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希釈化防止条項とは?意味・仕組みと使い方

希釈化防止条項は、一定の後続の発行に応じて、転換の条件などを調整する条項です。すべての希薄化をなくす意味ではなく、方式によって創業者への影響が変わる点に注意します。新規事業の資金計画では特に大切です。

希釈化防止条項とは

希釈化防止条項とは、会社が前回より低い価格で新しい株式を発行した場合などに、既存の投資家が持つ優先株式の転換の条件を調整して、投資家の持分の価値が過度に下がるのを防ぐ、という契約上の仕組みです。

英語の anti-dilution(希薄化の防止)に由来します。会社の評価額が下がる調達、いわゆるダウンラウンドの場面で働くことが多く、投資家を守る一方で、創業者や他の株主の持分に影響を与えます。

仕組み・ポイント

調整の方法の種類を整理します。

  • フルラチェット方式:新しい発行価格に、転換の価格をすべて合わせる方式です。
  • 加重平均方式:新旧の発行の数や価格を考慮して、調整の程度を和らげる方式です。
  • 調整の対象:どのような発行が、調整の発動の対象になるか。
  • 除外される発行:従業員への権利の付与など、対象外とする発行。
  • 調整の影響:調整により、創業者の持分が下がる程度。

この条項は、通常はあまり発動しない備えとして設けられます。しかし、実際に発動する場面では、創業者の持分に与える影響が大きくなることがあるため、設計の際に、最悪の場面を試算しておくことが、後の安心につながります。

また、対象となる発行から除外する項目を丁寧に決めることも、創業者を守る大切な交渉項目です。

実務では、条項の計算が複雑になりやすいため、計算の例を契約書の別紙に付けておくことがあります。具体的な数字の例があれば、発動したときの結果について、お互いの認識を合わせやすくなります。

また、調整の対象となる投資家が複数いる場合の計算の順序も、あらかじめ定めておきます。

実務での使い方・具体例

架空の例として、新規事業の会社が、将来のダウンラウンドを想定して、この条項の内容を検討する場面を考えます。担当者は、方式ごとに、前回より低い価格で発行した場合の、投資家の持分と創業者の持分の変化を試算します。

結果を比べると、方式によって、創業者の持分の下がり方が大きく異なることが分かります。そのうえで、創業者にとって負担の小さい方式を、交渉の候補にします。

また、従業員への権利の付与など、調整の対象外とする発行の範囲も、あらかじめ決めておきます。

たとえば、調整の方式を加重平均方式にするか、より厳しい方式にするかで、創業者の持分は大きく変わります。複数の方式の結果を表にして、創業者と共有し、会社として受け入れられる水準を決めてから、交渉に臨みます。

進め方の例

  1. 調整の方式と、対象となる発行の範囲を確認する。
  2. 除外される発行の項目を、一覧にする。
  3. 前回より低い価格での発行を想定し、持分の変化を試算する。
  4. 方式ごとの結果を比べ、交渉の方針を決める。

よくある誤解と注意点

  • この条項があれば、投資家の持分は絶対に下がらない、ということではありません。調整の範囲が決まっています。
  • 方式の違いで、創業者への影響は大きく変わります。
  • 条項の発動のきっかけとなる発行の範囲を、広くしすぎると、通常の資金調達でも調整が働いてしまいます。
  • 調整の後の持分の変化は、複雑になるため、表で整理します。
  • この条項は、投資家が複数いる場合、各投資家の条件が異なる場合があります。条件の違いが、全体の調整の計算を複雑にする点にも注意します。

制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。

関連用語

Otsumuに相談できること

将来の資金調達を見通す場面では、調整条項の方式ごとに、持分の変化を試算して比べることが役に立ちます。詳しくは事業戦略・調査の支援をご覧ください。状況の整理から始めたい場合は、30分の無料相談をご利用ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04

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