GraphQLとは
GraphQLとは、APIを呼び出す側が「どのデータの、どの項目が欲しいか」を問い合わせ文で指定し、その形のとおりにデータを受け取れるAPIの仕組みです。Meta(旧Facebook)が開発し、仕様がオープンに公開されています。
平易に言えば、「注文票に欲しいものだけを書いて渡すと、その内容どおりに一度で揃えてくれる窓口」です。REST APIでは、窓口(URL)ごとに返ってくるデータの形が決まっているため、必要以上のデータを受け取ったり、複数の窓口を順番に回ったりする必要が生じることがあります。GraphQLでは、必要なものを1回の問い合わせでまとめて指定できます。
名前のGraphは、データ同士のつながりを網の目(グラフ)として扱う考え方に由来し、QLはQuery Language(問い合わせ言語)の略です。
仕組みとREST APIとの違い
GraphQLでは、サーバー側が扱えるデータの型と関係を「スキーマ」として定義し、呼び出す側はその範囲で自由に問い合わせを組み立てます。たとえば「顧客の名前と、その顧客の直近の注文3件の日付と金額」を、1回の問い合わせで取得できます。
| 観点 | REST API | GraphQL |
|---|---|---|
| 窓口 | 対象ごとに複数のURL | 原則1つのURL |
| 返るデータ | サーバーが決めた形 | 呼び出す側が指定した形 |
| 関連データの取得 | 複数回の通信が必要なことがある | 1回でまとめて取得できる |
| 仕様の確認 | 仕様書を別途用意 | スキーマから型と項目が分かる |
| キャッシュ | HTTPの仕組みを使いやすい | 工夫が必要 |
| 導入の手軽さ | 多くの開発者が慣れている | 学習と設計の手間がかかる |
GraphQLの操作は、主に次の3種類です。
- Query:データの取得
- Mutation:データの登録・更新・削除
- Subscription:データの変化をリアルタイムに受け取る
実務での使い方・具体例
あるEC事業者が、Webサイトとスマホアプリの両方で商品情報を表示しているとします。Webの商品詳細画面では商品説明、画像、在庫、レビュー、関連商品を表示しますが、アプリの一覧画面では商品名、価格、サムネイルだけで十分です。
- REST APIでは、画面ごとに専用のAPIを追加するか、不要な項目まで含めて返すかのどちらかになりやすい
- GraphQLでは、Webとアプリがそれぞれ必要な項目だけを問い合わせればよい
- 新しい画面を追加するときも、サーバー側を変更せずに済む場合が多い
このように、表示する画面の種類が多く、各画面で必要なデータの組み合わせが異なるサービスでは、GraphQLの利点が生きます。また、ShopifyやGitHubのように、外部向けにGraphQLのAPIを提供しているサービスもあり、こうしたサービスとの連携開発でGraphQLを使う機会も増えています。
一方、社内の業務システムで画面の種類が限られる場合や、外部システムと単純なデータのやり取りをする場合は、REST APIのほうが設計も運用も簡単なことが多いです。どちらか一方に決める必要はなく、用途によって併用することもできます。
よくある誤解と注意点
GraphQLはRESTの上位互換だという誤解。 呼び出す側の自由度が高い分、サーバー側では問い合わせの重さの制限、権限の確認、キャッシュの設計に工夫が必要です。用途に合わなければ、かえって複雑になります。
重い問い合わせへの対策を忘れる。 関連データを深くたどる問い合わせを許すと、1回の呼び出しでサーバーに大きな負荷がかかることがあります。問い合わせの深さや量に上限を設けるのが一般的です。
項目ごとの権限管理を見落とす。 自由に項目を指定できるため、見せてはいけない項目が問い合わせ可能になっていないか、項目単位で権限を確認する必要があります。
呼び出し回数の上限の考え方が違う。 外部サービスのGraphQL APIでは、呼び出しの回数ではなく問い合わせの重さで利用量が計算されることがあります。連携の設計では、提供元の制限の仕組みを事前に確認しておきましょう。
関連用語
- REST API:URLとHTTPメソッドでデータをやり取りする、最も一般的なAPIの方式
- Webhook:イベント発生時に相手へ通知を送る仕組み
- Shopify:GraphQLのAPIを提供している代表的なECプラットフォーム
- バックエンド:GraphQLのサーバーを実装するサーバー側の領域
- ヘッドレスコマース:画面とEC機能を分離する構成。GraphQLがよく使われる
API連携の全体像は「API連携とは何か」で解説しています。
Otsumuに相談できること
Otsumuは、連携先のAPIの形式や画面の構成を踏まえ、REST APIとGraphQLのどちらが適しているかを判断して開発しています。外部サービスのGraphQL APIを使った連携や、既存APIの見直しについてもご相談いただけます。
詳しくはAPI連携開発やECサイト開発のページをご覧ください。30分の無料相談でもお気軽にご相談ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01