管理会計とは
管理会計とは、経営者や事業の責任者が、社内で意思決定を行うために、数字を集計・分析・設計する会計の考え方です。外部への報告を目的とする財務会計と違い、法律で形式が決められているわけではなく、会社が必要とする単位と頻度で自由に設計できます。
たとえば、事業別、商品別、顧客別、プロジェクト別の採算を見たいときに、決算書にはない切り口で費用と収益を分けて集計します。名称の「管理」は、事業を方向づけ、成果をコントロールするという意味合いです。
仕組み・ポイント
管理会計で扱う代表的なテーマには、次のようなものがあります。
| テーマ | 目的 |
|---|---|
| 事業別・商品別の損益 | どの事業や商品が利益を生んでいるかを知る |
| 原価計算 | 一つの商品やサービスにかかる費用を把握する |
| 予算と実績の比較 | 計画との差を見て、次の手を考える |
| 損益分岐点の分析 | 黒字になる売上の水準を知る |
| 投資の採算評価 | 投資が回収できるかを判断する |
仕組みを作るときのポイントは、「何を判断するための数字か」を先に決めることです。目的が決まれば、必要な分類の粒度や、集計の頻度が定まります。数字が多ければ良いわけではなく、判断に使われない数字は集計の手間だけを増やします。
実務での使い方・具体例
以下は、状況を一般化した架空の例です。実際の事業では、自社の契約や数字に合わせて読み替えてください。
新規事業では、既存事業の決算書だけでは、新規事業が成長しているのか、赤字が計画の範囲内なのかが分かりません。そこで、新規事業専用の損益の表を作り、売上、直接の費用、共通費の配分を毎月確認します。
たとえば、サービスの開始から半年間は、売上よりも開発と採用の費用が先行します。この時期に管理会計の枠組みがないと、「いつまで投資を続けるか」「どの時点で撤退するか」の議論ができません。事前に、見るべき指標と、判断の基準を決めておくと、感覚ではなく数字で議論できます。
実務でのチェックポイント
- 判断したいこと(継続、拡大、撤退など)を先に書き出す。
- その判断に必要な切り口(事業別、顧客別など)を決める。
- 月次で集計できる範囲に、数字の粒度を抑える。
- 数字の定義(費用の分け方、共通費の配分)を文書にして共有する。
よくある誤解と注意点
- 管理会計は、決算書の作成とは別の目的で行うものです。法律上の形式に縛られない代わりに、会社自身が定義を決める責任があります。
- 精密さを追求しすぎると、集計に時間がかかり、判断が遅れます。最初は簡単な形で始め、必要に応じて細かくします。
- 数字の定義がころころ変わると、期間の比較ができなくなります。
- 共通費の配分の方法で、事業の採算が変わります。配分の根拠を説明できるようにします。
- 社内の数字と決算書の数字が、どう関係するかを、経理担当者が説明できる状態にしておきます。
数字を見る人を決めておくことも重要です。誰が、どの会議で、どの数字を見て、何を決めるのかを決めておくと、管理会計が実際の意思決定に結びつきます。
なお、制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
Otsumuに相談できること
新規事業の数字の見方を設計する作業は、立ち上げの初期ほど効果があります。何を見て何を決めるかを一緒に整理したいときに、ご相談ください。詳しくは新規事業の戦略・事業計画の支援ページをご覧ください。
論点の整理から始めたい段階でも、30分の無料相談をご利用いただけます。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04