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分割払い・後払い(BNPL)

購入代金を自社が加盟店に立て替え、利用者から後日または分割で回収する型です。加盟店手数料と利用者からの手数料・利息が収益になります。貸し倒れを抑える審査と、立て替え資金の確保、規制への対応が成り立つ条件です。

この型の要点

  • 買い物の代金を自社が加盟店に先に支払い、利用者からは後日または分割で回収する型です。自社が「立て替える人」になります。
  • 収益は二方向から入ります。加盟店からは売上を増やし回収リスクを引き受ける対価として手数料を、利用者からは分割や支払い猶予の対価として手数料や利息を受け取ります。
  • 立て替えた代金が戻らない「貸し倒れ」と、立て替えのための資金の確保がこの型の中核の課題です。審査と資金調達の設計が事業の成否を決めます。

収益が生まれる仕組み

お金の流れは三者の間で動きます。利用者が加盟店で購入すると、自社が加盟店に代金(から手数料を差し引いた額)を支払います。その後、利用者から自社に、一括後払いまたは分割で代金が入ります。自社の手元には、加盟店への支払いと利用者からの回収の間の期間、立て替えた金額分の資金が出ている状態が続きます。

収益の源泉は主に二つです。一つめは加盟店手数料で、加盟店は「後払いや分割を用意することで購入をためらう客が買ってくれる」「回収の手間と未回収のリスクを負わずに済む」という価値に対して払います。二つめは利用者からの手数料や利息で、分割回数に応じた手数料、支払い期日を過ぎた場合の遅延に関する料金などが含まれます。利用者側を無料にして加盟店手数料だけで成り立たせる設計もあり、その場合は加盟店にとっての価値の大きさがそのまま収益の上限になります。

費用は大きく三つです。第一に貸し倒れ、つまり利用者から回収できなかった代金です。これは売上ではなく立て替えた元本そのものが失われるため、少しの比率でも収益への影響が大きくなります。第二に資金の調達費用で、立て替えのための資金を外部から借りるなら、その利息がかかります。第三に審査と回収の運用費で、申込みの審査、支払いの督促、問い合わせへの対応にかかる人手と仕組みの費用です。この三つのうち、貸し倒れと資金調達費用は取扱高に比例して増えるため、規模が大きくなっても自然に効率化しない点に注意が必要です。

成り立つ条件と、裏側の仕事

利用者側の条件は、代金を分けて払う、または後で払うことに価値を感じる場面があることです。まとまった金額の買い物で手元の資金を残したい、受け取って確認してから払いたい、といった動機がそれに当たります。加盟店側の条件は、支払い方法の選択肢を増やすことで実際に購入が増える、あるいは回収業務の負担が減ることです。

自社側の条件は、審査の能力と資金の確保です。誰に、いくらまで立て替えるかを判断する審査は、この型の心臓部です。厳しくすれば貸し倒れは減りますが利用も減り、緩くすれば利用は増えますが貸し倒れも増えます。この釣り合いを、実際の回収データを見ながら調整し続ける仕事が、表からは見えない中核業務です。

資金の面では、取扱高が増えるほど必要な立て替え資金も増えます。自己資金だけで賄える範囲は限られるため、成長には外部からの資金調達が必要になることが考えられます。この調達の条件(金額、期間、金利)が事業の採算を直接左右します。

もう一つの裏側は回収の運用です。期日どおりに払われないケースへの連絡、分割の変更相談、返品やキャンセルが起きたときの精算など、地道な業務が続きます。これらは丁寧に行わなければ利用者との関係を損ね、放置すれば貸し倒れが増えます。さらに、代金の立て替えや分割払いには金融関連の規制が関わる可能性が高く、事業の設計段階から個別に専門家へ確認してください。

向く事業・向かない事業

この型は単独で始めるより、既に取引の場(オンラインの店舗、予約サイト、対面の店舗網など)を持っている事業が、その場に後払いや分割の選択肢を加える形で始めるほうが現実的です。取引の流れと顧客の情報がすでに手元にあるため、審査の材料と加盟店の確保を一から行う必要がないからです。

