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SEOの成果をどう測るか:順位より問い合わせにつながる指標を見る

SEOの成果は検索順位やPVではなく、問い合わせや商談につながる指標で測ると判断を誤りにくくなります。事業の成果から逆算するKPIの三層構造、ページ種類ごとの評価、計測の準備、報告の型とよくある失敗を解説します。

SEOの成果は、検索順位やPV(ページビュー)ではなく、「検索から来た人が、問い合わせや資料請求、商談にどれだけつながったか」で測るのが基本です。順位やPVは、SEOの取り組みが前に進んでいるかを確かめる途中経過の指標としては役立ちますが、事業の成果そのものではありません。順位が上がりPVが増えても、事業と関係の薄いキーワードで集客しているだけなら、問い合わせは増えず、投資の判断を誤ります。

SEOのKPIは、①事業の成果(商談や受注)、②サイト上の成果(問い合わせ、資料請求など)、③途中経過(検索流入、表示回数、順位)の三層で設計し、上の層を目的、下の層を途中の確認に使うと、判断がぶれにくくなります。さらに、記事やサービスページなどページの種類ごとに役割を分けて評価することで、「PVは多いが成果につながらない記事」と「PVは少ないが問い合わせを生む記事」を正しく見分けられます。

この記事は、オウンドメディアやコーポレートサイトでSEOに取り組んでいるマーケティング担当者、Web担当者、その成果を判断する事業責任者に向けて書いています。SEOのKPIの階層の作り方、ページの種類ごとの評価、計測の準備、報告の型、よくある失敗までを整理します。

なぜ順位やPVだけでSEOを評価してはいけないのか

SEOの報告でよく見るのは、「主要キーワードの順位が上がった」「月間のPVが増えた」という内容です。どちらも分かりやすく、改善を実感しやすい数字ですが、これだけで評価すると次のような問題が起こります。

  • 順位は事業の成果と直結しない:上位に表示されても、検索する人が少ないキーワードや、購買意欲の低い情報収集のキーワードでは、問い合わせは増えません。
  • PVは集客の量であって質ではない:事業と関係の薄い話題の記事でPVを集めても、サービスの検討者は増えません。
  • 順位の計測は揺れが大きい:検索結果は地域、端末、利用者の履歴などで変わり、検索エンジンの更新でも変動します。一つの順位の数字に意味を持たせすぎると、一喜一憂することになります。
  • 担当者の行動が数字に引っ張られる:PVを目標にすると、事業と関係なく集客しやすい話題を選ぶようになり、メディアの方向性がずれていきます。

順位やPVを見ること自体が悪いのではありません。問題は、それを最終的な成果として扱ってしまうことです。SEOに投資する理由が「問い合わせや商談を増やすため」なら、評価もそこから逆算する必要があります。

SEOのKPIを三層で設計する

SEOの指標は、次の三層に分けて整理します。

層主な指標役割見る頻度の目安
事業の成果検索経由の商談数、受注数、受注金額SEOに投資する価値があるかを判断する四半期
サイト上の成果検索経由の問い合わせ、資料請求、セミナー申し込み、無料トライアルどのページ・テーマが成果を生んでいるかを判断する月次
途中経過検索流入数、検索結果での表示回数、クリック率、順位、ページからの回遊施策が前に進んでいるかを確認する週次〜月次

上の層ほど事業に近く、下の層ほど早く変化が現れます。SEOは成果が出るまでに時間がかかるため、事業の成果だけを見ていると、途中で正しい方向に進んでいるのか分かりません。逆に、途中経過だけを見ていると、事業につながらない方向に進んでいても気づけません。三層を並べて見ることで、両方の問題を避けられます。

途中経過の指標は、後から成果につながるかを予測する指標として使います。どの途中経過の指標が、自社の場合に問い合わせや商談と連動しているかを確かめておくと、早い段階で判断ができるようになります。先に動く指標と後から結果として出る指標の関係は先行指標・遅行指標でも解説しています。

目標の置き方

KPIの目標は、事業の成果の層から逆算して置きます。たとえば、「検索経由の商談を一定数増やしたい」という目標があるなら、過去の実績から、検索経由の問い合わせのうち商談になる割合、検索流入のうち問い合わせに至る割合を確かめ、必要な問い合わせ数と流入数を計算します。こうすると、「PVを増やす」という漠然とした目標ではなく、「成果につながるページへの流入を増やす」という具体的な目標になります。

