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Affirm Holdings, Inc.の後払い(BNPL)に学ぶ事業設計

加盟店からの手数料と消費者からの金利収入の2本立てで、GMV $50.2 billionを扱う後払い事業です。延滞手数料$0を掲げながら、取引単位の与信と多様な資金調達でどう採算を取っているかを10-Kから確かめます。

この事例の要点

  • Affirmは2012年創業で、消費者が購入代金を後払い・分割払いできる決済ネットワークを運営しています。FY2026(2026年6月30日期)のGMVは$50.2 billionでした(Form 10-K、FY2026)。
  • 収益は加盟店からの手数料と消費者からの金利収入が中心で、FY2026のTotal revenue, netは4,261,082千ドル(前年3,224,412千ドル、+32%)です(Form 10-K、FY2026)。
  • 創業以来、延滞手数料を$0としており、「消費者の失敗から利益を得ない」ことを原則に置いていると説明しています(Form 10-K、FY2026)。

どんな事業か

Affirm Holdings, Inc.は、分割払いの仕組みを加盟店の決済画面や自社アプリ、Affirm Cardを通じて提供しています。ローン商品は、1〜4回の0%APR(年率)で支払うPay-in-X、0%APRの月次分割ローン、金利付きの月次分割ローンの3種類です。FY2026のGMVに占める比率は、Pay-in-Xが16%、0%APR分割ローンが14%、金利付き分割ローンが70%でした(Form 10-K、FY2026)。

加盟店は2026年6月30日時点で約571千(approximately 571 thousand)です。消費者側にはAffirm Card(デビットカード)やバーチャルカードを提供しています(Form 10-K、FY2026)。

ローンの組成は、提携銀行(Celtic Bank、Lead Bank)が実行してAffirmが買い取る形と、子会社が米国、カナダ、英国で直接組成する形の2通りです。FY2026の直接組成は約$9.5 billion(全体の19%)でした(Form 10-K、FY2026)。

収益の仕組み

加盟店からは、販売の成立を支援した際に手数料を得ます。手数料は契約やローン条件で異なり、0%APR商品では一般に大きな加盟店手数料を得ると説明しています。消費者からは金利付き分割ローンの単利の金利収入を得ます。繰延金利、複利、延滞手数料は課さないため、健全な与信と返済成功に自社の利益が連動する設計だとしています(Form 10-K、FY2026)。

FY2026の内訳は、Merchant network revenue 1,149,932千ドル、Card network revenue 293,990千ドル、Interest income 2,047,485千ドル、Gain on sales of loans 596,553千ドル、Servicing income 173,123千ドルです。加盟店手数料のGMVに対する比率は2.4%から2.3%に低下しました(Form 10-K、FY2026)。

費用面では、Total operating expenses 3,844,105千ドルのうち、Provision for credit losses(貸倒引当)796,650千ドル、Technology and data analytics 747,145千ドル、Funding costs(資金調達費用)454,016千ドルなどが大きな項目です。Operating incomeは416,977千ドルで、前年の(87,273)千ドルの損失から黒字に転じました(Form 10-K、FY2026)。

数字で確かめる

  • Total revenue, net 4,261,082千ドル、Operating income 416,977千ドル(FY2026)(Form 10-K、FY2026)。収益の伸び(+32%)が費用の伸び(+16%)を上回ったことが読み取れます。
  • Net income 1,929,793千ドル(FY2026)。ただしIncome tax expense (benefit)が(1,437,067)千ドルで、税引前利益は492,727千ドルです(Form 10-K、FY2026)。純利益の大部分が税務上の効果であることが読み取れます。
  • GMV $50.2 billion、増加額$13.5 billion(+37%)(Form 10-K、FY2026)。取扱高の伸びが収益を支えていることが読み取れます。
  • リピート消費者による取引が全取引の96%(前年94%)(Form 10-K、FY2026)。リピート消費者は貸倒引当や処理費用が低いと説明されており、既存顧客比率が費用効率に直結することが読み取れます。
  • Loans held for investment 9,466,383千ドル(前年比+36%)、自己資本のプラットフォーム総ポートフォリオに対する比率は4%(Form 10-K、FY2026)。ローンの大半を外部資金で賄っていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「分割払い・後払い(BNPL)」の型です。要は、加盟店と消費者の両方から収益を得る二面性にあります。加盟店は販売の成立のために手数料を払い、消費者は金利付きローンを選べば金利を払います。0%APR商品は消費者には無料ですが、加盟店が高い手数料で負担する加盟店収益の商品だと読めます。

この型を成り立たせる裏側の仕事は、取引単位の与信と資金の回転です。延滞手数料を取らないため、貸倒を罰金で埋め合わせることができず、審査の精度が利益を決めます。累計553 millionのローンデータやリピート消費者の比率が強調されるのはこのためだと考えられます。同時に、自己資本の比率が4%にとどまるのは、証券化や銀行との提携など多様な資金調達先を組み合わせ、短期のローンを素早く回転させているからだと読めます。

トレードオフは、消費者直接チャネルの拡大と加盟店手数料率の低下です。Affirm Cardなど消費者が自ら選ぶチャネルは取扱高を増やしますが、加盟店手数料の比率を押し下げます。どちらの収益を厚くするかが商品構成の設計だと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の商品は誰が対価を払っているか。買い手と売り手の両方から収益を得る設計は可能か。
  • 「顧客の失敗から利益を得ない」と決めた場合、自社の収益はどこで確保するか。
  • 取扱量を増やす施策が、単位あたりの収益率を下げていないか。

小さく試すなら

  1. 自社の取引を、収益の出所(買い手・売り手・第三者)と1件あたりの収益率で分類する(1週間)。
  2. 既存顧客に「後で払う」など支払いの選択肢を1つ追加し、選択率、成立取引の増加、未回収や対応の費用を、既存顧客と新規顧客で分けて記録する(2〜3週間)。
  3. 成立取引の増加による収益が未回収と対応費用を上回れば対象を広げる。上回らなければ、対象を既存顧客に絞るか金額の上限を設けて再試行する。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:Affirm Holdings, Inc. / 後払い・分割払い(BNPL)決済ネットワーク。参照資料:Form 10-K(FY2026、期末2026年6月30日)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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