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CarMax, Inc.の中古車小売と販売金融に学ぶ事業設計

中古車を消費者から買い取り、整備して値引き交渉なしで売り、自社の金融部門がローンを付ける。純売上高$25,881.1 millionのCarMax, Inc.から、仕入れ・販売・金融をつなぐ設計を読み解きます。

この事例の要点

  • CarMax, Inc.は、fiscal 2026に780,684台の中古車を小売し、538,203台を自社の卸売オークションで販売しました(Form 10-K、FY2026)。
  • 自社の金融部門CarMax Auto Finance(CAF)は、3-day payoffと返品の影響を除いた後で小売中古車販売台数の42.4%に融資し、約1.0 millionの顧客口座、$16.37 billionの自動車ローン残高を扱っています(Form 10-K、FY2026)。
  • 純売上高は$25,881.1 million(前年比1.8%減)、純利益は$247.3 million(同50.6%減)で、同社は「CarMax needs change」と述べ、CEOを交代しました(Form 10-K、FY2026)。

どんな事業か

同社は米国で中古車の小売を行い、報告セグメントはCarMax Sales OperationsとCAFの2つです。Sales Operationsは中古車の販売と買い取り、関連商品の販売、融資の手配を担い、no-haggle(値引き交渉なし)の価格で提供するとしています。2026年2月28日時点で、110のU.S. television marketsに256店舗を運営していました(Form 10-K、FY2026)。

買い取りでは、同社で車を買うかどうかにかかわらず無料で査定し、7日間有効の価格を書面で提示します。fiscal 2026には消費者とディーラーから約1.1 millionの車両を購入しました。買い取った車両のうち小売基準を満たすのは約半分で、満たさない車両は免許を持つディーラー向けの自社オークションで売却し、平均オークション成約率は約99%でした(Form 10-K、FY2026)。

販売はオンライン、店舗、その組み合わせのいずれでも可能で、販売車両の約38%は顧客の要望で移送されたものでした(Form 10-K、FY2026)。

収益の仕組み

fiscal 2026の売上は、Used vehicle salesが$20,702,358 thousand(純売上高の80.0%)、Wholesale vehicle salesが$4,504,564 thousand(17.4%)、Other sales and revenuesが$674,209 thousand(2.6%)です。関連商品として延長保証(ESP)やGAPを販売しており、小売中古車の購入者の約52%がESPを、約16%がGAPを購入しました(Form 10-K、FY2026)。

これとは別に、CAFの利益がCARMAX AUTO FINANCE INCOMEとして$562,721 thousand計上されています。CAF incomeは、自動車ローンの利息・手数料収入から、資金調達の支払利息、貸倒引当金の繰入、直接経費を差し引いたもので、間接費は配賦していません(Form 10-K、FY2026)。

費用面では、売上原価合計が$23,074,538 thousand(純売上高の89.2%)、販売費及び一般管理費が$2,453,412 thousand(9.5%)でした。Goodwill impairment $141,258 thousandも計上しました(Form 10-K、FY2026)。

数字で確かめる

  • Net sales and operating revenues $25,881.1 million(前年比1.8%減)、Gross profit $2,806.6 million(同3.2%減)(Form 10-K、FY2026)。売上・粗利がともに前年を下回ったことが読み取れます。
  • Used gross profit per unit $2,253、Wholesale gross profit per unit $974(Form 10-K、FY2026)。小売1台の粗利が、オークション1台の粗利を大きく上回る構造が読み取れます。
  • CAF income $562.7 million(前年比3.3%減)(Form 10-K、FY2026)。車両の粗利とは別に、金融が利益の柱であることが読み取れます。
  • SG&A as a % of gross profit 87.4%(前年84.0%)(Form 10-K、FY2026)。粗利の大半が販管費で消えており、その比率が上がったことが読み取れます。
  • Digitally enabled transactions 81%、Omni sales 68%、Online retail sales 13%(Form 10-K、FY2026)。手続きの一部をオンラインで行う購入が多数で、完全オンラインは一部にとどまることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は「中古品のオンライン売買」と「販売金融(自社製品のローン・リース)」の二つの型を重ねたものと読めます。中古品の型では、良い在庫を安定して仕入れられるかが事業の前提になります。同社は、購入の有無を問わない買い取りと7日間有効の査定額によって消費者から仕入れ、小売基準に満たない約半分の車両は自社オークションで売り切ります。出口を二つ持つことで、大量の買い取りを続けられる構造と考えられます。

販売金融の型では、自社の顧客に限って融資することで、販売時の情報を審査に活かせます。同社も、CAFの審査モデルは自社チャネルに最適化されているとしています。裏側では審査から回収、延滞対応までを自社で担う必要があり、資金調達の金利の変動も利益に響くと読めます。

トレードオフとして、no-haggleの価格と、どの車を売っても同額の歩合という報酬設計は顧客の信頼につながる一方、価格で調整する余地を狭めます。粗利に対する販管費の比率が87.4%に上がった当期は、機能を一体で抱える設計が台数の伸び悩みに弱い面を示したと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が中古品や在庫を仕入れるとき、売り物にならない分を処分する出口を持っているか。
  • 販売時点で得られる顧客や商品の情報を、支払い方法の提供や審査に活かす余地はあるか。
  • 価格交渉をなくした場合、販売担当者の報酬設計を顧客の利益と揃えられているか。

小さく試すなら

  1. 直近3か月に仕入れた商品を「そのまま売れた」「手直しして売れた」「売れなかった」に分け、それぞれの件数と粗利を集計する。
  2. 「売れなかった」商品について、業者向けにまとめて売却する先を2〜3社探し、引き取り価格の見積りを取る。
  3. 購入を条件としない買い取り窓口を、期間を区切って2〜4週間告知し、申込件数と買い取り成立件数を記録する。
  4. 買い取り品の粗利が既存の仕入れより高ければ窓口を常設し、低ければ査定基準を見直す。

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資料の位置づけ

企業・サービス:CarMax, Inc. / 中古車小売と販売金融(CarMax Auto Finance)。参照資料:Form 10-K(FY2026)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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