向くのは、一回あたりの購入額が利用者にとってやや大きく、購入をためらう理由が「今すぐ払えるか」にある商材です。たとえば、地域の専門学校が受講料の支払いに分割の選択肢を用意する場合を想定すると、受講の意思はあるが一括の支払いが障壁になっている人の申込みを後押しできる可能性があります。

向きにくいのは、少額で高頻度の取引(立て替えの手間と収益が釣り合わない)、返品や解約が頻繁に起きる商材(精算が複雑になる)、そして自社に審査の材料も資金調達の手段もない段階の事業です。決済の型やマーケットプレイスの型と比べて、この型は利用者の支払いに関する信用リスクと立て替え資金を自社で負う点が根本的に異なります。その覚悟がないまま参入するのは避けるべきです。

追いかける指標

  • 利用率:加盟店での全取引のうち、後払いや分割が選ばれた割合。加盟店にとっての価値を示す基礎の数字です。
  • 承認率:申込みのうち審査を通った割合。低すぎれば利用の機会を逃し、高すぎれば貸し倒れの予兆になりえます。
  • 貸し倒れ率:一定期間に立て替えた金額のうち、最終的に回収できなかった金額の割合。分母は立て替え額、期間は回収完了までの期間を待って確定させます。
  • 延滞率:支払期日を過ぎても入金がない残高の割合。貸し倒れの先行指標として、期日から一定日数ごとに区切って見ます。
  • 資金の回転期間:加盟店に支払ってから利用者から回収するまでの平均日数。必要な運転資金の規模を決めます。
  • 加盟店ごとの取扱高と収益:手数料収入から貸し倒れと資金費用を引いた額を加盟店単位で見ます。加盟店によって採算が大きく異なることがあります。

新規事業として小さく試すなら

  1. 自社または協力してくれる一店舗で、購入をためらった顧客に理由を聞き、「支払いのタイミング」が理由になっている割合を確かめます。ここが小さければ、後払いや分割を用意しても購入は増えにくいと判断できます。
  2. 規制の確認を先に行います。立て替えや分割の設計がどの規制の対象になるか、何が必要になるかを個別に専門家へ確認し、試験の設計そのものが問題ないかを確定させます。この確認なしに実取引を始めるべきではありません。
  3. 確認が取れた範囲で、対象を限定した小規模な試験を行います。金額の上限、対象の顧客、回収の方法を狭く決め、自己資金の範囲で立て替えます。確認したいのは、利用率、期日どおりの回収の割合、回収にかかる手間です。
  4. 試験の結果から、貸し倒れと運用の手間を織り込んだうえで手数料が採算に乗るかを試算します。乗らないなら、審査の設計か対象商材を見直す段階に戻ります。

設計時の注意点

価格の面では、加盟店手数料と利用者手数料のどちらに重心を置くかで、事業の性格が変わります。利用者を無料にすると普及は進みますが、加盟店にとっての価値が明確でなければ手数料を受け取れません。利用者から手数料を取る設計は、金額の表示方法や上限に関する規制の対象になる可能性があります。いずれも個別に専門家へ確認してください。

契約の面では、三者の関係を明確にする必要があります。返品やキャンセルが起きたときに誰がいつ精算するのか、加盟店が倒産した場合に利用者への責任をどう扱うのか、利用者が払わない場合に加盟店へ請求を戻す(遡及する)のかしないのか。特に最後の点は、加盟店にとってのこの型の価値を根本から決める項目です。

運用の面では、審査の判断基準を記録し、結果と照らして見直す体制が必要です。また、回収の連絡は法規制と利用者との関係の両面で慎重さが求められる領域で、連絡の方法や頻度には配慮が要ります。

法規制の面では、立て替え、分割、利息、審査のための情報の取り扱い、回収の方法のそれぞれに規制が関わる可能性があります。この型は規制の比重が大きい型であることを前提に、設計の初期から個別に専門家へ確認してください。

この型が見られる企業事例

この記事について

Otsumu株式会社が執筆しました。統計値や他社の事例には依拠せず、収益の構造、成り立つ条件、検証の進め方を中心にまとめています。法務・税務・会計の制度は、専門家や公的窓口で最新の情報をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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