機能要件・非機能要件とは
機能要件は、システムが「何をするか」を表す要件です。たとえば「会員が登録できる」「注文を確定できる」といった振る舞いを指します。非機能要件は、それをどの程度の品質で実現するかという条件で、性能、可用性、安全性、使いやすさ、保守のしやすさなどが含まれます。
言い換えると、機能要件は「できること」、非機能要件は「どれくらい良い状態でできるか」です。画面や機能は目に見えますが、非機能は見えにくいため、意識して書き出さないと抜けやすい点が特徴です。
たとえば同じ「検索機能」でも、結果がすぐ表示されるのか、時間がかかってもよいのか、一部の人にしか見せてはいけない情報が混ざっていないかで、必要な作りは大きく変わります。機能の有無だけでなく、その質まで合意しておくことが大切です。
仕組み・ポイント
非機能要件は、次のような観点で洗い出すと漏れを減らせます。
| 観点 | 確認する問いの例 |
|---|---|
| 性能 | 表示や処理にどのくらい待たされるか、同時利用はどの程度か |
| 可用性 | 止まってよい時間帯や、復旧までの許容はどうか |
| セキュリティ | 誰が何を見られるか、通信やデータはどう守るか |
| 使いやすさ | 初めての人が迷わず使えるか、アクセシビリティはどうか |
| 運用・保守 | 障害に誰が気づき、どう対応するか |
| 移行性 | 既存データをどう移すか |
機能要件は利用者の要望から出てきますが、非機能要件は放っておくと誰も言い出しません。そのため、数字や基準で確認できる形にしておくことが大切です。
非機能要件の確認は、設計の前に行うのが理想です。設計後に判明すると、構造そのものの作り直しにつながることがあるためです。また、利用者の規模や扱うデータの重さによって優先する観点は変わるので、すべてを均等に扱わず、事業にとって重要なものから決めます。
実務での使い方・具体例
架空の例として、予約サイトを作る場面を考えます。機能要件は「日時を選んで予約できる」「予約を変更・取り消せる」などです。ここで非機能要件を議論しないまま公開すると、キャンペーン時にアクセスが集中して画面が開かなくなるかもしれません。
そこで企画の段階で「想定する利用の山はいつか」「個人情報を扱うので、閲覧権限をどう分けるか」「停止してよい時間はあるか」を話し合い、公開前の確認項目に加えます。数値の基準は事業の規模や費用との兼ね合いで決めるため、最初から高い水準を求めすぎず、検証段階に見合うところを選ぶ姿勢も必要です。
判断のチェックポイント
- 利用者の人数や集中する時期を想定したか
- 扱う情報の重要度と、閲覧できる人の範囲を決めたか
- 止まった場合の影響の大きさと、許容できる時間を話し合ったか
- 運用の担当者と、障害時の連絡の流れを決めたか
- 確認の基準を、公開前の項目としてまとめたか
よくある誤解と注意点
- 非機能は後回しでよいとは限らない:公開後に直すと、設計の見直しが必要になって大きな手戻りになることがあります。
- 高ければ高いほど良いわけではない:品質を上げるほど費用と期間が増えます。目的に見合う水準を決めます。
- 「速く」「安全に」だけでは要件にならない:何をもって達成かを確認できる形にします。
- 機能要件だけで見積もられていないか:見積もりの前提に非機能が含まれているかを確かめます。
- 担当者によって解釈が違う:「安全」「使いやすい」の意味は人によって異なるため、確認方法まで含めて合意します。
関連用語
- 要件定義:要件を整理して合意する作業全体
- 受入テスト(UAT):要件を満たしたかを確認する試験
- 保守・運用:運用・保守に関わる非機能の確認
- 脆弱性(セキュリティホール):安全性の観点で確認する弱点
Otsumuに相談できること
新規事業のMVPでは、すべての品質を最初から最高水準にするのではなく、検証したいことに対して必要な品質を見極める判断が欠かせません。Otsumuでは、機能とあわせて非機能の優先順位を整理する場面をお手伝いできます。
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04