予測分析とは
予測分析とは、過去のデータに含まれる傾向やパターンをもとに、将来起こりそうなこと(売上、需要、解約、成約の可能性など)を数値で見積もる分析手法です。
平たく言えば「過去の記録から、これからを見通す」ための分析です。データ分析は、何が起きたかを見る「記述的な分析」、なぜ起きたかを探る「診断的な分析」、これから何が起きるかを見積もる「予測的な分析」、どうすべきかを示す「処方的な分析」に分けて説明されることがあり、予測分析はその三つ目にあたります。
英語では Predictive Analytics と呼ばれます。統計的な手法から機械学習まで、さまざまな技術が使われます。
仕組み・代表的な手法
予測分析で使われる主な手法は次のとおりです。
| 手法 | 予測の対象 | 事業での例 |
|---|---|---|
| 時系列予測 | 時間とともに変化する数値 | 来月の売上、週ごとの来店数、在庫の需要 |
| 回帰分析 | 要因から結果の数値を見積もる | 広告費と季節から問い合わせ数を見積もる |
| 分類モデル | 起きるか起きないか | 顧客が解約するか、商談が成約するか |
| 機械学習モデル | 多数の要因が複雑に絡む予測 | 多くの行動データを使った購買の可能性の予測 |
予測分析を進める基本的な流れは次のとおりです。
- 予測する目的を決める:予測結果を使って、誰が何を判断するのか
- データを集めて整える:予測に使えそうな過去のデータを集め、欠損や誤りを整理する
- モデルを作る:まずは単純な方法から試し、必要に応じて高度な手法に進む
- 精度を検証する:作ったモデルを、使っていない期間のデータで試し、どれくらい当たるかを確かめる
- 業務に組み込む:予測結果をダッシュボードや業務システムに表示し、判断に使う
- 定期的に見直す:状況が変わると精度が落ちるため、実績と比べて更新する
実務での使い方・具体例
架空の地域密着型のベーカリーチェーンを例にします。各店舗では店長の経験でパンの製造数を決めていましたが、売れ残りと品切れが頻繁に起きていました。
この会社は、過去の販売データ、曜日、天気、近隣のイベント情報を使って、店舗・商品ごとの翌日の販売数を予測する仕組みを試しました。
- 最初は「前週同曜日の販売数」をそのまま予測とする単純な方法を基準にする
- 次に、天気や祝日を加えた予測モデルを作り、基準より当たるかを比べる
- 予測を店長に参考値として示し、最終的な製造数は店長が決める運用にする
- 予測と実績の差を毎週振り返り、外れた理由(突然のイベントなど)を記録する
数か月の運用で、予測は店長の判断を置き換えるものではなく、「判断の起点」として役立つことが分かりました。経験の浅い店長でも、予測値を参考にすることで大きな外れが減りました。
このように、予測分析は「完全に当てる」ことより、「判断を少しでも良くする」ことに価値があります。
BtoBの事業では、商談データから成約の可能性を見積もり、営業の優先順位付けや売上見込みの精度向上に使う例もあります。この場合も、営業担当者が予測の根拠(どの要因で可能性が高いと判断されたか)を理解できる形で示すと、現場で受け入れられやすくなります。根拠が分からない数字は、どれほど精度が高くても使われにくいものです。
よくある誤解と注意点
- 予測は必ず外れる:どんな予測にも誤差があります。予測値だけでなく、どれくらいの幅でぶれるかも示し、外れたときの備えを考えておきます。
- 高度な手法から始めない:単純な方法を基準にし、それより明らかに良くなるときだけ複雑な方法を採用します。複雑なモデルは保守の負担も大きくなります。
- 過去にないことは予測できない:新商品の発売、大きな社会の変化など、過去のデータにない出来事は予測に反映されません。
- 予測が当たったかより、判断が良くなったかを見る:精度の数字だけでなく、売れ残りの減少や対応の早さなど、事業上の成果で効果を評価します。
- 予測を使う人を巻き込む:作る段階から現場の担当者に意見を聞くと、使われる形や必要な精度が分かり、導入後の定着も早くなります。
- 現場が使える形で届ける:予測結果が分析担当者のパソコンの中にあるだけでは意味がありません。業務の流れの中で自然に目に入るようにします。
関連用語
- 回帰分析:予測分析の基本となる統計手法
- 機械学習:データから予測のルールを学習する技術
- 異常検知:予測との差から異常を見つける仕組み
- 信頼区間:予測値の幅を示す考え方
- 先行指標・遅行指標:将来の成果を先回りして示す指標
関連記事:解約の予兆を検知する:利用データから解約リスクを見つける方法
Otsumuに相談できること
予測分析は、予測結果を使って誰が何を判断するのかを決めるところから始めると、必要なデータと手法の範囲が見えてきます。OtsumuのKPI改善コンサルティングでは、予測を使う業務の設計から、データの整理、検証の進め方までを支援し、必要に応じてダッシュボード開発や生成AI開発で業務への組み込みも行います。
まずは30分の無料相談で、予測できたら助かる場面をお聞かせください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01