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販売金融(自社製品のローン・リース)

自社製品を買う顧客に購入資金の貸付や分割払い、リースを提供し、製品の販売利益と金融の収益の両方を得る型です。製品の単価が高く、自社製品の中古価値や故障の傾向を他の貸し手より詳しく知っていることが条件です。

この型の要点

  • 自社の製品を買う顧客に、購入資金の貸付や分割払い、リースを自社または自社の関連会社が提供する型です。製品の販売による利益と、金融による利益の両方を一つの顧客から得ます。
  • 金融の役割は、金利で稼ぐことだけではありません。「一度に払えないから買えない」顧客を買える状態にし、製品の販売そのものを増やす手段でもあります。販売と金融のどちらを主とするかで設計が変わります。
  • 自社の製品だからこそ、中古としての価値や故障の傾向、顧客の使い方を他の貸し手より詳しく知っています。この情報の差が、与信と残価の判断で優位に働きます。

収益が生まれる仕組み

お金を払うのは製品を買う顧客で、支払いの対象は二つに分かれます。一つは製品そのものの代金、もう一つは購入資金を借りることに対する利息や分割の手数料です。分割払いや貸付の形では、製品の代金は販売時に売上として立ち、金融の収益は返済期間にわたって入ります。リースの形では製品の代金の計上の仕方が異なりうるため、会計上の扱いは個別に専門家へ確認してください。

たとえば、業務用の厨房機器を製造して飲食店に販売する場合、機器の代金を一括で払うのが難しい店もあります。そこで自社が分割払いの契約を用意すると、店は月々の支払いで機器を導入でき、自社は機器の販売利益に加えて、分割期間中の手数料を受け取ります。

この型では、金融を「販売を増やす道具」とするか「金融そのもので利益を出す」かの比重を決める必要があります。前者なら利息を抑えて販売台数を伸ばす設計、後者なら利息を通常の貸し手と同じ水準に置く設計になります。

費用がかかるのは、主に次の場所です。

  • 貸すための資金の調達。顧客に貸す元本を、自社の資金か外部からの借り入れで用意する費用です。
  • 貸倒れ。返済が止まった契約の元本は損失になりますが、製品を引き揚げて再び売れれば、損失の一部は取り戻せます。
  • 審査と契約事務、回収。金融の契約は製品の販売とは別の事務を伴います。
  • 引き揚げた製品の整備と再販売。自社の製品であるため整備の知識はありますが、再販売の経路は別に用意する必要があります。

成り立つ条件と、裏側の仕事

顧客側の条件は、製品の価格が顧客の一度の支払い能力を超えており、分割にすれば買える層が一定数いることです。製品が安く、誰でも一括で買えるなら、金融を挟む意味は薄くなります。また、製品が顧客の収益を生む道具である場合、その収益から返済されるため、与信の判断もしやすくなります。

供給側、つまり自社の条件は、貸出の元本を用意できる資金力と、金融の事務を回す体制です。製品の販売は一度で現金が入りますが、金融を挟むと現金の回収が返済期間の分だけ後ろにずれます。販売が伸びるほど手元の資金が減るという、直感に反する動きが起きるため、資金の見通しが欠かせません。

自社の能力として最も重要なのは、自社製品の中古価値と故障の傾向を把握していることです。これは外部の貸し手が持ちにくい情報で、与信の基準や、リースの場合の残価の設定に直接使えます。

裏側で必ず必要になる仕事は、次のようなものです。

  • 販売部門と金融部門の利害の調整。販売側は契約を通したいので審査を緩めたがり、金融側は貸倒れを避けたいので厳しくしたがります。この調整を誰が行うかを決めておきます。
  • 引き揚げた製品の再販売経路の整備。返済が止まった製品を回収し、整備して再び売る流れがないと、貸倒れの損失を取り戻せません。
  • 資金の管理。販売の増加に伴って必要になる貸出の元本を、どの経路で調達するかを常に先回りして手当てします。
  • 貸金やリースに関する規制への対応。自社製品の販売に付随する形でも、貸付やリースを業として行う場合、形によっては登録や表示、契約内容に関する定めが関わります。個別に専門家へ確認してください。

