AIワークフローとは
AIワークフローとは、業務の処理手順(ワークフロー)をあらかじめ人が設計し、その中の特定の工程に生成AIを部品として組み込んで、業務を自動化・効率化する仕組みのことです。
たとえば「問い合わせメールが届く → AIが内容を分類する → 分類に応じて担当者に通知する → AIが返信案を作る → 担当者が確認して送信する」という流れでは、全体の順番や分岐はあらかじめ決まっていて、AIは「分類」と「返信案の作成」という決められた役割だけを担います。これがAIワークフローです。
よく比較されるのが「AIエージェント」です。エージェントは、目的を与えられるとAI自身が手順を考え、どのツールをどの順で使うかを判断して進めます。AIワークフローは手順を人が決める「レールの上を走る」方式、エージェントはAIが道筋を考える「自分で運転する」方式とたとえると分かりやすいでしょう。
仕組み・構成要素
AIワークフローは、次のような要素を組み合わせて作ります。
| 要素 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| きっかけ(トリガー) | 処理を開始する出来事 | メール受信、フォーム送信、毎朝9時 |
| データ取得 | 必要な情報を集める | CRMから顧客情報を取得、ファイルを読み込む |
| AI処理 | 生成AIに判断や生成を任せる | 分類、要約、抽出、文章作成 |
| 条件分岐 | 結果に応じて処理を変える | 緊急度が高ければ責任者に通知 |
| 人の確認 | 重要な判断を人が承認する | 返信の送信前に担当者が確認 |
| 出力・連携 | 結果を他のシステムに渡す | チケット登録、チャット通知、表への記録 |
| 比較の観点 | AIワークフロー | AIエージェント |
|---|---|---|
| 手順 | 人が事前に決める | AIがその場で考える |
| 結果の予測しやすさ | 高い | 低め |
| 想定外の依頼への対応 | 苦手 | 比較的得意 |
| 費用・処理時間の見通し | 立てやすい | ぶれやすい |
| 向いている業務 | 手順が決まった定型業務 | 手順が都度変わる調査・判断業務 |
業務の多くは手順がある程度決まっているため、まずAIワークフローで組み、手順を固定しにくい部分にだけエージェント的な仕組みを取り入れるのが現実的な進め方です。
実務での使い方・具体例
架空の例として、ある人材派遣会社が、取引先から届く求人依頼のメールを処理する業務をAIワークフローで効率化するケースを考えます。
- 求人依頼のメールを受信したら処理を開始する
- AIがメール本文から、職種、勤務地、期間、時給、必要なスキルを抜き出し、決まった形式で出力する
- 抜き出せなかった項目があれば、担当者に確認を依頼する
- 抜き出した情報を社内の案件管理システムに仮登録する
- 条件に合う登録スタッフの候補を検索し、担当者に一覧を通知する
- 担当者が内容を確認して正式登録する
この例では、AIが担うのは2の「抜き出し」だけで、残りは既存のシステム連携と人の確認です。手順が固定されているため、どこで誤りが起きたかを追いやすく、費用も処理件数から見積もりやすくなります。
実装には、Zapier、Make、Power Automateなどのノーコード・ローコードの自動化ツールを使う方法と、プログラムで組む方法があります。処理件数、扱うデータの機密性、既存システムとの連携の深さによって選びます。
設計の際は、まず業務を一つずつの作業に分解し、各作業について「判断にルールがあるか」「言葉の解釈が必要か」「誤ったときの影響は大きいか」を書き出します。ルールがある作業はプログラムで、言葉の解釈が必要な作業はAIで、影響が大きい作業は人の確認を挟む、という切り分けが基本になります。
よくある誤解と注意点
- 「エージェントの方が高度だから優れている」わけではない:定型業務では、手順を決めたワークフローの方が安定し、費用も読みやすいことが多くあります。
- AIの出力は必ず検証する工程を入れる:抜き出した値の形式チェック、必須項目の確認など、プログラムで検証できる部分は自動で確認します。
- 例外処理を設計しておく:AIが判断できなかった場合や、システム連携が失敗した場合に、誰に通知し、どう処理するかを決めておきます。
- 作った人がいなくなると止まる:ノーコードツールで作ったワークフローは、担当者の異動で保守できなくなりがちです。設計書と管理者を決めておきます。
関連用語
- マルチエージェント:複数のAIエージェントが分担する構成
- Function Calling(ツール呼び出し):AIが外部の処理を呼び出す仕組み
- iPaaS:クラウド上で複数のシステムをつなぐ連携基盤
- Zapier:AIワークフローの実装にも使われる自動化ツール
- Human-in-the-Loop:人の確認を工程に組み込む考え方
使い分けの詳しい判断基準は「ワークフロー型AIと自律型AIエージェントの違いと業務での使い分け」で、例外処理の設計は「業務自動化で残る例外処理」で解説しています。
Otsumuに相談できること
「生成AIを業務に組み込みたいが、エージェントにすべきか、手順を決めた仕組みで十分か判断できない」という段階では、業務の流れを見える化し、AIに任せる工程を絞り込むことから始めると失敗が少なくなります。OtsumuはAIエージェント開発や自社サービス運用の自動化コンサルティングで、業務の整理から構築・運用まで支援しています。
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01