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OTSUMU KNOWLEDGE

Uber Technologiesの配車・配達の仲介プラットフォームに学ぶ事業設計

Uberは利用者と独立した提供者を結ぶ仲介者として手数料を得ており、売上は提供者の取り分を差し引いた純額で計上されます。配車・配達・貨物を同じネットワークで束ねる設計と、提供者の契約形態という前提に伴うリスクを学べる事例です。

この事例の要点

  • Uberは配車(Mobility)、配達(Delivery)、貨物(Freight)の3つのセグメントで、利用者と独立した提供者を結ぶプラットフォームを運営し、2025年の売上高は$52,017 million(前年比18%増)でした(Form 10-K、FY2025)。
  • 同社は多くの取引で自らを「agent」と位置づけ、売上はDriverやMerchantの取り分とDriverへのインセンティブを差し引いた純額で計上しています(Form 10-K、FY2025)。
  • 営業利益は$5,565 million(前年比99%増)で、前年は$2,799 millionでした(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

同社は、乗客(Rider)と独立した配車サービスの提供者(Mobility Driver)を結び、また消費者(Eater)とレストランや食料品店などのMerchant、配達を担うCourierを結んでいます。貨物の分野では荷主(Shipper)と運送事業者(Carrier)をデジタルのマーケットプレイスでつないでいます。技術は70を超える国で利用でき、15,000を超える都市で展開しています(Form 10-K、FY2025)。

Mobilityは配車、カーシェア、マイクロモビリティ、レンタル、公共交通、タクシーなどを扱い、金融パートナーシップ商品や広告もこのセグメントに含まれます。Deliveryは食事、食料品、酒類、日用品などを扱い、小売やレストラン向けの白ラベル配達サービスUber Directも含みます。Freightは北米と欧州を中心に事業を行っています(Form 10-K、FY2025)。

複数のサービスをまたぐ会員制度としてUber Oneがあり、割引やキャッシュバック、優先サービスなどを提供しています。会員数は2025年12月31日時点で46 millionに達しました(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

同社は売上のほぼすべてを、DriverとMerchantがプラットフォームを使うために支払う手数料から得ていると説明しています。他者がサービスを提供するのを手配する立場のため、売上はDriverやMerchantの取り分とDriverへのインセンティブを差し引いた額です。一方、一部の市場ではMobilityやDeliveryのサービスを自ら担い、Freightの多くの市場でも同様で、その場合は総額で売上を計上し、DriverやCarrierへの支払いを売上原価に含めます(Form 10-K、FY2025)。

広告も収益源の一つで、2022年10月に広告部門を正式に立ち上げ、Uber Journey Adsなどを提供しています(Form 10-K、FY2025)。

費用の中心は売上原価で、2025年は$31,338 millionでした。増加の主な理由は、一部市場でのDriverへの支払いとインセンティブの$1.6 billion増、Courierへの支払いとインセンティブの$1.6 billion増、Mobilityの保険費用の$851 million増です。Sales and marketingは$4,898 millionで、消費者向けの割引・プロモーション等は$1.6 billionに増えました(Form 10-K、FY2025)。

数字で確かめる

  • Gross Bookings $193,454 million(前年比19%増)(Form 10-K、FY2025)。売上高($52,017 million)を大きく上回る取引額がプラットフォーム上を流れていることが読み取れます。
  • Trips 13,567 million、MAPCs 202 million(Form 10-K、FY2025)。利用の回数と利用者の両方が増えていることが読み取れます。
  • 売上原価は売上高の60%(前年61%)(Form 10-K、FY2025)。売上原価が費用の大きな部分を占めることが読み取れます。
  • Net income attributable to Uber Technologies, Inc. $10,053 million(Form 10-K、FY2025)。ただし$5.0 billionの繰延税金資産に関する評価性引当金の取り崩しによる利益を含んでおり、本業以外の要因が大きいことが読み取れます。
  • 2025年第4四半期に初めてDeliveryを使った消費者の約58%がプラットフォーム自体の新規利用者でした(Form 10-K、FY2025)。Deliveryが新しい利用者をプラットフォームに呼び込んでいることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。オンデマンド仲介の型で見ると、この事業が成り立つ条件は、需要と供給が同じ地域・同じ時間に十分な数そろい、待ち時間が短く保たれることだと考えられます。同社が需要予測、マッチング、価格設定の技術を競争力の中核と説明し、規模とネットワークの流動性を強調しているのは、この条件を満たし続けるためだと読めます。

マーケットプレイスの型としては、同じネットワークと技術を使って配車から配達、貨物へと領域を広げ、さらにUber Oneや広告を重ねている点が特徴です。2025年第4四半期に、MobilityとDeliveryの両方が提供されている国で両方を使った消費者は、単一のサービスだけを使った消費者の3倍を超えるGross Bookingsを生んだと同社は説明しており、サービスを横断させるほど一人あたりの取引が増える構造だと読めます。

裏側で必要な仕事は、提供者の確保と安全確認、保険、地域ごとの規制対応です。トレードオフとして、同社はDriverが従業員と判断されれば大きな追加費用が生じ得ると説明しており、提供者を独立した事業者として扱う前提そのものが、この型の大きなリスクだと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が仲介する取引で、需要と供給を同じ場所・時間にそろえる仕組みはあるか。
  • 取扱高と自社の売上(手数料)を分けて把握し、それぞれの伸びを追えているか。
  • 一つのサービスの利用者を、別のサービスへ自然に案内する導線はあるか。
  • 提供者との契約形態が変わったとき、費用構造はどれだけ変わるか。

小さく試すなら

  1. 一つの地域か一つの時間帯に絞り、依頼と対応できる提供者の数をそれぞれ記録する。
  2. 依頼から対応までの待ち時間と、成立しなかった依頼の理由を集計する。
  3. 既存の利用者に隣接サービスを案内し、どれだけ併用が生まれるかを確かめる。
  4. 2〜4週間で待ち時間が許容範囲に収まり、併用が一定数生まれれば、対象地域や時間帯を広げる。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Uber Technologies, Inc. / 配車・配達・貨物の仲介プラットフォーム。参照資料:Form 10-K(FY2025)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.27

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