逆算の結果、必要な流入数が現実的でないほど大きくなることもあります。その場合は、流入を増やす前に、サービスページの問い合わせへの遷移率を上げる、問い合わせから商談への転換を高める、といった別の段階の改善のほうが効率的かもしれません。逆算は目標値を決めるためだけでなく、どの段階に手を入れるべきかを見極めるためにも役立ちます。

ページの種類ごとに役割と指標を分ける

サイトの中のページは、それぞれ役割が違います。すべてのページを同じ指標で評価すると、役割の違うページを不公平に比べることになります。ページの種類ごとに、期待する役割と主に見る指標を決めます。

ページの種類主な役割主に見る指標
サービスページ・料金ページ検討中の人に判断材料を提供し、問い合わせにつなげる検索流入数、問い合わせへの遷移率、問い合わせ数
課題解決型の記事課題を抱えた人に見つけてもらい、自社のサービスを知ってもらう検索流入数、サービスページへの遷移、記事経由の問い合わせ
用語解説・基礎知識の記事幅広い層に認知してもらう入口検索流入数、関連記事への回遊、再訪
事例・比較のページ検討の後半で後押しする閲覧後の問い合わせ、商談中の顧客の閲覧
資料ダウンロードのページ検討初期の人との接点を作るダウンロード数、その後の商談化

たとえば、用語解説の記事に問い合わせ数を求めても、ほとんどの場合は小さな数字になります。それは記事の失敗ではなく、役割が違うからです。用語解説の記事は、幅広い人に会社を知ってもらい、関連する課題解決型の記事やサービスページに回遊してもらう役割で評価します。評価の際は、記事から関連記事やサービスページへ移動した割合や、同じ人が後日再び訪れたかどうかを見ると、入口としての働きを確かめられます。

キーワードの検討段階で分ける

ページの評価とあわせて、狙うキーワードも検討段階で分けておくと便利です。「〇〇とは」のような情報収集の段階のキーワード、「〇〇 やり方」「〇〇 比較」のような課題解決や比較の段階のキーワード、「〇〇 依頼」「〇〇 費用」のような依頼直前の段階のキーワードでは、同じ流入1件でも成果につながる可能性が大きく違います。キーワードを段階別に分類し、段階ごとの流入数と成果を並べて見ると、どの段階のコンテンツを強化すべきかが分かります。

既存の記事を棚卸しして役割を振り直す

すでに多くの記事がある場合は、KPIを設計し直すタイミングで、記事の棚卸しを行います。記事ごとに、ページの種類、狙っているキーワードの検討段階、直近の検索流入数、入口としての問い合わせ数、サービスページへの遷移の有無を一覧にします。そのうえで、次のように分類すると、手を入れる優先順位が付けやすくなります。

  • 流入も成果もある記事:内容を最新に保ち、関連する記事を増やす
  • 流入はあるが成果につながらない記事:サービスページへの導線や、記事の終わりの案内を見直す
  • 成果はあるが流入が少ない記事:タイトルや見出しを見直し、関連するキーワードでの露出を増やす
  • 流入も成果もない記事:統合、全面的な書き直し、または公開の停止を検討する

棚卸しは一度で終わらせず、半年に一度など定期的に行うと、記事が増えても役割の整理が崩れにくくなります。

成果を計測するための準備

問い合わせや商談につながる指標でSEOを評価するには、次の計測が整っている必要があります。

  1. 成果のイベントを計測する:問い合わせ、資料請求、セミナー申し込みなどの完了を、アクセス解析ツールで成果として計測します。計測の作り方はGA4のイベント設計を参照してください。
  2. 成果に至った人の入口ページを記録する:成果に至った訪問が、どのページから始まったかを分析できるようにします。検索から最初に訪れたページ(ランディングページ)別に、成果の件数を集計します。
  3. 問い合わせとCRMを結び付ける:フォームの送信時に、流入元や最初に訪れたページの情報を、問い合わせのデータとして一緒に保存します。こうすると、CRMの商談や受注の情報と結び付けて、どの記事やキーワードの段階から来た問い合わせが商談になったかを追えるようになります。
  4. 「何で知ったか」を聞く:検索で何度か記事を読んだあと、別の経路で問い合わせる人もいます。フォームで知ったきっかけを聞いておくと、検索の間接的な貢献を補えます。
  5. 検索エンジン側のデータを確認する:検索結果での表示回数、クリック数、クリック率、平均掲載順位は、検索エンジンが提供する管理ツールで確認します。どのキーワードで表示されているかを把握し、狙いとずれていないかを確かめます。

