← 企業事例

OTSUMU KNOWLEDGE

Funko, Inc.「Pop! Vinylと許諾IP」に学ぶ他社キャラクターを自社の型に載せる事業設計

約800の許諾IPを、Pop! Vinylという共通の造形ブランドで商品化するFunkoの事例です。ロイヤルティ率や最低支払額の負担、2025年の減収まで、米国Form 10-K(2025年12月期)から確かめます。

この事例の要点

  • Funko, Inc.は、映画、テレビ、ゲーム、音楽、スポーツなどの他社IPを許諾で借り、自社ブランドPop!などの共通の造形で商品化しています(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 2025年は、250を超えるコンテンツ提供者と約800の許諾IPで事業を行い、ロイヤルティ費用は1億5,850万ドル、平均ロイヤルティ率は17.4%でした(Form 10-K、2025年12月期)。
  • 2025年の売上高は9億820万ドル(13.5%減)、純損失は6,830万ドルで、関税の混乱とマクロ環境の不透明感が需要に影響したと説明されています(Form 10-K、2025年12月期)。

どんな事業か

Funko, Inc.は米国デラウェア州法人で、本社を米国ワシントン州エバレットに置き、NASDAQ市場に上場しています。同社はポップカルチャー関連の消費財の会社で、映画、テレビ、ゲーム、アニメ、スポーツ、音楽などのキャラクターを、独自のデザインで商品にしています(Form 10-K、2025年12月期)。

主要な自社ブランドは、Pop!、Loungefly、Mondoなどです。Pop!は2010年に始まった同社の看板ブランドで、丸みを帯びた四角い頭と簡素な顔つきが共通のデザインとして説明されています。Loungefly は許諾IPを使ったバッグ、財布などのファッション小物で、2025年は売上の17%を占めました。販売先は、専門店、量販店、EC、自社運営の直販チャネルです(Form 10-K、2025年12月期)。

収益の仕組み

同社の収益は、許諾IPと自社の造形ブランドの組み合わせから生まれます。

  • 入り口:コンテンツ提供者(映画会社、ゲーム会社など)と許諾契約を結び、キャラクターをPop!などの共通の型で商品化する。
  • 課金:小売業者や直販で商品を販売して売上を得る。許諾元には売上に応じたロイヤルティを支払い、契約によっては最低支払額や前払いが必要になる。
  • 継続:1つのIPから複数の商品をつくり、コレクター層が繰り返し購入する。限定品や予約販売で関心を保つ。

同社は、許諾契約の大半が非独占で、対象のIP、商品カテゴリー、地域、販売チャネルが限定されること、また発売前に許諾元の承認が必要なことを説明しています(Form 10-K、2025年12月期)。

数字で確かめる

  • 売上高は9億820万ドルで、前期の10億4,985万ドルから13.5%減りました。減少はすべての販売チャネルにわたるとされています(Form 10-K、2025年12月期)。型が共通でも、需要の波と関税の影響を受けることが読み取れます。
  • 米国の売上は5億4,630万ドル(19.9%減)、欧州は2億8,830万ドル(1.6%増)でした(Form 10-K、2025年12月期)。地域によって需要の動きが大きく異なることが読み取れます。
  • Core Collectibleは7億2,330万ドル(10.1%減)、Loungeflyは1億5,500万ドル(9.8%減)でした(Form 10-K、2025年12月期)。看板のPop!を含む主力2ブランドが、ともに減収だったことが読み取れます。
  • ロイヤルティ費用は1億5,850万ドル、平均ロイヤルティ率は17.4%で、前期の16.1%から上がりました(Form 10-K、2025年12月期)。他社IPを借りる事業では、売上の2割弱が利用料として出ていく構造であることが読み取れます。
  • 営業損益は4,554万ドルの損失(前期は1,299万ドルの利益)、純損失は6,830万ドルでした(Form 10-K、2025年12月期)。売上の減少が費用の減少を上回ったことが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は「他社IPを自社の型に載せる」設計です。キャラクターそのものは許諾元のものですが、Funkoは丸い頭という共通の造形、限定品の運営、コレクターの購入習慣、小売との関係を自社の資産として持ちます。許諾元から見れば、自社の作品を新しい層に届ける出口になり、Funkoから見れば、IPの数を増やすほど品揃えが広がります。

一方で、この設計は弱点も明確です。同社は売上のほぼすべてが許諾契約に依存し、契約の期間は短いことが多いと述べています。ロイヤルティ率が上がれば、売上が同じでも利益は縮みます。また、上位5つの許諾契約が売上の36%を占めます。型を持つことは強みですが、IPの供給と条件を握るのは許諾元であり、そこで交渉力を保てるかが、型の価値を左右すると読めます。これは公開資料にもとづく解釈で、企業自身の見解とは区別しています。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が他社の資産を使って稼いでいる部分では、自社の独自の型・見せ方・運営の仕組みは何ですか?
  • 利用料や条件が上がったとき、自社の利益はどこまで耐えられますか?
  • 特定の提供元への依存度が高い部分を、別の提供元や自社資産に広げる手立てはありますか?

小さく試すなら

  1. 売上を、他社の資産に依存する部分と自社資産の部分に分けて、構成比を出す。
  2. 他社資産に払っている費用の率を、過去3年分並べて推移を見る。
  3. 上位3つの提供元ごとに、契約期間・更新条件・最低支払額の有無を一覧にする。
  4. 自社独自の型(見せ方、パッケージ、会員運営など)を1つ決め、別の提供元の商品1点に適用する小規模なテストを組む。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:Funko, Inc.(ポップカルチャー関連の許諾商品)。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

あわせて読む

次の一手を、一緒に。

事業の検証から開発・運用まで、現在の段階に合わせて支援します。

事業について相談する ↗
FROM KNOWLEDGE TO ACTION

知識を、次の一手へ。

AIツール診断で、次の一手を整理する ↗