この事例の要点
- 2025年6月に発売したNintendo Switch 2は、通期の販売台数が1,986万台、専用ソフトの販売本数が4,871万本となりました(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 売上高は2,313,051百万円(前期比98.6%増)、営業利益は360,117百万円(同27.5%増)で、海外売上高比率は76.9%でした(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
- 発売から10年目を迎えたNintendo Switchも、ソフトウェアの販売本数が1億3,691万本と一定の需要が続いており、新旧のハードウェアの上でソフトウェアが販売されています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
どんな事業か
任天堂株式会社は、ゲーム専用機のハードウェアと、その上で遊ぶソフトウェアを販売しています。当期は6月に発売したNintendo Switch 2が全世界で販売を伸ばし、3月に発売した『ぽこ あ ポケモン』もハードウェアの販売に貢献しました。本体と同時に発売した『マリオカート ワールド』は本体セットの販売分を含め1,470万本、7月発売の『ドンキーコング バナンザ』は452万本の販売を記録しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
Nintendo Switchは、ハードウェアの販売台数が380万台でした。Nintendo Switch 2ではNintendo Switchソフトも遊べるため、前期以前に発売した定番タイトルも安定した販売となったと同社は説明しています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
今後について同社は、新規タイトルを継続的に投入してNintendo Switch 2ビジネスの拡大に努め、ソフトメーカー様からも多数のタイトルが発売される予定としています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
収益の仕組み
決算短信から読み取れる収益源は、ハードウェアの販売、パッケージ版とダウンロード版のソフトウェアの販売、そしてIP関連収入等です。ゲーム専用機におけるデジタルビジネスでは、パッケージ併売ダウンロードソフトの売上が増えたことなどにより、デジタル売上高は4,076億円(前年同期比25.0%増)となりました。IP関連収入等は、主に映画関連の売上が減少したことにより735億円(前年同期比9.7%減)でした(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
営業外では、持分法による投資利益827億円、受取利息460億円、為替差益443億円などを計上し、経常利益は5,421億円となりました(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
費用については、今回参照した公開資料には売上原価や販売費の内訳は示されていません。なお同社は、内部留保資金の使途として、新技術の研究、新企画の商品およびサービスの開発、生産体制の拡充および原材料の確保、広告宣伝を含めた販売力およびネットワークインフラの強化を挙げています(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。
数字で確かめる
- 売上高:2,313,051百万円、前期比98.6%増(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。新しいハードウェアを発売した年に売上規模が大きく変わる事業であることが読み取れます。
- 営業利益:360,117百万円、前期比27.5%増、売上高営業利益率15.6%(前期24.3%)(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。増収の一方で、利益率は前期を下回ったことが読み取れます。
- Nintendo Switch 2:ハードウェア1,986万台、ソフトウェア4,871万本(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。本体の普及と同時にソフトウェアの販売が積み上がっていることが読み取れます。
- デジタル売上高:4,076億円、前年同期比25.0%増(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。デジタルビジネスの売上が前期から伸びたことが読み取れます。
- 海外売上高:1兆7,781億円、海外売上高比率76.9%(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。売上の大半を海外で得ていることが読み取れます。
- 次期予想:売上高2兆500億円、営業利益3,700億円(2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))。発売翌年は減収を見込みながらも、営業利益は当期並みを見込んでいることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は「消耗品モデル」の型で読むことができます。まず本体を普及させ、その上で繰り返し購入されるソフトウェアで売上を重ねる構造です。Nintendo Switch 2の発売年に売上高が大きく伸びた一方で利益率が前期を下回り、翌期は減収でも営業利益は当期並みを見込んでいることは、本体の普及期とソフトウェアの販売期で収益の姿が変わるこの型の特徴として読めます。
もう一つは「アプリストア・配信手数料」の型です。同社は自社タイトルに加えてソフトメーカーからも多数のタイトルが発売される予定だとしており、本体が他社のソフトウェアの販売の場にもなっています。ただし、ソフトメーカーとの取引条件や手数料は今回の資料には示されておらず、この型がどの程度収益に貢献しているかは確認できません。
裏側で必要な仕事は、本体を買う理由となるソフトウェアを途切れず出し続けることだと考えられます。また、Nintendo Switch 2でNintendo Switchソフトも遊べるようにしたことは、旧世代の利用者と定番タイトルを新しい本体に引き継ぐ設計と読めます。トレードオフは、本体の世代交代に業績が大きく左右されることです。本体の販売が一巡した後の稼働の維持が問われると考えられます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社には、最初に導入してもらう「本体」と、繰り返し買ってもらう「ソフト」にあたる商品の組み合わせがありますか。
- 新しい商品に切り替えるとき、既存の顧客と既存の商品資産を引き継げる設計になっていますか。
- 自社の基盤の上で、他社が商品やサービスを提供できる余地はありますか。その取り分をどう設計しますか。
小さく試すなら
- 既存顧客を、最初に購入した商品別に分け、その後の追加購入の回数と金額を一覧にします。
- 追加購入の多い組み合わせを1つ選び、最初の購入時にその追加商品を案内する導線を2〜4週間用意します。
- 案内した顧客と案内しなかった顧客で、期間中の追加購入率を比べます。
- 追加購入率に差が出るなら、追加商品の投入予定を月単位で並べ、途切れずに案内できる体制を検討します。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:任天堂株式会社 / ゲーム専用機とソフトのプラットフォーム。参照資料:2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27