KPT(ふりかえり手法)とは
KPTとは、一定期間の活動を Keep(よかったので続けること)・Problem(問題だったこと)・Try(次に試すこと)の3つの観点で整理し、チームの次の行動を決めるための振り返りの手法です。
言い換えると「うまくいったことは残し、困ったことを出し合い、次に何を変えるかを決める」ための、シンプルな会議の型です。特別な道具を使わず、ホワイトボードや付箋、オンラインのボードがあればすぐに始められる手軽さから、システム開発のチームだけでなく、営業、カスタマーサポート、バックオフィスなど幅広い現場で使われています。
名称は3つの英単語の頭文字です。「ケプト」と読まれることもあります。Try を実行した結果を確認する Action を加えて「KPTA」と呼ぶ派生形もあります。
3つの観点と進め方
KPTの各要素は次のように扱います。
| 要素 | 書く内容 | 例 |
|---|---|---|
| Keep | 効果があり、今後も続けたいこと | 毎朝10分の進捗共有で手戻りが減った |
| Problem | うまくいかなかったこと、困ったこと | 問い合わせの担当が曖昧で返信が遅れた |
| Try | 次の期間に試す具体的な行動 | 問い合わせの一次担当を曜日で決める |
一般的な進め方は次のとおりです。
- 振り返る期間と対象を確認する(例:直近2週間の運用業務)。
- 各自が Keep と Problem を数分間で書き出す。
- 書いた内容を共有し、似たものをまとめる。
- 優先して取り組む Problem を選び、その解決策として Try を出す。
- Try に担当者と期限を付け、次回の冒頭で結果を確認する。
所要時間の目安は、少人数のチームで30分から1時間程度です。時間を区切り、書き出し・共有・Try決めの配分をあらかじめ決めておくと、議論が Problem の深掘りだけで終わってしまうのを防げます。進行役は持ち回りにすると、特定の人の意見に偏りにくくなります。
ポイントは、Try を「頑張る」「気をつける」のような心がけではなく、実行したかどうかが判定できる行動にすることです。また、Keep から「さらに良くする」Try が出ることもあり、Problem だけが Try の材料ではありません。
実務での使い方・具体例
KPTは、短い周期で繰り返すほど効果が出やすい手法です。
- 開発チームのスプリント終了時に、進め方を見直す。
- カスタマーサポートで月に一度、対応品質や手順の課題を洗い出す。
- 新しいツールや自動化の導入後に、現場の使い勝手を確認する。
- 新規事業の検証サイクルごとに、検証の進め方そのものを見直す。
架空の例として、社内の請求業務を一部自動化した経理チームが、導入1か月後に KPT を行ったとします。Keep には「請求書の作成時間が減った」、Problem には「例外的な取引先の処理が手作業のまま残り、誰が対応するか曖昧」が挙がりました。Try として「例外取引先の一覧を作り、担当者を決める」「例外処理の手順を手順書に追記する」を設定し、次回の KPT で実施状況を確認しました。こうした小さな改善の積み重ねが、自動化を現場に定着させる助けになります。
よくある誤解と注意点
- Problem が個人攻撃になる:「〇〇さんの確認漏れ」のように人を責める書き方をすると、本音が出なくなります。仕組みや手順の問題として書くルールを最初に共有します。
- Try が多すぎて実行されない:毎回たくさんの Try を出しても、実行できるのは一部です。優先度の高いものを2〜3個に絞るほうが成果につながります。
- 前回の Try を確認しない:Try の結果を振り返らないと、同じ Problem が毎回出てきます。冒頭で前回の Try の実施状況を確認する時間を固定しておきましょう。
- Problem の原因を掘り下げない:表面的な問題に対症療法の Try を出し続けても改善しません。必要に応じて「なぜそうなったか」を数回問い、原因に近い対策を考えます。
- 形だけの定例になる:毎回同じ内容しか出ないなら、振り返る期間や対象、参加者を変えてみるのも一つの方法です。
関連用語
- PDCAサイクル:KPTは PDCA の Check と Action を担う手法として使える。
- ポストモーテム(障害振り返り):障害発生後に原因と再発防止策をまとめる振り返り。
- OODAループ:素早い判断と行動を繰り返す意思決定の枠組み。
- 業務標準化:KPTで決めた改善を手順として定着させる取り組み。
- 実践記事:KPIを使った定例会議の進め方:数字を行動に変える運用の型
Otsumuに相談できること
KPTで同じ Problem が繰り返し出てくる場合、その原因は手作業の多さや情報の分散など、仕組みの側にあることが少なくありません。Otsumu は自社サービス運用の自動化コンサルティングで、振り返りで見えた繰り返しの手作業を棚卸しし、自動化や手順の整備まで一緒に進めます。振り返りで出た課題を数字で追いたい場合はKPI改善コンサルティングもご活用いただけます。
まずは30分の無料相談で、振り返りでよく挙がる課題をお聞かせください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01