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OTSUMU KNOWLEDGE

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス「ドン・キホーテ」に学ぶ事業設計

国内のディスカウントストアとUNY事業、北米・アジアの店舗で売上高2,445,260百万円を上げる小売グループです。食品から日用雑貨・ファッションまで幅広く売る店づくりと、PB/OEM商品や食品強化型の新業態への展開を決算短信から確かめます。

この事例の要点

  • 同社グループは国内事業(ディスカウントストア、UNY事業)、北米事業、アジア事業の3つの事業で小売業を展開し、2026年6月期の売上高は2,445,260百万円(前期比8.8%増)、営業利益は174,842百万円(同7.7%増)でした(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 国内ディスカウントストアの商品区分別売上高では、食品が654,814百万円と最も大きく、日用雑貨品428,832百万円、時計・ファッション用品200,876百万円が続きます(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。
  • 同社はPB/OEM商品や食品強化を成長戦略の1つと位置付け、2026年4月に食品強化型の新業態「驚楽の殿堂 ロビン・フッド」の1号店を開いています(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

どんな事業か

同社グループは、ディスカウントストアを中心とする小売業を国内外で展開しています。2026年6月末時点の総店舗数は国内676店舗、海外123店舗の合計799店舗で、2025年6月末時点の779店舗から増えました。当期は国内で25店舗、海外で米国カリフォルニア州に4店舗、タイ王国に1店舗を出店しました(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

報告は国内事業、北米事業、アジア事業の区分で行われています。国内事業はディスカウントストアとUNY事業(当期に「総合スーパー」から名称変更)、その他の収益に分かれ、売上高は2,068,195百万円でした。北米事業は277,936百万円、アジア事業は99,129百万円です(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

「ロビン・フッド」は、ユニーの生鮮調達力とドン・キホーテの非食品の品揃えに“驚安DNA“を掛け合わせた食品強化型の業態と説明されています。当期末で5店舗を出店し、2035年までに200~300店舗への拡大を目指すとしています。また、2026年7月1日に㈱Olympicグループを株式交換で連結子会社としました(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

収益の仕組み

お金は店舗での商品販売から入ります。国内ディスカウントストアでは、食品などに加えスポーツ・レジャー用品105,243百万円、家電製品93,241百万円と幅広い商品区分が売上を構成しています。UNY事業では食品が336,289百万円と中心です(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

同社は国内事業の増収要因として、価格戦略や販促施策による既存店客数の伸長、IPコンテンツ商品やトレンド商品の販売好調、過去最高を更新した免税売上高、新規出店を挙げています。PB/OEM商品の売上規模は、今回参照した資料には示されていません(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

費用について同社は、国内事業の販売費及び一般管理費で、新規出店や新業態への転換に伴う費用、継続的な報酬改定や最低賃金の上昇による人件費の増加などがあった一方、労働生産性の向上により販管費率の上昇を抑制したと説明しています。販管費の金額や内訳は、今回参照した公開資料の範囲では示されていません(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。

数字で確かめる

  • 親会社株主に帰属する当期純利益:110,088百万円(前期比21.6%増)(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。売上高の伸び8.8%を上回る増益だったことが読み取れます。
  • 国内事業:売上高2兆681億95百万円(前年同期比9.1%増)、営業利益1,658億29百万円(同4.9%増)(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。増収率に対して営業利益の伸びが小さく、出店や人件費の負担が表れていることが読み取れます。
  • アジア事業:売上高991億29百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益55億17百万円(同186.0%増)(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。不採算店舗の閉店や廃棄率の低減で利益が大きく動いたことが読み取れます。
  • 営業活動によるキャッシュ・フロー:160,939百万円、有形固定資産の取得による支出:478億20百万円(2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結))。店舗投資を本業の現金でまかなえていることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「ディスカウント小売」の型で読むことができます。この型が成り立つには、低い価格で来店客数を集め、その客に複数の商品区分をまたいで買ってもらうことが前提になります。同社の国内ディスカウントストアでは食品が最大の区分でありながら、日用雑貨品、時計・ファッション用品、スポーツ・レジャー用品も大きな売上をつくっています。食品と非食品を同じ店に置くことが、客数を売上に変える条件になっていると読めます。

裏側で必要な仕事は、調達と在庫と人の3つだと考えられます。同社はOlympicグループとのシナジーとして仕入帳合の統一等を通じた原価低減を挙げ、アジア事業では在庫管理の高度化による廃棄率の低減と労働生産性の向上を利益改善の理由に挙げています。安く売る型では、仕入れ条件と売れ残りの管理がそのまま利益に効く構造だと読めます。

「プライベートブランド(PB)」の型は、自社で商品と調達条件を設計できる点が強みです。その代わり、原材料の生産や調達に関わる人権・環境への配慮といった責任も自社で負うことになります。また、同社は競合他社との価格競争の加速や人件費の増加を挙げており、2027年6月期の予想で営業利益の伸び(2.4%増)が売上高の伸び(9.9%増)より小さい点は、低価格を維持するための費用負担というトレードオフを示していると読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の商品のうち、来店や問い合わせの「きっかけ」になる商品と、ついでに買ってもらう商品は、はっきり分かれているでしょうか。
  • 価格を下げるとき、それを支える仕入れ条件や売れ残りの削減の手立ては用意できていますか。
  • 自社ブランドの商品をつくる場合、調達先の管理まで自社で引き受ける覚悟と体制はありますか。

小さく試すなら

  1. 直近の販売データを商品区分ごとに分け、「来店のきっかけになっている区分」と「同時に買われている区分」を一覧にします。
  2. きっかけの区分から1品を選び、2〜4週間、価格や見せ方を変えて、来店数と同時購入の件数がどう動くかを記録します。
  3. 同じ期間の廃棄・値下げの量も記録し、在庫ロスが増えていないかを確かめます。
  4. 同時購入が増え、在庫ロスが抑えられていれば、対象の区分を広げるか、自社ブランド品の試作に進むかを判断します。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス / ディスカウントストア「ドン・キホーテ」など。参照資料:2026年6月期 決算短信。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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