負荷テストとは
負荷テストとは、多数の利用者が同時にアクセスした状態や、大量のデータを処理する状態を意図的に作り出し、システムが想定どおりの速さで応答できるか、どこまでの量に耐えられるか、限界を超えたときに何が起きるかを、本番公開の前に確かめるテストです。
平易に言えば「開店前に大勢のお客さん役を呼んで、レジや厨房が回るかを試すリハーサル」です。お客さんが少ないときには問題がなくても、混雑すると注文が詰まったり、どこかで処理が止まったりします。それを本番の前に見つけておくのが目的です。
英語では Load Test と呼ばれ、性能テスト(パフォーマンステスト)の一種として扱われます。
仕組み・ポイント
負荷テストには、目的に応じていくつかの種類があります。
| 種類 | 目的 | 確かめること |
|---|---|---|
| 負荷テスト(狭い意味) | 想定する利用量で問題なく動くか | 通常時・ピーク時の応答時間とエラーの有無 |
| ストレステスト | 限界はどこか、超えたら何が起きるか | どこから遅くなるか、止まったあと自然に回復するか |
| スパイクテスト | 急な増加に耐えられるか | 一気にアクセスが増えたときの挙動 |
| 耐久テスト | 長時間動かし続けても大丈夫か | 時間とともにメモリなどが積み上がらないか |
テストでは、主に次の指標を測ります。
- レスポンスタイム(応答時間):一回の操作に何秒かかったか
- スループット:一定時間にどれだけの件数を処理できたか
- エラー率:処理に失敗した割合
- 資源の使用状況:CPU、メモリ、データベースの接続数など
負荷を発生させるツールとしては、JMeter、k6、Locust、Gatlingなどが知られています。クラウド上から大量のアクセスを発生させるサービスもあります。
実務での使い方・具体例
ある会社が、テレビCMの放映に合わせて新しいキャンペーンサイトと申込みシステムを公開する場面を考えます。放映直後に、普段とは桁違いのアクセスが短時間に集中することが予想されます。
負荷テストの進め方の例です。
- 目標を決める:想定する同時アクセス数と、許容する応答時間を、業務側と合意する(想定の根拠も記録する)
- シナリオを作る:トップページを見る、申込みフォームに入力する、送信する、といった利用者の典型的な動きを再現する
- 環境を用意する:本番と同じ構成のテスト環境を用意する(性能が違う環境での結果は参考程度にしかならない)
- 段階的に負荷を上げる:少ない量から始め、目標値、さらにその先まで徐々に上げる
- 詰まった箇所を直す:データベースの検索、外部サービスの呼び出し、画像の配信など、遅くなった原因を特定して改善する
- 再度テストする:改善の効果を確かめる
この例では、静的なページをCDNから配信し、申込みの処理部分だけをサーバーで受けるように見直すことで、元のサーバーへの負荷を大きく減らせる可能性があります。サーバーの台数を自動で増やすオートスケーリングが、急な増加に間に合うかどうかも、スパイクテストで確かめておきます。
結果は、目標値を満たしたかどうかだけでなく、「どの量から遅くなり始めたか」「そのとき何が詰まっていたか」まで記録しておきます。将来、利用者が増えて再び遅くなったときに、どこから手を付ければよいかの手がかりになります。
発注時に確認しておきたいこと
負荷テストは見積もりから漏れやすい作業です。開発を依頼する際は、負荷テストを行うか、目標値は誰が決めるか、どの環境で行うか、結果をどう報告するかを確認しておくと、公開直前に慌てずに済みます。
よくある誤解と注意点
- サーバーを増やせば解決する、ではない:データベースや外部サービスが詰まっている場合、サーバーを増やしても改善しません。どこが詰まっているかを測ってから対策します。
- 本番環境でいきなり試す:本番で大量の負荷をかけると、実際の利用者に影響が出ます。また、クラウド事業者や外部サービスの規約で、事前の申請や制限がある場合があります。最新の規約を確認してから行います。
- 外部サービスまで負荷をかけてしまう:決済やメール配信の本番サービスに大量のリクエストを送ると、費用の発生や利用停止につながります。試験用の環境や代わりの仕組みを使います。
- 一度きりで終わらせる:機能追加やデータの増加で性能は変わります。大きな改修の前後や、繁忙期の前などに定期的に実施する計画にしておきます。
- 目標値の根拠がない:「とりあえず大きな数」で試しても、合格の判断ができません。業務の見込みから目標値を決めます。
関連用語
- レスポンスタイム(応答時間):負荷テストで測る代表的な指標
- オートスケーリング:負荷に応じてサーバーを自動で増減する仕組み
- ロードバランサー:複数のサーバーに負荷を分散する仕組み
- CDN:静的ファイルの配信を肩代わりし、サーバーの負荷を減らす仕組み
- 実践記事:MVPの利用者急増に備える:性能とコストの見直しポイント
Otsumuに相談できること
キャンペーンやメディア露出でアクセスの急増が見込まれる、公開後に遅くなった経験がある、といった場面で、負荷テストの計画と実施、詰まった箇所の改善までを支援しています。詳しくはシステム開発をご覧ください。
30分の無料相談で、想定している利用規模と時期を伺います。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01