資金調達ラウンド(シリーズA・B・C)とは
資金調達ラウンドとは、企業が外部から出資を受ける一回一回の調達を、段階として区別する呼び方です。最初の調達から順に、シード、シリーズA、シリーズB、シリーズCと呼ぶのが一般的です。
「ラウンド」は、一巡という意味です。事業の成長に応じて、複数回に分けて資金を調達していく流れを表しています。シリーズの名称は、優先株式の種類の名前(A種、B種など)に由来することが多く、調達ごとに株式の種類を分けて発行してきた慣行から来ています。
仕組み・ポイント
一般的なイメージと注意点を整理します。
- シードラウンド:事業の初期に、小さな金額で行う調達です。
- シリーズA:製品やサービスの手応えを得て、事業を拡大するための調達です。
- シリーズB以降:事業の拡大や、新しい市場への展開を目指す調達です。
- 共通の基準はない:売上や調達額で、厳密に区別されているわけではありません。
- 名称の使われ方:同じシリーズ名でも、国や時期、分野によって、意味合いが変わります。
ラウンドを重ねるごとに、株主が増え、権利関係も複雑になります。調達の計画を立てる際は、資金の額だけでなく、全体の持分と権利の構造を、通して見通す必要があります。
また、一回のラウンドで調達する金額は、次のラウンドまでの期間の長さにも関わります。
調達の計画では、最初のラウンドで多くを手放しすぎないことも、後の選択肢を残すために大切です。創業者の持分が早い段階で大きく下がると、次のラウンドの条件の交渉が難しくなる場合があります。
実務では、ラウンドの名称にこだわるより、次のラウンドまでに必要な資金の期間を意識することが大切です。一般に、資金調達には、準備を含めて、一定の期間がかかるため、資金が尽きる前に、余裕を持って動き出す必要があります。
計画の中で、次の調達の開始の時期を、あらかじめ定めておきます。
実務での使い方・具体例
架空の例として、新規事業の会社が、資金調達の計画を立てる場面を考えます。担当者は、「シリーズA」という名称を目標にするのではなく、その段階で達成したい事業の状態、たとえば顧客の継続率や、提供する価値の検証の結果を、先に決めます。
そのうえで、次のラウンドで投資家に示す根拠を逆算し、いつまでに何を達成するかを、事業計画に織り込みます。名称ではなく、事業の実態で段階を管理する考え方です。
投資家と話すときも、名称で会話を済ませず、事業の進捗を具体的な数字や事実で伝えます。
進め方の例
- 今後数年の事業の見通しから、必要な資金の額と時期を整理する。
- 各段階で達成したい事業の状態を、数字や事実で決める。
- 段階に合う投資家の候補を調べ、接触の順序を決める。
- 各ラウンドの後の持分を、表で試算する。
よくある誤解と注意点
- ラウンドの名称は、事業の評価や優劣を表すものではありません。
- 「次はシリーズA」と決めつけて動くと、事業の状況に合わない調達を急いでしまうことがあります。
- 調達の回数が多いことが、必ずしも成功を意味するわけではありません。
- ラウンドごとに株式の種類や権利が異なる場合があります。条件の内容を確認します。
制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
- シード・アーリー・ミドル・レイター:成長の段階を表すもう一つの呼び名
- 優先株式:ラウンドの名称の由来となる株式
- ベンチャーキャピタル(VC):ラウンドで出資を行う主体
- ダウンラウンド:前回より低い評価での調達
Otsumuに相談できること
資金調達の計画を立てる場面では、名称よりも、各段階で達成する事業の状態を整理することが重要です。詳しくは事業戦略・調査の支援をご覧ください。状況の整理から始めたい場合は、30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04