シナリオ型チャットボットとは
シナリオ型チャットボットとは、あらかじめ作成した「シナリオ」(質問と選択肢の分岐の流れ)に沿って、利用者を必要な回答や手続きへ案内するチャットボットのことです。
平易に言えば、「選択肢を順に選んでいくと答えにたどり着く、会話形式の案内図」です。「お問い合わせ内容を選んでください」「注文について」「配送状況を確認したい」と選んでいくと、該当する案内や入力画面が表示される、という形が典型です。
決められたルールに従って応答するため、ルールベース型と呼ばれることもあります。AIが文章を考えるのではなく、設計者が用意した応答だけを返すのが特徴です。
仕組み・ポイント
シナリオ型チャットボットは、次のような部品の組み合わせで作られます。
- 質問と選択肢:利用者に何を選んでもらうかを示す部分
- 分岐:選ばれた内容に応じて、次に進む先を決める部分
- 回答:最終的に表示する案内文やリンク
- 入力欄:注文番号や日付など、利用者に入力してもらう情報
- 外部連携:入力内容をもとに、予約システムや顧客データベースから情報を取り出す処理
- 引き継ぎ:解決しない場合に、有人対応や問い合わせフォームにつなぐ出口
生成AI型と比べると、向き不向きは次のように整理できます。
| 観点 | シナリオ型 | 生成AI型 |
|---|---|---|
| 回答の正確さ | 用意した内容だけを返すため確実 | 誤った回答の可能性がある |
| 想定外の質問 | 答えられない | 柔軟に対応できる |
| 準備の手間 | 分岐の設計と回答文の作成が必要 | 資料の整備と評価の仕組みが必要 |
| 向いている用途 | 手続きの案内、予約、受付、条件の絞り込み | 文書に基づく説明、多様な質問 |
| 運用の手間 | 分岐が増えると管理が煩雑になる | 回答品質の監視が必要 |
シナリオ型の強みは、「答えを間違えない」ことと、「手続きを最後までやり切れる」ことです。返品の受付や予約の変更のように、決まった手順で情報を集めて処理する用途では、今でも有力な選択肢です。
実務での使い方・具体例
ある歯科医院のグループが、予約の変更とよくある質問への回答にチャットボットを導入するとします(架空の例)。予約の変更は確実さが重要で、誤った案内は許されません。そこで、次のようなシナリオを設計しました。
- 最初に「予約の確認・変更」「診療時間・場所」「治療についての質問」を選んでもらう
- 予約の変更を選んだ場合は、診察券番号と生年月日を入力してもらい、予約システムから現在の予約を表示する
- 希望日を選んでもらい、空き枠から候補を示して変更を確定する
- 治療内容の質問は、症状ごとの一般的な案内と、医院への電話番号を表示する
- どの選択肢にも当てはまらない場合は、問い合わせフォームに案内する
シナリオを設計するときのコツは次のとおりです。
- 選択肢は一度に多くても五つ程度に抑え、迷わせない
- 最短で目的に着けるよう、分岐の階層を深くしすぎない
- どの画面からも「最初に戻る」「人に相談する」を選べるようにする
- 選ばれた選択肢と離脱した場所を記録し、改善に使う
よくある誤解と注意点
生成AIの時代には古い、わけではありません。 正確さが求められる手続きや、答えが決まっている案内では、シナリオ型の方が適している場面が多くあります。最近は、自由な質問は生成AI型、手続きはシナリオ型というように組み合わせる構成も一般的です。
分岐を増やせば満足度が上がる、わけではありません。 あらゆる質問を想定して分岐を細かくすると、利用者は目的の答えにたどり着く前に疲れてしまいます。対象を絞り、残りは人やFAQにつなぐ方が効果的です。
作って終わりではありません。 サービスや手続きが変わればシナリオも直す必要があります。分岐が複雑になると修正が難しくなるため、構成図や更新の担当者を決めて管理しましょう。
離脱の記録を見ないと改善できません。 どの選択肢で利用者がやめてしまうかを確認し、言葉の分かりにくさや選択肢の不足を見つけることが大切です。
入力欄の設計にも気を配りましょう。 注文番号や日付を入力してもらう場面では、形式の例を示し、誤った形式で入力されたときに分かりやすく再入力を促すことが大切です。ここでつまずくと、利用者は途中で離れてしまいます。
関連用語
- チャットボット:会話形式で自動応答する仕組みの総称
- ボイスボット:電話の音声で案内する自動応答。シナリオ型の設計が多く使われる
- FAQ(よくある質問):シナリオの回答部分の土台になる質問と回答の一覧
- Messaging API(LINE):LINE上でシナリオ型の自動応答を作るときに使う仕組み
- ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL):自動応答の途中で人が引き継ぐ考え方
- 実践記事:チャットボットから有人対応へ:エスカレーション設計の勘所
Otsumuに相談できること
シナリオ型にするか、生成AI型にするか、あるいは組み合わせるかは、扱う質問の種類と求められる正確さで決まります。Otsumuでは、問い合わせの内容を分析して適した方式を選び、予約や顧客管理など既存のシステムとの連携まで含めてAIチャットボット開発を進めています。予約の受付を自動化したい場合は予約システム開発もご相談いただけます。
既存のチャットボットが使われていないという段階でもご相談ください。30分の無料相談でお気軽にお声がけください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01