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ZapierとMakeの選び方:ノーコード自動化ツールの比較の観点

ZapierとMakeは、連携できるサービス、処理の複雑さ、料金の数え方、社内で誰が作り保守するかの4つで比べると選びやすくなります。比較表、選定の手順、場面別の判断例、導入後につまずきやすい点を解説します。

ZapierとMakeは、どちらもプログラムを書かずにクラウドサービス同士をつなげるノーコードの自動化ツールです。選ぶときは、知名度や画面の好みではなく、「つなぎたいサービスに対応しているか」「処理の流れがどれくらい複雑か」「処理の量に対して料金がどう増えるか」「社内で誰が作り、誰が保守するか」の4つで比べます。単純な連携を多くの人が手軽に作るならZapier、分岐や繰り返し、データの加工が多い流れを細かく組み立てるならMakeが候補になりやすい、というのが大まかな傾向です。

ただし、この傾向はあくまで出発点です。両ツールとも機能の追加や料金体系の見直しが続いており、対応しているサービスや細かな仕様は変わります。実際に選ぶときは、自社でつなぎたい具体的な業務を1〜2件決め、両方の無料枠や試用で同じ流れを作ってみるのが、最も確実な比較方法です。

この記事は、社内業務やサービス運用の手作業をノーコードで自動化したいと考えている事業責任者、マーケティングや営業の担当者、情報システム担当者に向けて書いています。両ツールの基本的な違い、比較の観点、選ぶ手順、具体的な場面での判断、運用でつまずきやすい点までを整理します。読み終えるころには、自社の業務にどちらが合うかを、試すべき観点とともに説明できるようになるはずです。

ZapierとMakeの基本的な違い

Zapierは、「あるサービスで何かが起きたら(トリガー)、別のサービスで何かをする(アクション)」という流れを、順番に積み重ねる形で作るツールです。設定画面は上から下へ手順を並べる形で、質問に答えるように項目を埋めていけば連携が完成します。対応しているサービスの数が多いことでも知られ、ノーコードの自動化ツールの代表格として広く使われています。

Make(旧Integromat)は、処理の部品を画面上に配置し、線でつないで流れを描く形で作るツールです。分岐(ルーター)や繰り返し、複数のデータをまとめる処理、データの形式を変える処理などを、図のように見ながら組み立てられます。流れが複雑になっても全体を見渡しやすく、細かな制御がしやすいのが特徴です。

どちらも仕組みとしては、各サービスが提供するAPIを、あらかじめ部品として用意したものです。つまり、ノーコードでAPI連携を組み立てるツールと言い換えられます。画面操作を再現するRPAとは異なり、連携先の画面が変わっても影響を受けにくいという利点があります。

比較の観点:連携先・複雑さ・料金・社内環境

両ツールを比べるときの主な観点を整理します。表の内容は一般的な傾向であり、具体的な対応状況や料金は、各社の公式情報で最新のものを確認してください。

観点ZapierMake
作り方手順を上から順に並べる。質問に答える形で設定できる部品を画面上に配置し、線でつないで流れを描く
向いている流れトリガーから数ステップの直線的な流れ分岐・繰り返し・集約・データ加工を含む複雑な流れ
学びやすさ初めての人でも始めやすい慣れるまでに少し時間がかかるが、細かく制御できる
連携先対応サービスが多いことで知られる主要なサービスに対応。汎用のHTTP部品で補える範囲も広い
料金の考え方一般に、実行した処理の数を基準にプランが分かれる一般に、部品が動いた回数を基準にプランが分かれる
エラー時の扱い失敗した実行の確認と再実行ができるエラー時の分岐処理など、細かな制御を組み込める
向いている使い手現場の担当者が自分の業務を自動化する自動化の担当者が業務横断の流れを設計する

連携できるサービス

最初に確認すべきは、つなぎたいサービスにそのツールが対応しているかです。対応していれば、認証の設定と項目の選択だけで連携を作れます。対応していない場合でも、相手のサービスがAPIを公開していれば、汎用のHTTPリクエストの部品で接続できることがありますが、APIの仕様を理解する必要があり、ノーコードの手軽さは薄れます。また、対応していても、必要な操作(たとえば特定のデータの更新や削除)が部品として用意されているかは別問題です。トリガーとアクションの一覧を、業務で必要な操作と照らし合わせて確認します。

