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株式会社神戸物産「業務スーパー」のFC展開とPB製造に学ぶ事業設計

自社グループ工場の製造品と直輸入品のPBを、FCオーナーによる出店が続く「業務スーパー」1,122店舗で販売する株式会社神戸物産。「食の製販一体体制」とFC網を組み合わせる設計を決算短信から読みます。

この事例の要点

  • 2025年10月期の連結売上高は551,701百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益は39,878百万円(同16.1%増)で、このうち業務スーパー事業の売上高が530,509百万円(同8.5%増)を占めます(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 「業務スーパー」は出店49店舗、退店11店舗、純増38店舗で総店舗数1,122店舗となり、2026年10月期末には1,154店舗(純増32店舗)を目標としています(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 同社グループは「食の製販一体体制」の更なる強化をグループ目標に掲げ、食品製造工場の生産能力の増強や積極的な商品開発を行ったと説明しています(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

どんな事業か

株式会社神戸物産のグループは、業務スーパー事業、外食・中食事業、エコ再生エネルギー事業の3つの事業で業績を示しています(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

中心の業務スーパー事業では、自社グループ工場で製造するオリジナル商品と、世界の本物をコンセプトにした自社直輸入品によるプライベートブランド(PB)商品等をベストプライスで販売する「業務スーパー」を展開しています。当期の新規出店49店舗の内訳は、直轄エリア28店舗、地方エリア21店舗です。同社は、営業年数が長くなり老朽化してきた店舗の移転等を積極的にフランチャイズ(FC)オーナーに勧めており、FCオーナーの業績拡大に寄与していると説明しています(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

外食・中食事業では、大型バイキングの「神戸クック・ワールドビュッフェ」(19店舗)、焼肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」(22店舗)、惣菜店の「馳走菜(ちそうな)」(149店舗)を展開しています。「馳走菜」は業務スーパー事業とのシナジー効果の高さから、FCオーナーの出店意欲も高まっているとしています。エコ再生エネルギー事業では、太陽光発電所19ヵ所で約81.0MW、木質バイオマス発電所1ヵ所で約6.2MWが稼働しています(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

収益の仕組み

売上の大半は業務スーパー事業から生まれており、同社は、高品質で魅力のある商品をベストプライスで提供できることをグループの強みとしています。当期は不安定な為替の変動や物価上昇による仕入れコストの増加があったものの、価格戦略が功を奏したことや、PB商品が多くのメディアで取り上げられたことが集客力の向上につながったとしています(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

商品面では、自社グループ工場における設備投資の継続と、直輸入商品の取り扱い拡大でPB商品の更なる充実を図るとしています。本年7月末からは、農産品の全輸入コンテナを対象とした残留農薬の自主検査も開始しました(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。

一方、FC加盟店からどのような形で売上を得ているか(商品の供給、加盟に伴う収入など)の内訳は、今回参照した決算短信には記載されていません。費用についても、今回参照した公開資料には費用の内訳は示されていません。

数字で確かめる

  • 連結売上高551,701百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益39,878百万円(同16.1%増)(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上の伸びを上回って営業利益が伸びたことが読み取れます。
  • 売上高営業利益率7.2%(前期6.8%)(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。仕入れコストが増える環境の中でも、利益率が改善したことが読み取れます。
  • 業務スーパー事業の売上高530,509百万円(前年同期比8.5%増)(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。グループの売上のほとんどを一つの事業が担う構造であることが読み取れます。
  • 「業務スーパー」総店舗数1,122店舗、出店49店舗、退店11店舗(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。退店を出店が大きく上回り、店舗網が拡大し続けていることが読み取れます。
  • 外食・中食事業の売上高16,474百万円(前年同期比16.4%増)、「馳走菜」は純増19店舗で149店舗(2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。業務スーパーで培った商品力を別業態に広げていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は「フランチャイズ」と「プライベートブランド(PB)」の二つの型を重ねたものとして読むと整理しやすいと考えられます。PBの型は、製造や直輸入を自社で押さえることで価格と品質を自ら決められる反面、工場を動かし続けるだけの販売量が必要です。FCの型は、店舗の出店と運営を加盟オーナーが担うことで、本部の投資を抑えながら店舗網を広げられます。店舗網が販売量をつくり、その販売量が工場と直輸入の採算を支えるという循環が、この事業の前提になっていると読めます。

裏側で必要な仕事は、FCオーナーの業績を支えることです。同社が老朽化した店舗の移転をオーナーに勧め、それが業績拡大と出店意欲につながっていると説明している点は、本部が店舗の立地や設備の更新まで踏み込んで関わっていることを示していると考えられます。また、残留農薬の自主検査のように、PBでは品質の責任を本部が負うため、検査体制への投資も欠かせないと読めます。

トレードオフとして、売上の大半を業務スーパー事業に依存し、PB商品に直輸入品を含むことから、為替や物流費の変動が採算に響きやすいと考えられます。同社自身も不安定な為替の変動や物流費の上昇を不透明要因に挙げています。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社でつくる商品と、それを売る場の規模は釣り合っているか。販売量が増えれば製造の採算は良くなる構造か。
  • 店舗や販売を担うパートナーの業績を、本部としてどこまで支援しているか。
  • 自社ブランド商品の品質について、仕入れ段階で自ら確かめる仕組みを持っているか。
  • 一つの事業で培った商品や仕組みを、別の業態に展開する余地はあるか。

小さく試すなら

  1. 自社で企画・製造している商品と外部から仕入れている商品を並べ、それぞれの粗利と販売数量を比較する。
  2. 販売数量が伸びれば原価が下がりそうな自社商品を1つ選び、数量ごとの原価の見込みを製造側と試算する。
  3. その商品を2〜4週間、販売パートナーや店頭で重点的に扱ってもらい、販売数量とパートナー側の粗利を記録する。
  4. 数量と粗利の両方が伸びれば取り扱い先を広げ、パートナー側の粗利が伸びなければ卸価格や支援策を見直すかを判断する。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社神戸物産 / 「業務スーパー」のフランチャイズ展開とPB製造。参照資料:2025年10月期 決算短信〔日本基準〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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