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Vipshop Holdings「Super VIP会員とオフプライス通販」に学ぶ年会費で高頻度の顧客を囲う事業設計

ブランド品の値引き通販を営む中国のVipshopが、年会費制のSVIP会員9.8百万人を軸に購入頻度の高い顧客を囲う構造を、SEC提出のForm 20-F(2025年12月期)の数値から確かめます。

分類:企業事例 › 小売・EC

この事例の要点

  • Vipshop Holdings Limitedは、ブランド商品を値引きして販売するオフプライス通販を中国で営んでいます。年会費を払う有料会員制度「Super VIP(SVIP)」を持ち、2025年のSVIPの利用者は9.8百万人でした(Form 20-F、2025年12月期)。
  • SVIP会員の標準価格は1年でRMB199で、無制限の送料無料、会員限定の割引、非公開のセール、24時間対応の専用サポートなどが付きます(Form 20-F、2025年12月期)。
  • 2025年のGMV(流通総額)はRMB213.5 billion、総売上はRMB105.9 billion(105,919,546千元)でした。有料会員の増加は、購入頻度の高い顧客を囲う手段として位置づけられていることが読み取れます(Form 20-F、2025年12月期)。

どんな事業か

Vipshop Holdings Limitedは、中国広東省の広州に本社を置き、米国のニューヨーク証券取引所にADS(米国預託証券)を上場しています。同社は2008年に、限定数量の高品質ブランド品を短期間、大幅な値引きで販売する「フラッシュセール」の形式を中国で始めたと説明しています。取扱ブランドは52,000を超えます(Form 20-F、2025年12月期)。

同社は自らを「オフプライス小売業」と定義しています。その条件は、私的ブランドやブランドのない商品ではなくブランド商品を中心にすることと、直販チャネルで定期的または継続的な値引きを行い、値引き価格を重視することです。販売はアプリ、ウェブサイト、WeChatのミニプログラム、第三者のプラットフォーム上のオンライン店舗、オフラインの店舗などで行われます(Form 20-F、2025年12月期)。

収益の仕組み

収益の大半は商品の販売で、その他の収益に、広告、アウトレットの賃貸・運営、SVIP会員プログラムが含まれます。

  • 入り口:アプリやサイトに登録して買い物をする。購入したことのある登録会員が「アクティブ顧客」。
  • 課金:SVIPに加入する場合は年会費(標準RMB199)を払い、送料無料や割引などの特典を受ける。自動更新の会員パッケージには割引価格もある。
  • 継続:会員は、娯楽・生活サービスの特典や、娯楽プラットフォームなどとの提携による共同会員も利用できる。

(以上、Form 20-F、2025年12月期)

数字で確かめる

  • SVIPの利用者数:7.6百万人(2023年)、8.8百万人(2024年)、9.8百万人(2025年)で、2025年は前年比11.5%増(Form 20-F、2025年12月期)。有料会員が毎年増えていることが読み取れます。
  • アクティブ顧客:87.4百万人(2023年)、84.7百万人(2024年)、84.8百万人(2025年)(Form 20-F、2025年12月期)。顧客全体が横ばいに近い中で、有料会員の比率が上がっていることが読み取れます。2025年のSVIPは、アクティブ顧客の約11.6%です(9.8÷84.8の算出)。
  • GMV:RMB208.0 billion(2023年)、RMB209.3 billion(2024年)、RMB213.5 billion(2025年)(Form 20-F、2025年12月期)。会員の維持と購入の継続によって、取扱高が伸びていることが読み取れます。
  • 総売上と売上総利益:総売上は112,856,020千元(2023年)、108,420,832千元(2024年)、105,919,546千元(2025年)。2025年の売上総利益は24,490,316千元で、売上に対し約23.1%です(Form 20-F、2025年12月期。比率は同資料の数値から算出)。売上が減る中でも、売上総利益の水準を保っていることが読み取れます。
  • 当期純利益:同社株主に帰属する純利益は8,116,624千元(2023年)、7,739,935千元(2024年)、7,242,490千元(2025年)(Form 20-F、2025年12月期)。SVIP会員の増加と並行して、利益は黒字を保っていますが減少傾向にあることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は「会員制(年会費)販売」の型の変形として読むことができます。倉庫型クラブのように会費が主な利益源とは言えず、同社はSVIPの会費収入を単独の数字では示していません。むしろ、年会費を払う顧客を増やすことで、送料無料や会員限定の割引を使う理由を作り、購入の頻度を上げる役割が大きいと考えられます。同社が、SVIPの利用者を「購買力が強く、高価な商品を頻繁に買う意欲が高い」顧客群と述べていることとも整合します。

この型で見ておきたい点は、顧客全体が伸びなくても、有料会員を増やして取扱高を保てるかどうかです。2025年はアクティブ顧客が横ばいで、SVIPが約1百万人増えました。ただし、総売上と純利益は減少しており、会員の増加が全体の増収に直結しているとは言えません。会員制度は購入の継続を支えますが、利益の拡大は別の要因にも左右される、と読むのが妥当だと考えられます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の顧客のうち、購入の頻度が高い層はどのくらいいて、その層に有料の会員資格を提供する余地はありますか。
  • 会費を取らずに、送料や割引といった特典だけで購入頻度を上げている場合、その費用と効果を数字で確認できていますか。
  • 会員の人数と、全体の売上や利益の動きを別々に追って、会員制度の効果を確かめる方法はありますか。

小さく試すなら

  1. 過去1年の顧客を購入回数で並べ、上位2割の顧客が全体の売上に占める割合と、1回あたりの送料や割引にかかった費用を出します。
  2. 上位の顧客に向けて、年会費と引き換えに、送料無料と会員限定の割引を提供する案を1つ作ります。
  3. 対象顧客10〜20社に案を示し、年会費を払うか、どの特典が決め手かを聞きます。
  4. 関心のあった顧客に2〜4週間の試験会員を提供し、購入回数と1回あたりの購入額が変わるかを記録します。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Vipshop Holdings Limited / Super VIP会員とオフプライス通販。参照資料:Form 20-F(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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