Kubernetesとは
Kubernetesとは、たくさんのコンテナを複数のサーバーにまたがって配置し、起動・停止・台数の調整・障害時の復旧・通信の振り分けを自動で行うための、オープンソースの管理基盤です。
平易に言えば「コンテナのための現場監督」です。どのサーバーに何個のコンテナを置くか、止まったコンテナをどう立て直すか、混雑したらどう増やすかを、あらかじめ決めた方針に沿って自動で采配します。
名前はギリシャ語で「船の操舵手」を意味する言葉に由来します。頭の K と末尾の s の間に8文字あることから「K8s」と略されます。もともとGoogleの社内技術をもとに公開されたもので、現在は中立的な団体のもとで開発が続けられています。
仕組み・ポイント
Kubernetesは「あるべき状態」を宣言しておくと、現実をその状態に近づけ続ける仕組みです。たとえば「このアプリのコンテナを常に3つ動かす」と書いておけば、1つが止まっても自動で新しいものを起動します。
| 構成要素 | 役割 |
|---|---|
| クラスター | Kubernetesが管理するサーバー群の全体 |
| ノード | コンテナが実際に動くサーバー一台一台 |
| Pod | コンテナを動かす最小単位(1つ以上のコンテナの組) |
| Deployment | 「何をいくつ動かすか」「どう更新するか」の宣言 |
| Service | 複数のPodへの通信を一つの窓口にまとめる |
| Ingress | 外部からの通信をどのServiceに渡すかの振り分け |
これらの設定はYAMLという形式のファイルに書き、Gitで管理するのが一般的です。新しい版をリリースするときは、古いコンテナを少しずつ新しいものに入れ替えていくため、サービスを止めずに更新できます。
主要なクラウドは、Kubernetesのクラスター管理を任せられるサービスを提供しています(AWSのEKS、Google CloudのGKE、AzureのAKSなど)。自前でクラスターを構築・運用するより負担は軽くなりますが、Kubernetes自体の知識は引き続き必要です。
実務での使い方・具体例
あるSaaS事業者が、利用者の増加に伴い、Web画面、API、帳票生成、通知送信、データ取り込みといった多数の部品をコンテナで動かすようになった場面を考えます。部品ごとに負荷の波が違い、手作業での台数調整やリリースが限界に来ています。
Kubernetesを導入すると、次のようなことが自動化できます。
- 部品ごとに必要な台数を宣言し、負荷に応じて自動で増減させる
- 異常なコンテナを検知して入れ替え、夜間の障害対応を減らす
- 少しずつ新しい版に切り替え、問題があれば前の版に戻す
- 本番と同じ構成をステージング環境にも再現する
導入前に確認したいこと
一方で、Kubernetesは高機能な分、運用に専門知識を要します。次の問いに答えられない場合は、より簡単な選択肢を先に検討します。
- 動かすコンテナの種類は多いか(数個程度なら過剰になりやすい)
- Kubernetesを理解して運用できる人が社内か委託先に継続的にいるか
- クラウドのコンテナ実行サービスやサーバーレスでは足りない理由が説明できるか
- クラスター自体の更新作業(バージョンアップ)を計画的に行えるか
たとえば、Web画面とAPIの二種類しかなく、利用者も限られている業務システムであれば、クラウドのコンテナ実行サービスに載せるだけで、自動復旧や台数調整の多くは実現できます。Kubernetesが力を発揮するのは、部品の数が多く、それぞれに異なる更新頻度や負荷の特性がある場合です。「流行っているから」ではなく、今の運用で何が困っていて、それを解決する最も簡単な手段は何かを起点に選ぶことが大切です。
外部に構築を依頼する場合は、構築後の運用を誰が担うのかも同時に決めておきます。構築だけ依頼して社内に詳しい人がいない状態になると、障害やバージョンアップのたびに対応できず、結局は手放すことになりかねません。
よくある誤解と注意点
- 使えば信頼性が上がる、とは限らない:設定を誤ると、かえって障害の原因になります。高可用性は設計と運用で実現するものです。
- 小さなシステムには重い:数画面の業務システムやMVPでは、運用の手間に見合わないことが多くあります。
- クラスターにも更新がある:Kubernetes本体も定期的に新しい版が出て、古い版はサポートが終わります。更新作業を年間の運用計画に入れておきます。
- 費用の見通しが難しい:クラスターの管理費、ノードの台数、監視ツールなどが積み重なります。利用量に応じた試算を事前に行います。
関連用語
- コンテナ(コンテナ技術):Kubernetesが管理する、アプリと環境をまとめた単位
- Docker:コンテナを作るための代表的なツール
- オートスケーリング:負荷に応じた台数の自動調整。Kubernetesの主要機能の一つ
- マイクロサービス(モノリスとの違い):多数の小さな部品でシステムを作る設計。Kubernetesと組み合わせて使われることが多い
- 実践記事:MVPのインフラ構成:低コストで始めて後から拡張できる選択肢
Otsumuに相談できること
Kubernetesを導入すべきか、クラウドのより簡単なサービスで十分かの判断は、システムの規模と運用体制によって変わります。現在の構成と今後の見通しを伺い、必要以上に複雑にしない構成をご提案します。詳しくはクラウド移行をご覧ください。
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01