向く事業・向かない事業

向くのは、製品の単価が高く、顧客がその製品を使って収益を得るような分野です。返済の原資が製品の使用から生まれるため、与信の判断がしやすく、顧客にとっても分割で導入する合理性があります。また、製品の中古価値がある程度保たれ、引き揚げた際に再販売できる分野も向いています。

向かないのは、製品の単価が低く、金融を挟む事務の費用が利息で賄えない分野です。また、製品が急速に陳腐化し、引き揚げても価値が残らない分野では、貸倒れの損失を取り戻せず、金融側の採算が悪化します。自社の資金に余裕がなく、販売が伸びるほど資金が詰まる状態に耐えられない場合も、外部の金融機関に任せる方が適切です。

判断の目安は、「顧客が買わない理由の上位に、一度に払えないことがあるか」と「引き揚げた製品を再び売れるか」の二つです。前者だけなら外部の貸し手と提携する形でも足り、両方が当てはまるなら自社で金融を持つ意味が出てきます。

追いかける指標

  • 金融の利用率:製品の販売のうち、自社の金融を使った契約の割合です。分母は同じ期間の販売件数とし、金融が販売を増やしているかを見る入口になります。
  • 金融あり・なしの成約率の差:見積もりを出した顧客のうち成約した割合を、金融の提案をした場合としない場合で比べます。金融が販売を後押ししている度合いを表します。
  • 貸倒れ率と回収後の実損率:返済が止まった元本を貸出残高で割った割合と、引き揚げた製品の再販売で取り戻した分を差し引いた後の損失の割合です。二つを分けて見ます。
  • 一顧客あたりの合計利益:製品の販売利益と、金融の返済期間全体の利益を合わせた額です。金融の利息を抑えて販売を増やす設計では、この合計で採算を判断します。
  • 資金の回収期間:製品を出荷してから、その代金の全額が返済で手元に戻るまでの平均の月数です。販売の伸びに対して必要な資金の量を見積もる基礎になります。

新規事業として小さく試すなら

  1. 直近の見積もりのうち成約に至らなかった案件を並べ、断られた理由を確かめます。「一度に払えない」が理由の上位にあれば、次に進みます。
  2. 自社で貸す前に、外部の金融機関やリース会社と提携し、顧客に分割やリースを提案できる状態を作ります。提案の有無で成約率がどう変わるかを記録します。
  3. 提携を通じて、どの層の顧客がどの条件で返済を続けているかの情報を集めます。自社の製品の中古価値と合わせ、自社で引き受けた場合の貸倒れの見込みを立てます。
  4. 見込みが立ち、資金の手当てと規制面の確認が済んだら、限定した製品と顧客層で自社の金融を始めます。実際の返済と再販売の結果が見込みに近ければ、対象を広げる段階に進みます。

設計時の注意点

価格については、製品の値引きと金融の利息を一体で考える必要があります。利息を下げて販売を増やすなら、その分の利益は製品側で確保する設計になり、逆に製品を値引くなら金融で取り戻す設計になります。どちらを選んだかを社内で明確にしないと、両方で譲って採算が崩れます。

契約については、返済が止まった場合の製品の引き揚げの手順と、所有権の扱いを最初から契約に書き込んでおきます。製品を担保として扱うのか、リースとして所有権を自社に残すのかで、引き揚げの可否と手続きが変わります。

運用については、販売部門の目標と金融部門の審査を切り分けることが大切です。販売の目標が審査を押し流すと、製品は売れているのに貸倒れが増え、後で損失が表に出ます。審査の判断理由を記録し、販売の実績とは別に評価します。

法規制については、貸付、割賦販売、リースのそれぞれに関わる規制がありえて、顧客が個人か事業者か、自社で契約するか関連会社を設けるかでも要件が変わります。事業の形を決める前に、個別に専門家へ確認してください。

最後に、金融を持つと、製品の問題が金融の損失として遅れて表に出ます。故障が多ければ返済が止まり、中古価値が落ちれば引き揚げても取り戻せません。金融側の数字は製品の品質を映す鏡でもあります。

この型が見られる企業事例

この記事について

Otsumu株式会社が執筆しました。統計値や他社の事例には依拠せず、収益の構造、成り立つ条件、検証の進め方を中心にまとめています。法務・税務・会計の制度は、専門家や公的窓口で最新の情報をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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