デプスインタビューとは
デプスインタビューとは、調査者が対象者と一対一で向き合い、時間をかけて経験、動機、判断の過程を掘り下げて聞く調査手法です。他の参加者がいないため、本音や個人的な事情を話してもらいやすい点が特徴です。
デプスは英語の depth で、深さを意味します。複数人で行うフォーカスグループと対比して、個人の内面や行動の背景を深く知りたいときに選ばれます。
デプスインタビューの進め方
進行の基本は、次の流れです。
- 目的と対象者の条件を決める:何を知りたいか、どんな経験を持つ人かを明確にします。
- 質問の骨子を作る:すべて固定の質問ではなく、聞きたい話題の順番を用意します。
- 導入で安心感を作る:目的、記録の扱い、答えたくないことは答えなくてよいことを伝えます。
- 具体的な出来事を聞く:最近の経験を、時系列で順にたどります。
- 深掘りする:「それはなぜですか」「そのとき何を考えましたか」と掘り下げます。
- 記録を整理する:発言と解釈を分け、共通点と相違点を比較します。
聞き手のコツは、相手の発言を評価せず、沈黙を恐れないことです。少し待つと、相手が考えを補足してくれる場面があります。
録音や録画を行う場合は、事前に同意を得て、保管と利用の範囲を説明します。
実務での使い方・具体例
架空の例として、法人向けの請求書管理サービスを検討するチームが、経理担当者に一人ずつ話を聞くとします。直近の月末の請求処理を、始まりから終わりまで順にたどってもらい、どこで時間がかかったか、誰に確認したか、なぜその方法を選んだかを聞きます。
話の中で、「実は規則では決まっていないが、慣習でこの確認を挟んでいる」といった、書類には出ない運用が見えてくることがあります。そうした暗黙のやり方は、製品の設計にとって重要な手掛かりです。
面談の後は、同じ項目で各回を比較できるよう、記録の形式をそろえます。共通する行動と個別の事情を分けておけば、対象顧客の切り分けにも役立ちます。
面談の冒頭で「正解はないので、思い出せる範囲で話してください」と伝えると、相手の緊張がほぐれます。最後に「聞き忘れたことはないか」を尋ねると、予想外の重要な話が出ることもあります。
よくある誤解と注意点
注意したいのは、製品の説明を先にしてしまうことです。説明を聞いた後の相手は、評価する立場に変わり、体験を語らなくなります。まず体験を聞き、最後に必要なら製品を見せます。
また、聞き手が自分の仮説を支持する話だけを深掘りしてしまう偏りにも気をつけます。反対の経験を持つ人にも会い、否定される材料を意図的に探します。
少人数の面談から、全体の割合を語ることもできません。得られるのは理由や仕組みの理解であり、規模の裏付けではありません。数の確認が必要なら、後で定量調査を設計します。
記録は面談の直後に整理するのが望ましいです。時間が経つと、聞き手の解釈が記憶に混ざり、相手が実際に話した内容との区別が難しくなります。
関連用語
- 顧客ヒアリング(カスタマーインタビュー):デプスインタビューを含む、顧客との対話による調査の総称です。
- フォーカスグループ:複数人の対話から反応を探る、対照的な調査です。
- オープンクエスチョン・クローズドクエスチョン:深掘りに使う質問の形式の違いです。
- 誘導質問:インタビューで避けるべき聞き方の典型です。
Otsumuに相談できること
デプスインタビューは、聞き方の設計と対象者の選び方で成果が大きく変わります。Otsumuでは、面談の設計から記録の整理、結果の活用までの相談に応じています。
新規事業の戦略づくりは新規事業戦略支援で扱っています。進め方の整理だけでも構いませんので、状況に合わせて30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04