新規性喪失の例外とは
新規性喪失の例外とは、特許などの出願前に発明を公開してしまった場合でも、一定の条件を満たせば新規性が失われなかったものとして扱ってもらえる救済の制度です。言い換えると、うっかり先に発表してしまった発明を、手続きを踏むことで後から出願できる道を残す仕組みです。ただし、公開前に出願しなくてよいという意味ではなく、あくまで例外的な救済にとどまります。 「新規性」は特許を受けるための基本要件で、出願時点で世の中に知られていないことを指します。この要件を失った状態から例外的に救う、という意味で「新規性喪失の例外」と呼ばれます。
仕組み・ポイント
主な要素を整理すると次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる場面 | 学会発表、展示会、ウェブでの公開、販売など、出願前に発明が公開された場合 |
| 主な条件 | 所定の期間内に出願すること、例外の適用を求める旨と証明書類を所定の手続きで提出すること |
| 救済の範囲 | 公開した内容そのものが対象。後から別の改良を加えた部分まで自動的に救われるわけではない |
| 外国への影響 | 国ごとに制度の有無や要件が異なり、日本で認められても他国で認められるとは限らない |
事業の現場では、ピッチ、プレスリリース、クラウドファンディング、学会発表など、技術が外に出る機会が多くあります。その一つひとつが新規性に影響し得るため、「どの情報を、誰に、いつ見せたか」を把握しておくことが、例外を使う場合でも使わない場合でも土台になります。
判断のポイント
- 公開の時期が出願の準備期間より前に来ていないか、先に確認する。
- 公開した本人以外が公開した情報は、扱いが異なる可能性があるため別に確認する。
- 海外で出願する予定があるなら、日本の救済だけを前提に計画を立てない。
実務での使い方・具体例
たとえば、スタートアップが試作品を展示会で見せたあとに、特許の出願を検討する場面を考えます。このとき、まず公開の日付・場所・内容を示す資料を集め、出願と同時に例外の適用を求める手続きを専門家と確認します。ただし、これは最後の手段であり、本来は公開前に出願方針を決めておくのが安全です。社内では、発表や営業資料の公開前に知財担当へ確認する流れを作っておくと、例外に頼らずに済みます。
進め方の例
- 公開の事実を洗い出す。日付、媒体、公開した範囲、内容を一覧にする。
- 公開した資料の原本とスクリーンショットなど、証明に使える記録を保管する。
- 出願の時期と、例外を求める手続きの要否を専門家と確認する。
社内で情報発信の担当と知財の担当が別れている会社では、広報資料の公開が先に決まり、知財の確認が後回しになりがちです。公開前チェックの項目に「出願の要否」を一行入れるだけでも、例外に頼る場面を減らせます。やむを得ず公開済みの場合は、事実の整理を急ぐことが第一歩になります。
よくある誤解と注意点
- 公開前の出願が不要になる一般的な免除ではありません。例外が認められる条件は限定的です。
- 公開の事実を示す証拠が不十分だと、手続きをしても認められないおそれがあります。公開物の保管が重要です。
- 国内で救済されても、海外では新規性が失われたと判断される場合があります。海外展開を考えるなら、公開前の出願を優先します。
- 第三者が同じ発明を独自に公開した場合の扱いは、別途確認が必要です。
- 法令・制度や運用は改正で変わります。実際の判断や手続きの前に、最新情報を公的機関や弁理士・弁護士などの専門家で確認してください。費用、期限、要件などの具体的な内容は、必ず公式の案内に当たってください。
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04