処理の複雑さ

「フォームに回答があったら、スプレッドシートに追記してチャットに通知する」程度の直線的な流れであれば、どちらのツールでも簡単に作れます。差が出るのは、条件によって処理を分ける、一覧のデータを1件ずつ処理する、複数のデータを1つにまとめる、日付や金額の形式を変換する、といった処理が増えたときです。こうした処理が多い場合は、流れを図として見渡せるMakeのほうが組み立てやすく、後から見直すときにも理解しやすい傾向があります。

料金体系

両ツールとも、無料枠と複数の有料プランがあり、処理の量に応じて料金が変わる仕組みが基本です。ここで注意したいのは、「何を1回と数えるか」がツールによって異なる点です。同じ業務でも、数え方の違いによって必要なプランが変わります。料金を比べるときは、プランの金額表を眺めるより、自動化したい業務で1か月にどれくらいの処理が発生するかを見積もり、それぞれの数え方で当てはめてみるのが確実です。複数の手順を含む流れや、一覧を1件ずつ処理する流れでは、想定以上に回数が増えることがあります。

料金を見るときは、ツールの利用料だけでなく、作る人と保守する人の時間も含めて考えます。月々の利用料が少し高くても、現場の担当者が自分で修正できるなら、外部に修正を頼む手間や待ち時間を減らせます。逆に、利用料を抑えるために複雑な工夫を重ねた流れは、保守の時間が増えて結果的に割高になることがあります。年間で見たときの利用料と人の手間を並べて比べると、判断がぶれにくくなります。

社内環境と使い手

誰が作り、誰が保守するかも重要な観点です。現場の担当者が自分の業務を少しずつ自動化していくなら、設定のしやすさが優先されます。一方、情報システム担当や自動化の専任者が、部署をまたぐ流れをまとめて管理するなら、複雑な流れを整理して作れること、エラーを細かく扱えることが重要になります。また、Microsoft 365を中心に業務を回している会社であれば、Power Automateのほうが社内環境になじむ場合もあります。ツールを一つに絞る必要はありませんが、社内でばらばらに使われると管理が難しくなるため、標準とするツールを決めておくと運用が安定します。

あわせて、社内のセキュリティの考え方も確認しておきます。外部のサービスに業務データを通すことになるため、利用してよいサービスの範囲、アカウントの発行や停止の手続き、ログイン方法の統一などについて、情報システム担当と事前にすり合わせておくと、導入後に利用が止められるといった事態を避けられます。

自社に合うツールを選ぶ手順

実際に選ぶときは、次の手順で進めると比較の軸がぶれにくくなります。

  1. 自動化したい業務を具体的に1〜3件挙げる。「営業を効率化したい」ではなく、「問い合わせフォームの回答を顧客管理に登録し、担当者に通知する」のように、トリガーと処理を一文で書く。
  2. 各業務で使うサービスを書き出し、両ツールの対応状況と、必要なトリガー・アクションが用意されているかを確認する。
  3. 各業務の処理の流れを書き出し、分岐や繰り返し、データの加工がどれくらい含まれるかを確認する。
  4. 1か月あたりの処理の回数を見積もり、それぞれのツールの数え方で必要なプランを試算する。
  5. 両方の無料枠や試用で、最も代表的な業務を実際に作ってみる。作りやすさ、エラー時の確認のしやすさ、実行履歴の見やすさを比べる。
  6. 作る人・保守する人を決め、その人にとって扱いやすいかを確認する。
  7. アカウントの管理方法(個人のアカウントか、組織のアカウントか)、データの取り扱いに関する社内規程との整合を確認して決定する。

手順5の試作は省略しないことをおすすめします。資料の比較では分からない、項目の対応付けのしやすさや、日本語のデータの扱い、エラーの表示の分かりやすさといった実務上の差が見えてきます。

試作で比べるときに確認すること

両ツールを試すときは、ただ動くかどうかを見るだけでなく、運用に入ってから困らないかを確かめる視点を持つと、比較の精度が上がります。代表的な業務を一つ選び、同じ流れを両方で作ったうえで、次の点を確認します。

