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OTSUMU KNOWLEDGE

バンダイナムコホールディングスのIP軸戦略に学ぶ事業設計

ガンダムやたまごっちなどのIPを、玩具・ゲーム・映像・施設という複数の事業で連動して展開する構造。売上高1,348,246百万円、営業利益率14.1%の事業から、IPを多面展開する際に裏側で必要な仕組みを読み解きます。

この事例の要点

  • バンダイナムコグループは、IPの世界観や特性を活かし、最適な商品・サービスとして最適な地域に提供することでIP価値の最大化をはかる「IP軸戦略」を、各事業の連携により推進していると説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 2026年3月期の売上高は1,348,246百万円(前期比8.6%増)、営業利益は189,517百万円(前期比5.2%増)で、トイホビー事業が売上高673,968百万円、セグメント利益126,938百万円と最大の柱です(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 映像音楽事業が製作した「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」のヒットを、各事業の商品・サービスと連動するグループ横断展開で拡大したと説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

どんな事業か

同社グループは、中長期ビジョン「Connect with Fans」のもと、2025年4月から3カ年の中期計画を進めています。事業は、トイホビー事業、デジタル事業、映像音楽事業(旧IPプロデュース事業)、アミューズメント事業、その他事業の5つのセグメントで構成されています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

トイホビー事業では、ガンプラ(ガンダムシリーズのプラモデル)やコレクターズフィギュア等のハイターゲット(大人)層向け商品、トレーディングカードゲーム、ガシャポン(カプセルトイ)、「たまごっち」関連商品を展開しています。デジタル事業では、「DRAGON BALL」「ONE PIECE」シリーズ等のネットワークコンテンツと、「ELDEN RING NIGHTREIGN」等の家庭用ゲームを手がけています。映像音楽事業はガンダムシリーズの新作映像作品などを展開し、アミューズメント事業は国内アミューズメント施設の運営と業務用ゲームの販売を行っています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

収益の仕組み

売上は、玩具・カード・カプセルトイ等の商品販売、アプリと家庭用ゲームの販売、映像作品の劇場興行収入・映像配信、ライセンス展開、アミューズメント施設の運営と業務用ゲームの販売から得られます。映像音楽事業では「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」について、劇場興行収入、グローバルでの映像配信、商品・サービスのライセンス展開が業績に貢献したと説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

中期計画では、「たまごっち」等のトイホビー事業発、「ガンダム」等の映像音楽事業発といった、グループで持つIPのライセンス事業を強化し、グループの事業領域以外にもIPの世界観を広げるとしています。また、Legendary Picturesと実写映画「機動戦士ガンダム」に関する共同投資契約を締結しました。費用の内訳は今回参照した決算短信には示されていませんが、中期計画期間中に約6,000億円を計画する成長投資は、主にゲームや映像制作等の原価を中心に計上される投資、金型等の設備投資、戦略投資で構成されると説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

数字で確かめる

  • 売上高:1,348,246百万円(2026年3月期、前期比8.6%増)、営業利益:189,517百万円(前期比5.2%増)、売上高営業利益率:14.1%(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。増収に対して利益の伸びが緩やかで、事業ごとの収益性の差が読み取れます。
  • トイホビー事業:売上高673,968百万円(前期比12.9%増)、セグメント利益126,938百万円(前期比24.2%増)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。グループの利益の大半をこの事業が生んでいることが読み取れます。
  • デジタル事業:売上高476,592百万円(前期比4.6%増)、セグメント利益56,682百万円(前期比17.3%減)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。タイトル依存の振れ幅が読み取れます。
  • 2028年3月期の計数目標:連結売上高14,500億円、連結営業利益2,000億円、海外売上比率(仕向地別)50%以上(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。海外展開が成長の前提と読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は、コンテンツIPの多面展開とロイヤルティ(IP使用料)という型で見ると、「映像でIPの話題をつくり、玩具・ゲーム・施設・ライセンスで回収する」構造と読めます。同社がガンダム新作の話題を各事業の商品・サービスと連動させて拡大したと説明していることから、映像は他事業の需要をつくる起点として機能していると考えられます。

成り立つ条件は、IPを長期に育て続ける体制です。同社が「そだてつづける」をキーテーマに掲げ、シリーズタイトルの継続展開やライセンス事業の強化を挙げていることから、ヒットしたIPを次の映像・商品・イベントへつなぎ続ける企画と権利管理の仕事が裏側にあると読めます。トイホビー事業がハイターゲット(大人)層向け商品で伸びていることから、大人になっても買い続ける顧客層を維持できるかが収益の安定性を左右すると考えられます。

トレードオフは、投資の先行と回収の不確実性にあります。約6,000億円の成長投資を計画する一方、デジタル事業ではタイトル編成の違いでセグメント利益が17.3%減っています。IPの多面展開は、回収経路が多い反面、新作が当たらなければ複数事業に同時に影響が出る構造とも読めます。多彩なIPによるポートフォリオが効果を発揮したと同社が述べているのは、この振れ幅を分散で受け止める設計と考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の商品やコンテンツのうち、他の商品の需要をつくる「起点」の役割を果たしているものは何ですか。
  • 一度つくった価値(ブランド、ノウハウ)を、別のチャネルや顧客層に届け直す経路をいくつ持っていますか。
  • 新商品が当たらなかったとき、影響が一部門で止まる設計になっていますか。

小さく試すなら

  1. 自社の既存商品・サービスを一覧にし、それぞれが「起点」か「回収」かを分類します。起点がなければ、どの商品に話題づくりの役割を持たせるかを決めます。
  2. 起点に選んだ商品について、派生商品や体験(限定版、イベント)を1つ企画し、既存顧客に案内して反応を確かめます。購入者が元の商品の顧客とどれだけ重なるかも確認します。
  3. 自社のブランドや素材を他社に使わせる場合の条件(範囲、期間、対価)を1枚にまとめ、既存の取引先1〜2社に提案し、ライセンス型の収益が成り立つかを判断します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社バンダイナムコホールディングス / IPを軸にした玩具・ゲーム・映像・アミューズメント事業。参照資料:2026年3月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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