回帰分析とは
回帰分析とは、売上や成約数のような「知りたい数値(目的変数)」が、広告費や訪問回数のような「それに影響しそうな要因(説明変数)」によってどのように変わるのかを、式の形で表す統計手法です。
平たく言えば「Aが増えるとBはどれくらい増えるのか」を、過去のデータから数字で見積もる方法です。たとえば「広告費を一定額増やすと、問い合わせはおおよそ何件増えるか」「気温が一度上がると、飲料の販売数はどれくらい変わるか」といった問いに答えるために使います。
「回帰」という名前は、親子の身長の研究で「極端な値は次の世代で平均に戻る(回帰する)傾向がある」と示されたことに由来すると言われています。現在では、変数同士の関係を式で表す手法全般を指す言葉として使われています。
仕組み・主な種類
もっとも基本的な形は、説明変数が一つの「単回帰分析」です。データの点の集まりに、もっともよく当てはまる直線を引き、その傾きから「説明変数が一単位増えると目的変数がどれだけ変わるか」を読み取ります。
| 種類 | 説明変数 | 使う場面の例 |
|---|---|---|
| 単回帰分析 | 一つ | 広告費と問い合わせ数の関係を見る |
| 重回帰分析 | 複数 | 広告費・季節・価格が売上にそれぞれどれだけ影響するかを見る |
| ロジスティック回帰 | 一つ以上(目的変数が「はい・いいえ」) | 利用状況から解約するかどうかの可能性を見積もる |
結果を読むときに見る主な数値は次のとおりです。
- 係数:説明変数が一単位増えたとき、目的変数がどれだけ変わるか
- 決定係数:式がデータのばらつきをどの程度説明できているか(0から1の間の値)
- p値・信頼区間:係数の推定がどれくらい確かか、偶然の可能性はどの程度か
実務での使い方・具体例
架空の住宅リフォーム会社を例にします。チラシ、Web広告、展示会の三つに販促費を使っていましたが、どれが問い合わせにつながっているのかがはっきりしませんでした。
そこで過去二年分の月次データを使い、問い合わせ件数を目的変数、各チャネルの費用と季節(繁忙期かどうか)を説明変数として重回帰分析を行いました。
- 月ごとに、問い合わせ件数と各チャネルの費用、繁忙期フラグを一つの表にまとめる
- 表計算ソフトや統計ツールで重回帰分析を実行する
- 各チャネルの係数と、その推定の確かさを確認する
- 結果を担当者の肌感覚や個別の問い合わせ内容と照らし合わせる
分析の結果、Web広告の係数は安定して正の値を示した一方、チラシの係数は推定のぶれが大きく、はっきりした関係が読み取れませんでした。会社はすぐにチラシをやめるのではなく、地域を分けてチラシを配る・配らないの比較を行い、効果を確かめることにしました。
回帰分析は、このように「どこを確かめるべきか」を見つけたり、予算配分の議論の材料にしたりするために役立ちます。
もう一つの代表的な使い方が、ロジスティック回帰による「起こりやすさ」の見積もりです。たとえばSaaSで、ログイン頻度、主要機能の利用回数、サポートへの問い合わせ回数などから、各顧客が次の更新時に解約する可能性を見積もれば、カスタマーサクセス担当がどの顧客から先に連絡すべきかの優先順位付けに使えます。この場合も、数字は「担当者の判断を助ける目安」として扱い、実際に連絡した顧客の反応を記録して、見積もりの精度を見直していくことが大切です。
よくある誤解と注意点
- 関係があることと、原因であることは違う:回帰分析が示すのは、データの上での関係です。広告費と売上がともに繁忙期に増えるだけかもしれません。因果を確かめるには実験などが必要です。
- 説明変数同士が似ていると結果が不安定になる:たとえば「広告費」と「広告の表示回数」を同時に入れると、どちらの影響か区別できず、係数がおかしな値になることがあります(多重共線性)。
- データの範囲外を予測しない:過去に試したことのない規模の予算を入れたときの予測は、当たる保証がありません。
- データ数が少ないと信頼できない:説明変数の数に比べてデータが少ないと、偶然に引きずられた結果になります。
- 外れ値を確認する:キャンペーン月や障害が起きた月など、特殊な月が結果を大きくゆがめることがあります。
関連用語
- 相関と因果:回帰分析の結果を解釈するうえで欠かせない考え方
- p値:推定結果が偶然である可能性を見るための値
- 信頼区間:推定値がどの範囲にありそうかを示す幅
- 予測分析:回帰分析などを使って将来を見積もる取り組み
- 機械学習:回帰の考え方を発展させた予測の手法を含む分野
関連記事:広告の貢献度をどう測るか:アトリビューション分析の基本と限界
Otsumuに相談できること
回帰分析は、問いの立て方とデータの準備で結果の信頼性が大きく変わります。OtsumuのKPI改善コンサルティングでは、「何を知りたいか」を事業の判断に結び付けて整理し、分析の設計から結果の読み解き、効果を確かめる施策の計画までを一緒に進めます。
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01