「あるサービスで何かが起きたら、別のサービスで決まった処理を実行する」という自動化を組めるクラウドサービスです。平易に言えば「アプリ同士の橋渡しを、画面上の設定だけで作れる道具」で、iPaaSの代表例として知られています。
Zapierで作る一つひとつの自動化は「Zap(ザップ)」と呼ばれます。読み方は「ザピアー」で、日本語圏でもそのままの名前で使われています。
仕組み・ポイント
Zapの基本形は「トリガー」と「アクション」の組み合わせです。
- トリガー:処理を始めるきっかけ(例:フォームに回答が届いた、表計算に行が追加された)
- アクション:きっかけを受けて実行する処理(例:チャットに通知する、CRMに顧客を登録する)
- フィルター・分岐:条件に合う場合だけ処理を進める、条件で処理を分ける
- フォーマッター:日付や文字列の形式を整える
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 連携先の多さ | 主要なSaaSの多くにコネクタが用意されている |
| 作りやすさ | 一本道の処理なら短時間で設定できる |
| 料金の考え方 | 実行回数(タスク数)や機能に応じたプラン制 |
| 向かない処理 | 複雑な分岐、大量データの一括処理、厳密な整合性管理 |
対応サービスの数やプランの内容は頻繁に変わるため、導入前に公式サイトで最新情報を確認してください。
Zapの中では、前のステップで得たデータ(フォームの氏名やメールアドレスなど)を後のステップの入力欄に差し込んで使います。この「どの項目をどこに渡すか」の対応付けが自動化の中身そのものであり、設定画面で一つずつ選んでいく形になります。連携先にコネクタがない場合も、Webhookや汎用のHTTPリクエスト機能を使えば、APIを持つサービスであれば接続できることがあります。
最近は、生成AIのサービスと組み合わせ、問い合わせ内容を要約してから通知する、メール本文から必要項目を抜き出して表に登録するといった使い方も広がっています。AIの出力は毎回同じになるとは限らないため、重要な処理の前には人が確認する工程を挟むのが安全です。
実務での使い方・具体例
小規模なサービス運営チームを想定した例です。
- 申込フォームに回答が届く(トリガー)
- 顧客管理表に一行追加する
- 申込者に受付メールを送る
- 社内チャットの担当チャンネルに通知する
これまで担当者が毎回手作業で転記と連絡をしていた流れが、Zap一つで自動化されます。最初は通知だけを自動化し、うまく回ることを確かめてから登録や返信へ範囲を広げると、設定ミスがあっても影響が小さく済みます。「転記ミスがなくなる」「対応の初動が早くなる」という効果が分かりやすく、自動化の最初の一歩として選ばれやすい使い方です。
一方、処理件数が増えるとタスク数に応じて費用が上がるため、月間の実行回数を見積もってからプランを選ぶことが大切です。似た位置づけのMakeとは、料金の数え方や複雑な処理の組みやすさに違いがあります。比較の観点はZapierとMakeの選び方にまとめています。
よくある誤解と注意点
まず、「設定したら永久に動く」わけではありません。連携先サービスのログインが切れる、項目名が変わる、APIの仕様が変わるといった理由で、Zapは停止したりエラーになったりします。エラー通知の送り先を個人ではなくチームの共有アドレスやチャンネルにしておくと、担当者不在時の見落としを防げます。
次に、個人アカウントで作られたZapは、その人が退職すると引き継げなくなる恐れがあります。業務で使うZapはチームのアカウントにまとめ、名前に目的を付け、一覧で管理しておくことが重要です。一覧には、トリガーとなるサービス、処理内容、扱うデータ、作成者、停止したときに手作業でどう代替するかまで書いておくと、引き継ぎや障害時の対応がぐっと楽になります。
最後に、顧客情報など機密性の高いデータを扱う場合は、どのデータがどのサービスに渡るのかを社内のルールに照らして確認してください。便利さから現場が独自に使い始め、シャドーITになっているケースは少なくありません。
関連用語
- iPaaS:Zapierが属するクラウド型連携基盤の総称
- Make(旧Integromat):視覚的なフロー設計が特徴の自動化サービス
- Webhook:外部からのイベント通知をトリガーにする仕組み
- 市民開発:現場担当者が自らツールを作る取り組み
Otsumuに相談できること
Zapierは手軽に始められる一方、Zapが増えるほど全体像の管理や費用の見通しが難しくなります。Otsumuの自社サービス運用の自動化コンサルティングでは、既存のZapの棚卸しや、ノーコードで続けるべき部分とAPI連携開発に切り替えるべき部分の切り分けを支援します。
「Zapが増えすぎて誰も全体を把握していない」といった状態からでも整理できます。30分の無料相談でご相談ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01