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OTSUMU KNOWLEDGE

株式会社NTTデータグループのシステムインテグレーションに学ぶ事業設計

コンサルティングからアプリケーション開発、インフラサービスまでを顧客ごとの案件として届けるITサービスの事業です。売上高4,638,721百万円の内訳から、案件の選択と集中、データセンターへの投資の組み合わせ方が学べます。

この事例の要点

  • 同社は、コンサルティングからアプリケーション開発、インフラサービスまでを含む多様なITサービスを、日本と海外で提供していると説明しています(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 2025年3月期の売上高は4,638,721百万円(前期比6.2%増)、営業利益は323,862百万円(同4.6%増)で、増収増益でした(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。
  • 日本セグメントは、より収益性が高い案件への選択と集中と不採算ビジネスの抑制で収益性を高めたとしています(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

どんな事業か

同社グループは、報告セグメントとして日本、海外、その他を持ちます。日本セグメントは公共・社会基盤、金融、法人の3分野で構成され、業界・顧客の事業課題や経営課題に対応するオファリングを設定し、コンサルティング・デジタル関連案件の拡大を目指したと説明しています(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

金融分野では地銀共同センター参加行とともに共同利用型次世代営業店システム「営業店スマート化」ソリューションを開発し、㈱西日本シティ銀行で本格導入しました。法人分野では㈱博報堂とともに合弁会社㈱HAKUHODO ITTENIを設立し、戦略策定からシステム実装までを支援するとしています(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

海外セグメントは、North America、EMEAL、APACの3つのリージョナルユニットと、グローバルユニットのGlobal Technology and Solutions Servicesで構成されます。後者はデータセンター事業、IPネットワーク、SAP事業などを担い、データセンターは全世界で約1,500MWの規模でサービスを提供しているとしています(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

収益の仕組み

収益は、顧客ごとのシステム構築やITサービスの案件から生まれます。例として、北米では米国の大手ヘルスケアソリューションプロバイダーから、データセンターの集約とマルチクラウドへの移行を含む7年間にわたる大型案件を受注したとしています。EMEALでは再生可能エネルギー事業者と、基幹アプリケーションのモダナイゼーションとクラウド移行の契約を結びました(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

もう一つの柱がデータセンター事業で、2024年度は4,130億円を投資し、サービス提供可能容量を約380MW拡充しました。投資の原資づくりとして、不動産投資信託(REIT)を活用し、データセンターの資産を継続的に売却して投資回収サイクルを早めるとしています(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。

費用については、研究開発費が28,258百万円、減価償却費及び償却費が3,642億円と示されていますが、今回参照した公開資料には原価や販売費などの費用の内訳は示されていません。

数字で確かめる

  • 売上高は4,638,721百万円(前期比6.2%増)、営業利益は323,862百万円(同4.6%増)、売上高営業利益率は7.0%(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。規模に対して利益率は高くないことが読み取れます。
  • 日本セグメントの売上高は1兆9,332億円(前期比10.0%増)、営業利益は2,052億円(同9.9%増)(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。国内の案件が伸び、利益も増えたことが読み取れます。
  • 海外セグメントの売上高は2兆7,509億円(前期比3.6%増)、営業利益は1,002億円(同13.4%減)(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。売上構成比は57.5%と大きい一方、利益は減っていることが読み取れます。
  • データセンター事業への2024年度の投資実績は4,130億円(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。ITサービスに加えて設備への投資が重い事業であることが読み取れます。
  • 営業活動によるキャッシュ・フローは397,148百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは△669,743百万円で、フリー・キャッシュ・フローは2,726億円の赤字(2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結))。投資が営業で得た現金を上回っていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。SIの型は、顧客の課題に合わせて案件ごとに設計・構築を請け負い、人の力で価値を届けることで成り立ちます。この型では、どの案件を受けるかが利益を大きく左右すると考えられます。日本セグメントが「より収益性が高い案件への選択と集中、不採算ビジネスの抑制」により収益性を高めたと説明している点は、案件の選び方そのものが経営の手段になっていることを示していると読めます。

プロジェクト受託の観点では、今回参照した資料は契約形態(一括請負か否か)を示していません。そのうえで、7年間にわたる案件や10年以上のリレーションを基にした受注の例からは、一度の構築で終わらず、長い関係の中で次の案件につなげる設計が重要だと考えられます。裏側では、見積もりの精度、デリバリーの品質管理、専門人財の確保が欠かせない仕事になると読めます。

トレードオフは、規模の拡大と収益性の両立にあると考えられます。海外セグメントは売上が伸びた一方で営業利益が減っており、同社も収益性の改善を課題に挙げています。またデータセンターのように設備を持つ事業は、案件型の収益を安定させる一方で大きな投資を必要とし、同社はREITの活用で回収を早めようとしていると読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 受けている案件ごとの利益を把握し、不採算になりやすい案件の特徴を言葉にできているでしょうか。
  • 一度きりの受託で終わらず、次の案件につながる顧客との関係をどう設計しているでしょうか。
  • 人の稼働に頼る収益と、設備や仕組みから生まれる継続的な収益の組み合わせは、自社ではどうあるべきでしょうか。
  • 他社との合弁や提携で、単独では提案できない範囲を補える領域はどこでしょうか。

小さく試すなら

  1. 直近の受託案件を一覧にし、見積もり時の想定工数と実績工数、最終的な粗利を並べます。
  2. 粗利が低かった案件に共通する条件(要件の曖昧さ、顧客の業種、契約の形など)を2〜3個に絞り込みます。
  3. 次の2〜4週間に来る引き合いにその条件を当てはめ、受ける・条件を変えて受ける・見送るの判断を試します。
  4. 判断した案件の見積もりの精度と提案の通り方を記録し、基準が機能しそうなら受注判断の標準に組み込みます。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社NTTデータグループ / システムインテグレーションとITサービス。参照資料:2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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