数字が合わないときに確かめること

アクセス解析ツールの問い合わせ数と、実際に届いた問い合わせの件数が合わないことはよくあります。原因としては、完了画面の計測の漏れ、同じ人の二重送信、迷惑な送信の混入、Cookieの同意を得られなかった訪問が計測されていないこと、などが考えられます。完全に一致させることは難しいため、差の大きさと傾向を定期的に確認し、差が急に広がったときに原因を調べる、という運用にします。評価には、実際に届いた問い合わせの件数を正とし、アクセス解析ツールの数字はページ別の比較など相対的な分析に使う、と役割を分けておくと混乱しません。

間接的な貢献の扱い

SEOで集客した記事は、読んだその場で問い合わせにつながらなくても、後日の再訪や指名検索、別のチャネルからの問い合わせのきっかけになっていることがあります。最後の接点だけで評価すると、記事の貢献は小さく見えがちです。最初の接点としての貢献も並べて見る考え方はアトリビューション分析の基本と限界で扱っています。

報告と改善の型

SEOの報告は、三層の指標を上から順に並べ、事業の成果から確認する形にすると、議論が成果の話から始まります。月次の報告の型の例を示します。

  1. 事業・サイト上の成果:検索経由の問い合わせ数、商談数(四半期ごとの累計も)、前回からの変化と、その主な要因
  2. 成果を生んだページ:問い合わせにつながったページの上位と、前回からの変化
  3. 途中経過:検索流入数、表示回数、検討段階別のキーワードの流入数、重要なページの順位の傾向
  4. 課題と次の施策:流入はあるが成果につながっていないページ、表示はされているがクリックされていないページ、成果につながっているテーマで不足しているコンテンツ
  5. 前回の施策の結果:前回決めた施策を実施した結果、狙った指標が動いたか

報告の場には、マーケティングの担当者だけでなく営業の担当者にも参加してもらうと、記事経由の問い合わせが商談の場でどう受け止められたかという情報が加わり、テーマ選びの精度が上がります。

改善の打ち手は、どこで成果が止まっているかによって変わります。流入が少ないならコンテンツの追加やテーマの見直し、表示回数は多いがクリック率が低いならタイトルや説明文の見直し、流入はあるが問い合わせにつながらないなら、記事からサービスページへの導線や、サービスページそのものの内容の見直しが必要です。どの段階で離脱しているかを見る考え方はファネル分析のやり方が参考になります。

架空の例:PVの多い記事より、少ない記事が成果を生んでいたケース

ある架空の業務システム開発の会社では、オウンドメディアのPVが順調に伸びていたものの、問い合わせはほとんど増えていませんでした。PVの多い記事を調べると、業務に関する一般的なノウハウや用語の解説が中心で、サービスの検討者とは異なる層の読者が多いことが分かりました。

そこで、検索から最初に訪れたページ別に問い合わせ数を集計したところ、PVは少ないものの、「システム化を検討する際の進め方」や「発注前に準備すること」といった、依頼の直前の段階の記事から来た人の問い合わせが多いことが分かりました。さらに、問い合わせとCRMを結び付けて見ると、これらの記事から来た問い合わせは商談になる割合も高い傾向でした。

この会社は、KPIの主軸をPVから「依頼直前の段階の記事からの問い合わせ数」と「検索経由の商談数」に切り替え、新しく作る記事も、検討段階の後半のテーマを優先するようにしました。PVは以前より伸びが緩やかになりましたが、検索経由の商談は増え、SEOへの投資を説明しやすくなりました。

