分類:企業事例 › 教育・人材・BtoB
この事例の要点
- Chegg, Inc.は、学生向けの学習支援サブスクリプション(Academic Services)と、語学学習や企業向け人材育成の「Chegg Skilling」の2本で事業を営んでいます(Form 10-K、2025年12月期)。
- 2025年12月期の収益は376,908千ドルで前年比39%減。主因は学習支援サブスクの減収で、同社はGoogleのAI要約検索や生成AIの普及によるトラフィックと新規契約者の減少を挙げています(Form 10-K、2025年12月期)。
- 2025年10月に戦略的選択肢の検討を終え、企業向けのスキル教育を中心とする事業へ移る方針を示しました。Skillingの収益比率は12%から18%に上がっています(Form 10-K、2025年12月期)。
どんな事業か
Chegg, Inc.は米国の企業で、New York Stock Exchangeに上場しています。同社は自らを、企業が従業員に新しいスキルを提供し、学習者と学生が成果を出すための学習プラットフォームと位置づけています。Academic Servicesは、Chegg Study、Chegg Writing、Chegg Mathの特典をまとめたプレミアム定額の「Chegg Study Pack」を中心とした、従来からの学習支援です(Form 10-K、2025年12月期)。
Chegg Skillingは、14言語のレッスンとオンライン講師、学習者のコミュニティを備えた語学学習プラットフォームと、AI、コーディング、データ分析、サイバーセキュリティなどの技術スキルを扱う企業向けの育成プログラムから成ります。同社は、Fortune 1000の企業を含む雇用主と協力して内容を更新していると説明しています(Form 10-K、2025年12月期)。
収益の仕組み
2025年12月期から、収益の区分を「サブスクリプション」と「スキル・その他」から、Chegg SkillingとAcademic Servicesに改めました。収益の性質と現金の流れをより正しく表すためと説明されています(Form 10-K、2025年12月期)。
- 入り口:Academic Servicesは、サイトへのトラフィックから有料契約者を得る流れで、同社はこの事業を、分散した多数の学生による小口の取引に依存し、卒業による入れ替わりが大きいと述べています。
- 課金(個人向け):プレミアム定額のサブスクリプションと、広告サービス、コンテンツのライセンス提供です。
- 課金(企業向け):Skillingでは雇用主が人材育成プログラムを購入する形があり、同社は法人向け(B2B)の拡大を語学学習プラットフォームの増収要因として挙げています。
- 継続:学生は卒業で契約が終わるため、同社は新規契約者を絶えず獲得し続ける必要があるとしています。
数字で確かめる
- 収益:2025年376,908千ドル、2024年617,574千ドル、2023年716,295千ドルです(Form 10-K、2025年12月期)。2年連続の減収で、2025年は39%減であることが読み取れます。
- Academic Services:308,254千ドルで前年比43%減です。サブスクリプション収益が223.8百万ドル減ったことが主因で、同社は「トラフィックの減少で契約者が減ったため」と説明しています(Form 10-K、2025年12月期)。入り口の検索流入が減ると、課金の土台が連動して小さくなることが読み取れます。
- Chegg Skilling:68,654千ドルで前年比7%減ですが、収益に占める割合は12%から18%に上がりました。語学学習は企業向けの伸びで3.6百万ドル増え、法人スキルの個人向け取引は8.9百万ドル減っています(Form 10-K、2025年12月期)。全体が縮んだ結果、比率が上がっていることが読み取れます。
- 純損失:2025年は103,421千ドル、2024年は837,068千ドルです(Form 10-K、2025年12月期)。2024年に大きな損失を計上した後、2025年は損失が縮んでいることが読み取れます。
- 再編費用:2025年に51.5百万ドルのリストラ費用を計上し、2025年5月と10月に人員削減を発表しています。米国の事務所も閉鎖しました(Form 10-K、2025年12月期)。収益の縮小に合わせて事業の規模そのものを組み替えていることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事例は「サブスクリプション」の型が、入り口を握る他社の変化で揺らぎうることを示しています。同社は、検索結果に生成AIの要約が表示されることで、利用者が自社サイトに来なくなったと述べています。課金の仕組みが整っていても、顧客に出会う場所を他社が握っている場合、その場所の変更が収益に直結すると読めます。
転換先のSkillingは、個人の学生から雇用主へと、買い手を変える選択だと読めます。学生は卒業で去りますが、企業は従業員の育成を継続して必要とします。語学学習で企業向けが増えたことは、その方向の裏づけの一つです。ただし、現時点ではSkillingの収益自体は減っており、転換が収益の再成長に結びつくかは、これからの開示で確かめる段階だと考えられます。生成AIの影響を受けやすいのは「答えを出す」機能で、学習の継続や成果の管理のように、AIでは代替しにくい価値をどこに置くかが問われていると読めます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の顧客との出会いは、検索やプラットフォームなど他社の仕組みにどのくらい依存していますか。
- 生成AIが「答え」を無料で出せるようになったとき、自社に残る価値は何ですか。
- 入れ替わりの大きい個人顧客から、継続して必要とする法人顧客へ軸を移すとしたら、何を変える必要がありますか。
小さく試すなら
- 直近1年の新規顧客を、入り口(検索、紹介、直接など)別に集計し、依存度の高い経路を特定します。
- 最も依存している経路が止まった場合の売上への影響を、概算で書き出します。
- 既存の個人顧客のうち、所属組織で購入できそうな3〜5人に、法人向けのまとめ契約の関心を聞きます。
- 2〜4週間で、関心のあった組織1社に小規模な試行提案を出し、契約までの条件と必要な追加機能を記録します。
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資料の位置づけ
企業・サービス:Chegg, Inc. / Chegg Skilling・Academic Services。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25