サンクコスト(埋没費用)とは
サンクコスト(埋没費用)とは、すでに支払ってしまい、今後どの選択をしても取り戻せない費用のことです。意思決定の場面では、これから先に発生する費用と便益だけを比べるのが合理的であり、過去に使った費用は判断の対象から外すべきだとされます。
サンクは「沈んだ」という意味です。過去の支出にとらわれて合理的でない判断をすることを、サンクコスト効果と呼びます。
仕組み・ポイント
サンクコストの考え方を整理すると、次のようになります。
| 区分 | 内容 | 判断で使うか |
|---|---|---|
| 過去の支出(回収不能) | すでに支払った費用 | 使わない |
| 今後の費用 | これから発生する費用 | 使う |
| 今後の便益 | これから得られる見込み | 使う |
「ここまでお金をかけたからやめられない」は、典型的なサンクコスト効果です。判断で見るべきは、「これからの追加投資が、これからの便益に見合うか」です。
ただし、何がサンクコストかの判断は事案によります。解約すれば返金される費用など、取り戻せるものは含まれません。
実務での使い方・具体例
架空の例として、検証を続けてきた新規事業で、想定した成果が出ていない場面を考えます。これまでに多くの時間と費用を使ってきたことを理由に続けるのは、サンクコストへの執着です。判断すべきは、今後の追加投資で、成果が得られる見込みがあるかどうかです。
組織としては、撤退の判断を行いやすくする仕組みが有効です。事前に撤退や見直しの基準を決めておく、判断者を当事者以外に置く、といった工夫があります。止めた事業から得た学びを記録し、次に活かすことで、過去の支出を無駄にしない姿勢も保てます。
判断を助ける問い
- 今日、ゼロからこの事業を始めるとして、同じ投資をするか
- 追加の投資で、何がどれだけ得られる見込みか
- 続けた場合と、やめて他に資源を回した場合で、何が違うか
- 得られた学びは、他に活かせるか
組織で備える工夫
撤退の基準を事前に合意する、定期的に継続の可否を議論する、撤退した担当者を評価する、といった仕組みが、判断のゆがみを防ぎます。失敗を学びに変える文化づくりが、結果としてサンクコスト効果の抑制につながります。
撤退後の扱い
止める判断をしたら、顧客への対応、人員の配置、得た知見の整理を丁寧に行います。次の挑戦に向けた土台として活かす視点が大切です。## よくある誤解と注意点
- 過去の支出を考慮に入れてはいけないという意味ではなく、今後の判断の材料にしないという意味です。
- 担当者は、自分の投資や努力を否定したくない心理から、判断が偏りやすくなります。
- 撤退が悪いことのように扱う組織では、サンクコスト効果が強まります。
- 過去の支出が、将来の関係(顧客、取引先)にも影響する場合は、それを今後の便益や費用として考えます。
日常での例
一度払った会費がもったいなくて、利用していないのに継続する、といった行動もサンクコスト効果の一例です。身近な例で説明すると、関係者の理解が進みます。事業の判断でも、同じ心理が働くことを共有し、冷静な議論を促します。第三者の意見を取り入れることも、客観的な判断に役立ちます。
関連用語
- 機会費用(機会コスト):選ばなかった案の利益を見る考え方
- 事業化判断:事業を進めるかを決める判断
- ステージゲート:段階ごとに投資を判断する方式
- イノベーション会計:学びで進捗を捉える管理
Otsumuに相談できること
撤退や方向転換の判断は、心理的にも組織的にも難しいものです。判断の基準や進め方を整理する場面で、第三者として一緒に検討することができます。
新規事業・事業戦略の支援 では、こうした整理を現場の状況に合わせて進めています。まずは考えていることを聞かせていただくだけでも構いません。30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04