まず、データの対応付けのしやすさです。フォームの回答項目と顧客管理の項目を結び付ける画面で、項目名が分かりやすく表示されるか、日付や電話番号の形式を変換する手段が用意されているかを見ます。日本語の氏名や住所、全角と半角が混ざったデータを流し、文字化けや欠落が起きないかも確かめます。

次に、失敗したときの扱いです。わざと必須項目を空にしたデータや、存在しない担当者名を含むデータを流し、エラーがどのように表示されるか、どこで止まったかが分かるか、修正後に再実行できるかを確認します。運用では、正常に動くことより、異常が起きたときに素早く原因を特定できることのほうが重要になる場面が多くあります。

最後に、作った流れを他の人が理解できるかです。作った本人以外のメンバーに画面を見てもらい、何をしている流れかを説明できるかを試します。説明できなければ、保守を引き継ぐときに苦労します。流れに名前や説明書きを付けられるか、変更の履歴を追えるかも確認しておくと安心です。

具体的な場面での選び方

ここでは架空の一般例として、いくつかの場面でどちらが合いそうかを考えます。

場面1:小さなチームで問い合わせ対応を自動化する

数名のチームで、Webサイトのフォームからの問い合わせを顧客管理ツールに登録し、チャットに通知したい場面です。流れは直線的で、処理の量も多くありません。チームのメンバーが自分で設定を変えたいという要望もあります。この場合は、設定のしやすさを優先してZapierを選ぶのが自然です。さらに担当者の割り当てなど処理が増えてきたら、問い合わせフォームからCRM登録・担当割当までを自動化するの考え方で流れを見直します。

場面2:複数の条件で処理を分ける受注連携

ECサイトの受注データを、商品の種類や配送先によって異なる処理に振り分け、在庫の表計算シートを更新し、特定の条件の注文だけ担当者に確認を依頼する場面です。分岐と繰り返しが多く、データの形式の変換も必要です。この場合は、流れを図で見渡しながら組み立てられるMakeのほうが作りやすく、後から条件を追加するときにも全体を把握しやすくなります。

場面3:処理の量が多い定期処理

毎日数千件のデータを別のサービスに同期するような場面では、どちらのツールでも処理の回数が増え、料金が膨らみやすくなります。また、一度に大量のデータを扱うと、時間がかかったり、制限に達したりすることがあります。このような場合は、ノーコードの自動化ツールにこだわらず、API連携を個別に開発する、iPaaSと呼ばれる企業向けの連携基盤を検討するなど、別の手段も比較します。

場面4:マーケティング施策の結果をまとめて共有する

広告、メール配信、Webサイトの計測ツールなど、複数のサービスから毎週の結果を取り出し、表計算シートにまとめてチャットで共有したい場面です。取得するデータの種類が多く、集計や形式の変換も必要になるため、流れを細かく組めるMakeが扱いやすいことがあります。一方、集計の要件が固まっていない段階では、まず一つのサービスの結果だけをZapierで共有し、必要な指標が見えてから仕組みを広げる進め方も現実的です。定期的な集計と配信が業務の中心になってきたら、ダッシュボードや集計の仕組みを別に用意することも検討します。

導入後につまずきやすい点と避け方

ノーコードの自動化ツールは手軽に始められる反面、運用の段階でつまずくことがあります。

個人のアカウントで作ってしまう。 担当者が個人のアカウントで作った自動化は、その人が異動・退職するとアクセスできなくなります。最初から組織として契約したアカウントで作り、管理者を複数人置いておきます。

誰が何を作ったか分からなくなる。 手軽に作れるため、部署ごとに自動化が増え、全体像が見えなくなります。自動化の名前の付け方を決め、目的と担当者を一覧で管理します。保守の考え方は自動化の仕組みを誰が保守するかで詳しく扱っています。

エラーに気づかない。 連携先の認証の期限切れや、データの形式の変化で処理が失敗しても、通知を設定していなければ気づけません。失敗時の通知先をチームの共有チャンネルにし、定期的に実行履歴を確認する担当を決めておきます。

処理の回数が想定を超える。 トリガーの条件を広く設定しすぎると、不要な処理が大量に動き、上位プランへの変更が必要になることがあります。トリガーの条件をできるだけ絞り込み、月に一度は処理の回数を確認します。

