ダウンラウンドとは
ダウンラウンドとは、資金調達の際に、前回の調達で付けた評価額より低い評価額で、出資を受けることです。「前回より値段を下げての調達」と言い換えられます。反対に、前回より高い評価での調達は、アップラウンドと呼ばれます。
事業の進み方が計画より遅れた場合や、市場の環境が変わった場合などに起こります。必ずしも事業の失敗を意味するわけではありませんが、既存の株主との関係や契約条件に、影響が及ぶことがあります。
仕組み・ポイント
ダウンラウンドで確認すべき点を整理します。
- 持分の変化:評価額が低いと、同じ資金を得るために、渡す株式が多くなります。
- 既存の契約:前回の契約に、評価額が下がったときに条件を調整する条項があるかを確認します。
- 既存株主の反応:持分が下がることを、既存の株主が受け入れるかを話し合います。
- 従業員への影響:新株予約権の条件が、相対的に有利でなくなる場合があります。
- 今後の調達:ダウンラウンドの後の調達に、どう影響するかを見通します。
ダウンラウンドを避けるためには、日頃から資金の余裕を確保し、必要以上に早い段階で高い評価を求めすぎないことも大切です。高すぎる評価での調達は、次のラウンドで評価を維持するハードルを上げることにもなります。
資金の残りの期間を意識して、早めに調達の準備を始めることが、選択肢を広げます。
ダウンラウンドの局面では、投資家との交渉力が弱くなりがちです。そのため、日頃から複数の資金調達の選択肢を持つことが、交渉の立場を守る備えになります。
実務では、ダウンラウンドの話が出る前に、資金の残りの期間が短くなりすぎないよう、早めに準備を始めることが重要です。残りの期間が短いと、交渉力が下がり、条件が厳しくなりがちです。
また、既存の投資家が、追加の出資を行ってくれる可能性もあるため、早い段階で相談してみる価値があります。
実務での使い方・具体例
架空の例として、新規事業の会社が、事業の進行の遅れから、前回より低い評価での調達を迫られる場面を考えます。担当者は、調達しない場合の資金の見通しと、ダウンラウンドで調達する場合の持分の変化を、同じ表に並べて比べます。
比べた内容を、既存の株主に丁寧に説明します。条件の調整の条項が働く場合は、その影響も含めて共有し、納得を得られるよう話し合います。
従業員にも、権利の価値への影響を、分かる言葉で伝えます。事業を続けるための選択であることを、誠実に説明します。
進め方の例
- 調達しない場合の資金の残りの期間を、資金繰り表で確認する。
- ダウンラウンドで調達する場合の持分の変化を、表で試算する。
- 既存の契約の調整条項の有無と、その影響を確認する。
- 既存の株主と従業員に、状況と判断の理由を説明する。
よくある誤解と注意点
- ダウンラウンドは、必ずしも悪いことではありません。事業を続けるための選択になる場合があります。
- 評価額だけでなく、契約の条項で、実質的な条件が変わる場合があります。
- 既存の株主の同意が必要となる場合があり、調整に時間がかかります。
- 調達の機会を逃して資金が尽きる事態よりも、ダウンラウンドを選ぶほうが良い場合もあります。
制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
- バリュエーション(企業価値評価):評価額の基本的な考え方
- 希釈化防止条項:評価額の低下に対する調整の条項
- 希薄化:持分の割合の変化
- 資金調達ラウンド(シリーズA・B・C):調達の段階の呼び方
Otsumuに相談できること
評価が下がる調達を検討する場面では、持分と契約の影響を表にして、関係者に丁寧に共有することが重要です。詳しくは事業戦略・調査の支援をご覧ください。状況の整理から始めたい場合は、30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04