SEOのKPI設計でよくある失敗と避け方

  • PVや順位を目標にする:担当者が集客しやすいテーマに流れ、事業と関係の薄い読者が増えます。目標は成果の層から逆算して置き、PVや順位は途中経過として扱います。
  • すべてのページを同じ指標で評価する:役割の違うページを同じ物差しで比べると、入口の役割を持つ記事が不当に低く評価されます。ページの種類ごとに指標を分けます。
  • 問い合わせとCRMがつながっていない:問い合わせの数は分かっても、どれが商談になったかが分からないと、質の評価ができません。フォームの段階で流入元の情報を保存します。
  • 短期間で判断する:SEOは成果が出るまでに時間がかかります。月次の変動で施策を止めず、途中経過の指標で方向を確かめながら、四半期以上の単位で判断します。
  • 成果の出ているページを放置する:成果を生んでいるページの情報が古くなると、徐々に成果が落ちます。成果の上位のページは定期的に内容を見直します。

SEOのKPI設計のチェックリスト

  • SEOの目的が、事業の成果(商談や受注)として言葉になっている
  • 事業の成果、サイト上の成果、途中経過の三層で指標が整理されている
  • 目標が事業の成果から逆算して置かれている
  • ページの種類ごとに役割と主な指標が決まっている
  • キーワードが検討段階別に分類されている
  • 問い合わせなどの成果が計測され、入口ページ別に集計できる
  • 問い合わせの流入元情報がCRMの商談・受注と結び付いている
  • 月次の報告が成果の層から始まる型になっている

よくある質問

Q. SEOの成果が出るまで、どのくらいの期間を見込めばよいですか?

競合の状況、サイトのこれまでの実績、コンテンツの量と質によって大きく異なるため、一概には言えません。数か月単位で途中経過の指標(表示回数や検索流入)の変化を確認し、その後に問い合わせなどの成果に現れるかを見ていく、という見通しで計画を立てるのが現実的です。

Q. 順位は見なくてもよいのですか?

見なくてよいわけではありません。重要なキーワードの順位の傾向は、施策が効いているかを確かめる途中経過の指標として役立ちます。ただし、日々の細かな変動に反応せず、一定期間の傾向で見ることと、順位そのものを目標にしないことが大切です。

Q. 問い合わせが少なく、ページ別の成果を比べられません。

問い合わせの件数が少ない場合は、問い合わせの手前の行動(サービスページの閲覧、料金ページの閲覧、資料ダウンロードなど)を中間の成果として計測し、ページ別に比べる方法があります。その中間の成果が実際の問い合わせと連動しているかは、件数がたまってきた段階で確かめます。

Q. 記事経由で来た問い合わせの質が低いと営業から言われます。

記事の検討段階によって、問い合わせの性質が異なることがあります。情報収集の段階の記事から来た問い合わせは、すぐに商談にならないことも多いため、営業に渡す前の選別や育成の仕組みと合わせて考えます。問い合わせの選別と対応については問い合わせからの商談化率を上げるで扱っています。

Otsumuに相談できること

問い合わせの計測ができていて、記事やサービスページの数がまだ多くない場合は、この記事の三層の考え方とページの種類ごとの指標を使い、自社でSEOのKPIを組み立て直すことができます。まずは、検索から最初に訪れたページ別に問い合わせ数を集計するところから始めてみてください。それだけでも、PVだけでは見えなかった傾向が見えてくるはずです。

一方で、問い合わせとCRMの商談・受注が結び付いておらずSEOの事業への貢献を説明できない、記事の数が多く役割の整理ができていない、計測が乱れていて数字が信用されていない、といった状況では、指標の設計と計測の整備を同時に進める必要があります。SEOへの投資を続けるかどうかの判断にも関わるため、根拠となる数字の土台を整えることが先決です。

Otsumuは自らも事業を手がける立場から、目的から逆算した指標と計測の設計、データの集計、改善の運用までを一気通貫で支援しています。KPI改善コンサルティングでは、SEOのKPIの階層づくりから、問い合わせと商談を結び付ける計測、成果につながるテーマの見極めまでをお手伝いします。

いまのサイトの数字で何が言えるかを確かめたい、という段階からでも構いません。まずは30分の無料相談で状況をお聞かせください。

この記事について

Otsumu株式会社が執筆しました。統計値や他社の事例には依拠せず、進め方と判断の枠組みを中心にまとめています。法務・税務・会計などの制度は、専門家や公的窓口で最新の情報をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01

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