ツールの限界を超えた使い方を続ける。 分岐が何重にも重なり、作った人しか理解できない流れになったら、ツールで作り続けるべきかを見直す時期です。業務の中核になった連携は、個別開発や業務システムへの組み込みを検討します。

連携先の仕様変更を想定しない。 連携先のサービスが項目名や認証方式を変えると、ツール側の部品が更新されるまで動かなくなることがあります。重要な連携は、止まったときに手作業で代替する手順を用意しておきます。

選定前のチェックリスト

  • 自動化したい業務を、トリガーと処理の一文で書き出したか
  • つなぎたいサービスすべてに、必要なトリガー・アクションが用意されているか
  • 分岐、繰り返し、データの加工がどれくらい含まれるかを把握したか
  • 1か月あたりの処理の回数を見積もり、両ツールの数え方で試算したか
  • 代表的な業務を、両方の無料枠や試用で作ってみたか
  • 作る人と保守する人を決めたか
  • 組織のアカウントで契約し、管理者を複数人置く体制にしたか
  • 扱うデータ(個人情報など)が社内規程上、外部サービスを経由してよいものか確認したか
  • エラー時の通知先と、実行履歴を確認する担当を決めたか

よくある質問

Q. ZapierとMakeを併用しても問題ありませんか?

技術的には問題ありません。ただし、同じ業務に関わる自動化が別々のツールに分かれると、全体の流れを追いにくくなり、障害時の原因調査にも時間がかかります。併用する場合は、「部署内の簡単な連携はこちら、業務横断の複雑な流れはこちら」のように使い分けのルールを決め、一覧で管理しておきます。

Q. ノーコードの自動化ツールで作った連携は、どのくらいの規模まで耐えられますか?

処理の量、流れの複雑さ、求められる確実さによって変わるため、一律の基準はありません。目安としては、処理の回数による料金が個別開発の保守費用に近づいてきた、分岐が複雑で作った人しか理解できない、失敗が顧客対応や売上に直結する、といった兆候が出てきたら、個別開発への移行を検討するとよいでしょう。

Q. 個人情報を含むデータを流しても大丈夫でしょうか?

ツールの提供元が公開しているセキュリティやデータの取り扱いに関する情報を確認し、自社の個人情報の取り扱い規程と照らし合わせて判断します。必要以上の項目を流さない、保存期間の設定を確認するといった配慮も大切です。判断に迷う場合は、社内の法務担当や専門家に確認してください。

Q. 社内にツールを使いこなせる人がいません。外部に頼むべきですか?

単純な連携であれば、公式のテンプレートやヘルプを見ながら、まず一つ作ってみることをおすすめします。業務の流れが複雑な場合や、複数の部署をまたぐ場合は、最初の設計だけ外部の支援を受け、日々の運用や小さな修正は社内で担う、という分担も有効です。

Otsumuに相談できること

自動化したい業務が部署の中で完結し、つなぎたいサービスがツールに対応していれば、この記事の手順で両ツールを試し、社内の担当者が作って運用するだけで十分な効果が出ます。小さな連携から始め、社内に作り方の知見を貯めていくことにも価値があります。

一方で、複数の部署やサービスをまたぐ流れを作りたい、処理の量が多く料金や制限が心配、すでにノーコードで作った連携が複雑になって誰も全体を把握できていない、といった状況では、ツール選びの前に業務の流れと連携の全体像を整理したほうが、結果的に早く安定した仕組みにたどり着けます。

Otsumuは、業務の棚卸しと優先順位付けから、ノーコードツール・iPaaS・個別開発のどれを使うかの判断、仕組みの構築と運用の改善までを一気通貫で支援しています。業務全体の自動化の進め方は自社サービス運用の自動化コンサルティングで、ノーコードでは対応しきれない連携の開発はAPI連携開発でご相談いただけます。費用は範囲に応じて個別にお見積もりします。

どちらのツールを選ぶべきか迷っている段階でも構いません。まずは30分の無料相談で、自動化したい業務をお聞かせください。

この記事について

Otsumu株式会社が執筆しました。統計値や他社の事例には依拠せず、進め方と判断の枠組みを中心にまとめています。法務・税務・会計などの制度は、専門家や公的窓口で最新の情報をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01

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